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「ママって出産したの?」真実告知、はじまる。

ついにこの瞬間がきた。
息子が「ママって出産したの?」と聞いてきたのだ。

特別養子縁組家庭にとって、真実告知は大切なイベントである。

真実告知とは
「私(里母)はあなたを生んでいないこと。生んでくれた人にはいろいろな事情があって、(いまは)あなたを育てることができないこと。 私たちはあなたを育てることを心から望んでいること。あなたは私たちにとって大事な存在であること」を子どもに伝え、生い立ちをともに受け止めていくことです。

引用:厚生労働省 4 子どものルーツと実親との関係


もしかすると、真実告知をしない家庭もあるかもしれない。
でも、私と夫のなかで真実告知をしないという選択肢はない。

子どもの知る権利を守る。
嘘をつかず、誠実に向き合う。
これが、血のつながりを超えて家族になるために必要だと思うからだ。

ーーー

その日は、特定妊婦のサポートをした日だった。

特定妊婦とは、望まない妊娠や貧困、DVなど、妊娠中から継続して支援が必要な妊婦のことをいう。
私はこれまで何度か、健診に付き添ったり役所に同行したり、特定妊婦のサポートをしてきた。

今回は、無事に赤ちゃんが産まれたので、出生届を出すため役所に同行した。

その日の夜、お風呂のなかで息子が突然聞いてきたのが冒頭の質問である。

「ママって出産したの?」

おそらく、妊婦や担当保健師との会話のなかで出てきた「出産」というワードが頭に残っていたのだろう。

ついにきた・・・!!いつかくるだろうと思っていた瞬間が、ついにきた。

私はちょっと、いやかなり動揺したが、普通のトーンで返した。

「ううん、してないよ」

「じゃあ、パパは出産したの?」

「ううん、してないよ。笑」

「ふーん」と言って、息子はおもちゃで遊び始めた。

そこで、「ねぇ、出産ってどういう意味か分かるの?」と聞いたら、

「ううん、分からない」と返ってきた。

なんだ、分かってないんかい!と心の中でツッコミつつ、私は続けた。

「出産ってね、赤ちゃんが産まれることだよ」

「赤ちゃんが・・・産まれる?」

「そう。○○くんはね、ママから産まれたんじゃないんだよ。別のお母さんから産まれたんだよ」

・・・と、話終わるか終わらないかのうちに、おもちゃで遊び始めてしまった。

まぁ、まだ3歳だしね。こんなもんだよね。と、そこで会話は終わった。

ーーー

真実告知には、さまざまなやり方がある。
絵本で読み聞かせたり、産みの親の写真を見せたり、その家庭によって違う。

とりあえず我が家では、「息子から質問があったときに分かりやすい言葉で伝える」というスタイルにした。

これから成長するにつれて、理解できる言葉が増え、疑問に思う内容も複雑になるだろう。

どんなときも逃げずに、まっすぐ。
でも、息子の気持ちは置いてけぼりにしないように。
一緒に向き合い続けていきたいなと思う。

我が家の真実告知は、これからも続く。




最後まで読んでくださり、ありがとうございます!