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失業外国人に「居場所」

2019年10月末現在の外国人労働者数は165万人を超え、前年同期比19万人超(13.6%)の増加となり過去最高を記録しました。一方、令和元年6月末現在の中長期在留者数は282万人を超え、前年末10万人弱の(3.6%)増加となりこちらも過去最高となっています。すでに50人に1人以上が外国人という状況です。

今回の新型コロナウイルス感染症の影響により日本で働く外国人の多くが職を失いましたが、再就職先が見つからずに苦戦している模様です。外国人の場合は日本人と異なり、日本で行うことができる活動がそれぞれの在留資格に応じて定められています。従い、就労先が決まらなければ在留資格の更新ができず、最悪の場合は出国しなければならないことにもなりかねません。

そのような状況下、外国人向けの求人サイトを運営しているゴーウェル(東京・中央)という企業について、本日の日本経済新聞朝刊に掲載されていますので、一部引用とともに、見解を述べます。

ゴーウェルタウンは外国人向け求人サイトを運営するゴーウェルが緊急事態宣言発令中の5月に開設した施設だ。掲げたのは「外国人の憩いの場」になること。外国人の入場は無料だ。就活など作業のできる机が並び、壁には求人情報が張り出される。専門スタッフが在留資格や就職に関する相談に乗り、定期的に就職相談会を開催している。
外国人が日本で働くことができる在留資格は多数あり、制度は複雑だ。例えば建設や農業、製造などの現場が対象の「技能実習」での滞在者は2019年末時点で約41万人いた。大卒程度の学歴要件を満たし、技術者やホワイトカラーとして働く「技術・人文知識・国際業務」は約27万人。それぞれ働ける分野などに制限があり、日本人が就職先を探すよりもハードルが高い。

ちょっと気になったのは以下の記事です。

3月まで飲食店で働いていたが「転職を考えていた矢先にコロナウイルスが広まり、希望していた観光産業の求人が消えた」と嘆く。

飲食店での仕事の内容はどのようなものだったのでしょうか?転職希望先が観光産業だとのことですが、そこでの具体的な職務内容は?など、確認事項が浮上します。この方の場合、仮に飲食店での仕事内容が単純作業だとすると、永住者・日本人配偶者等の身分系在留資格保持者以外、「特定技能」等在留資格が限られるからです。また、飲食店→観光業への転職についても、職務内容が同じでなければ難しいのが現状です。

3月にコロナウイルスによる施設の経営難を心配し介護職を自ら辞めたベトナム人の20代男性は「開設当初からずっと通っている。私の居場所になった」と話す。

このような場所が心の支え担っていることは十分理解できます。この方の場合、「介護職」を自発的に退職したわけですから、在留資格は「介護」もしくは「特定技能」であると推察されます(現時点で在留期限が残っていることが条件)。従い、できる限り頑張って次の「介護施設」での就労を探すことが先決でしょう。(※現在新型コロナウイルス感染症の影響により、特定活動に変更することで6ヵ月間従前と同一業務の就労先を探すことができるようになっています)

データ入力業務などを手掛けるある会社は7月ナイジェリア人の男性を正社員で採用した。同社社長は「面接で優秀だと感じた。国籍は採用に関係ない。我々にはチャンスだ」と話す。

厳密に言えば、データ入力業務だけではホワイトカラーが行う業務とは言えず、「技術・人文知識・国際業務」を取得することは難しいと言えます。もちろんこの方に十分な学歴要件があり、データ入力業務以上の高度な技能・スキルを要する業務を行っていれば話は別です。前述した身分系の在留資格を保持していた場合も同様です。

日本で働く意思と能力がある人材を活かすことができれば「企業に多様性と活気が生まれる」(ゴーウェルタウン支店長)というのはその通りですが、外国人本人と受け入れる企業側双方が、在留資格に定められている活動制限をよく理解の上、適切な就労活動を行うよう望みます。




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