李首相武漢入り 新型肺炎封じ込め陣頭指揮

1月28日版日本経済新聞記事より紹介します。

中国の李克強首相が27日、新型のコロナウイルスによる肺炎が発生した湖北省の武漢に入り、新型肺炎の患者を治療する病院や、感染者を専門に受け入れる施設の建設現場などを視察した模様です。

今朝のテレビのニュースでも報道されていましたが、「すべての中国人民はあなたたちの後ろ盾だ!」「あなたたちからの良い知らせを待ってます!」と、医療関係者等を激励する李氏の映像が大量に流れています。

李氏は習近平国家主席が設置した対策チームのトップに就いており、チームの初会合の翌日に自ら現地の武漢に飛んだかたちとなっています。

新型肺炎の感染が広がるなか、最高指導部ではこれまで習氏が対策の全面に出ていました。中国国内で新型肺炎への警戒が一気に広がったのは、習氏が20日に「断固としてウイルスのまん延を抑え込め」とする重要指示を出してからと言われています。その後の最高指導部の会議においても「われわれは党中央の集中統一指導を強化しなければならない」と述べ、自らリーダーシップを取っていく姿勢を鮮明にしており、その後も「重要指示」を出していたこともあり、最高指導部では習氏が最初に武漢入りするものと見られていたようです。

しかしここにきて、予想以上のスピードで感染が拡大し死者も連日増加している中、仮に感染の拡大を抑え込めなかった場合に、批判の矛先が習氏に向くのを避ける狙いもあるようです。つまり、李氏は万が一の場合に「詰め腹を切らされる」役割を負わされるのかもしれません。特に社会主義体制の中国ですから、リーダーの指示は絶対です。No.2はつらいですね。

そうはいいながらも、国民も馬鹿ではありませんから、習氏がこのまま口だけで行動が伴わなければ、不満や批判の矛先は習氏に向けられるでしょう。今、感染の拡大の状況を見据えながら、現地入りするタイミングを図っているのかもしれません。

この記事を読んで、若干違和感を覚えました。

中国政府指導部が自国の国民の生命と安全を守るために、「人心を鼓舞する」のは当然ですが、中国国内の感染者による海外渡航等により、世界各国に感染者が増加し、各国がその対応に追われていることへのコメントが聞かれないことです。

世界第2の経済大国であるならば、迅速かつ正確な情報開示を徹底し、一日も早く終息させる対策を実行する等、海外向けの正式コメントがあってもいいのではないでしょうか。


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