FordによるEV戦略の転換(廉価版開発で規模を!!)
先日のFordの決算発表会でCEO/CFOが登壇して決算内容を説明するとともに、今後のEV戦略について話していました。
今後のFordのEV戦略は高機能よりも低価格を重視し、規模を追う方針に転換するとのことで、開発にあたってはTeslaなど先行者の知見を活用していくと。
1;説明会での言及
Fordの事業は引き続き堅調だが、そのほとんどの利益は[商用/サービス部門(Ford-Pro)][ICE/HV(Ford-Blue)]からのものであり、EV部門は損失規模が拡大。発表会でCFOは[次世代EVから手を引くつもりはない]と強調
EV撤退を否定する一方で、[消費者がICE/HVよりもEVにプレミアムを払いたがらない]という事実があると認めている。価格圧力が利益圧迫/損失拡大につながっていることも認めている(販売戦略の失敗…)
2;FordのEV部門;Model-e
最終目標は[ICEとの価格同等性/8%の利益率]と置くが、FY23-3Qで13億USDの損失を計上、2Qの10.8億USDから増加しての着地に…。
会見でFarley氏(CEO)は下記の認識を明らかにし、下記のコメントを。
-[激動のEV市場に追い付くにはEV価格の引き下げが最優先事項であり、運営コスト削減を進めつつTeslaの立ち位置に行くために規模拡大にまい進する]
-[Teslaはコスト/Model-Yの拡張性を徹底的に重視しており、Fordも見習うべく部分が多く、現在開発中の第2/第3サイクルでのEVで取り入れている]
FordのEV戦略は[価格>機能]となり、既に下記の通り実行に移している
-10月; F-150Lightening Frash Pickup(F-150Lighteningの安価/機能強化Ver)を公表
‐今後;新しいフルサイズPUTを含む、廉価タイプのラインナップを拡充させる方針
Fraley氏;[EV事業は、優れた機能だけでなく価格面での徹底的な競争力を持たないと負ける]と述べ、さらにRoler氏(CFO);[次世代EVがコストを最適化。現在市場に出ている第1世代から得た知見に基づいて開発を加速させる]と述べた。
3;Model-eの投資抑制/減速
激動の市場動向の見極めが必要と認識、Fordは市場需要への適合をすべく[合理的な生産に向けた調整]を行うとする
-Mustang Mach-E生産の一部を中止
-SK-ON(韓国の電池メーカー)との合弁工場の開業延期
-ミシガン州でのLiB製造拠点の開業延期(見直し)
Roler氏は合理化について[設備投資/直接投資/経費を含む約120億USDのEV支出は推進するが、中身についてはゼロベースでの見直しを行う]とコメント
4;その他
10/25にFordはUAWとストライキ終了で暫定合意に達したが、ストライキで第3QのEBITに約1億USDの影響があり、計画から約8万台がビハインドしたと。FY23全体への影響はEBITで約13億USDになる予想
協定でUAWは今後4.5年で当初の11%増を含めた25%の賃上げとなり、生活費調整により、最高賃金は時給40USDに。初任給は68%増の時給28USDとなる
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