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仏政府、強まる「反移民」

8月23日日本経済新聞朝刊に、タイトル記事が掲載されましたので、引用・紹介します。

フランス政府が移民受け入れの規制強化へじわりと傾き始めた。仏語を全く話せない人に対する滞在許可証の発行制限や、重犯罪者の国外追放をこれまでより容易にする方針を検討し始めた。中道のマクロン大統領には反移民を掲げる極右政党の勢いを止める意図があるようだが、結果として社会に広がる右寄りの雰囲気を追認しかねない。
「2年以上有効な滞在許可証を認める要件として、フランス語能力も加えたい」。ダルマナン内相は7月、国民議会で語った。
移民が許可証を得る場合、これまでは基本、仏語を学ぶ意思を示せばよかった。だが、マクロン政権は、わずかでも仏語を話せることを要件にする方針だ。
政権は移民の国外追放へのハードルを引き下げることも考えている。現状で移民は、13歳になる前にフランスに入国していれば、重大な罪を犯しても追放できない。だが、仏政府は、これを可能にしようとしている。
マクロン政権はこうした移民関連法案を秋ごろ、国会に提出する構えだ。2018年にも移民の受け入れ要件を厳格にする法律を成立させた。

8月23日日本経済新聞朝刊

パリに行かれた方ならお分かりだと思いますが、観光客を除いても、街を歩く人々の半分くらいは非白人かな、と感じますし、ホテルや飲食店の従業員も、かなり移民が多そうなイメージですよね。とはいえ、パリ郊外や地方都市では、圧倒的に白人系のフランス人が多いですが。

移民問題はセンシティブな論点ですが、少子化・生産人口の減少が確実に予想される日本でも、近い将来避けて通れない論点だと感じます。

欧州と日本では、地理的・歴史的・文化的・社会的背景は大きく異なりますので、フランスで起こる事象がそのまま日本に当てはまるとは言えませんが、フランスで起きていることに注視し、今後の日本の移民政策(と呼べるかどうかは分かりませんが)にとって参考にすべき論点も出てくると考えれます。

フランス社会の大きな特徴の一つは、公の場で宗教色を出すと批判の声が上がることと言われています。日本ではまだこのような状況は顕在化してはいませんが、イスラム教徒等宗教色の強い中長期在留者との共同社会をどのように形成していくべきか、はいずれ論点となり得ます。

ビザ/在留資格の側面からは、すでに「特定技能制度」も創設・導入されており、当初の計画よりはかなり遅れてはいるものの同在留資格を保有する外国人就労者も徐々に増えてきています。さらに「特定技能2号外国人」になれば、将来的には永住権の取得も視野に入ってきます。ちなみに、「特定技能外国人」の在留資格を得るには、基本的な日本語能力は必要です。

外国人の定住・移民政策に対しては、移民政策そのものが不透明であること、治安上の不安への懸念、社会保障・年金問題等、国民の不安が根強いと思われます。今後「特定技能2号」の産業分野が拡大され、就業できる範囲が広がれば、日本人の就労にも何らかの影響が出てくることが予想されます。

政府や行政に任せきりにするのではなく、日本人一人一人が自分自身ごととして考えるべき重大な課題と言えるでしょう。

行政書士鈴木法務オフィス
http://www.suzuki-kokusaihomeoffice.com




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