良質廉価なクルマづくり

 ここ数年、スズキ車の走行性能のレベルが格段に上がってきている。特に、ハーテクトと呼ばれる新世代プラットフォームの採用を開始したあたりから、車の基本性能「走る、曲がる、止まる」の完成度が高まってきている。今回は実際の車種を紹介して解説したいと思う。

 2021年にフルモデルチェンジする前、先代型のアルトとは、新しいプラットフォームを採用していた。また、エンジンも当時最新のものが採用されており、700キロを切る車重と100万円クラスの車からは想像もつかないぐらい、車自体の完成度が高かった。今回のフルモデルチェンジでは、完成度に加えて、安定感を重視したクルマづくりを目指したのではないかと感じた。なぜなら、先代モデルから基本はキャリーオーバーしているが、明らかに異なったのは、ステアリングフィールだ。新型は、ステアリングの中心が据わっており、パワステのフィーリングもどっしりしたものになっていた。ステアリングがぶれるという印象は全く感じなかった。当時は、雪上路面で試乗したのだが、低価格帯の車とは思えないぐらい、車体がしっかりしていた。

 最後に余談だが、今回のアルトは、全車にサイド&カーテンエアバッグが標準装備されている。時代に合わせて高付加価値なクルマになっている。サイド&カーテンエアバッグを装備したのなら、後部座席のヘッドレストも全車標準装備すべきだと思う。順番というものがあるのではないだろうか。これは、アルトに限った話だけでなく、他社では、衝突被害軽減ブレーキの搭載が優先される中、サイド&カーテンエアバッグが引き続きオプションになっているという車種もまだ存在する。アクティブセーフティとパッシブセーフティは両立してこその安全だと私は考える。

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