性的対象と甘やかしと、傍目に見た気色悪さ

はじめに言っておくと、筆者は性自認や性的指向、性差や性的嗜好に対して最低限の知識はあるが、自分に直接関わらない問題に関しては正直疎いので、配慮に欠ける表現をするかもしれません。わたしはかなり「男性的」「女性的」といった表現を便宜上扱う分には便利と感じていて、そしてそれは危ういことでもあると感じています。
要はあんまり深く考えずに読んでください。LGBTQ+当事者の方やそういう話題に敏感な方にはおすすめ出来ないのでブラウザバック(死語らしい)してください。


注意喚起したからね????もう何言っても怒らないね????特定の個人を中傷する意図もありませんって言っときますね?????


わたしと恋人は、もともとアイドルオタクだった。どちらもそれぞれ異性のアイドルグループを好きで、お互いの前で過剰にその話をしたりはしないものの、それはちゃんと2人とも知っていた。
だからどうということもないと思っていたのですが、このあいだ少しびっくりしたことがあります。

女性アイドルVTuberの切り抜きを2人で見ていた時に、タレントさんがいわゆる「好感度意識」っぽい発言をした。そのあと「……好感度もばっちりだわ」みたいな事を付け足していて、リスナーに台無しだと笑われる、そういうくだりがあった。

恋人はそれを受けて、

「言ってから恥ずかしくなったんやろなあ」

と言った。

彼女の発言は、最初に言ったことこそ本音であり、付け足した言葉は照れ隠しだと。恋人は、自然にそう認識したようだった。
わたしはというと、最初から「好感度を意識した事を言っているなあ」という認識を持って聴いていたため、なんなら後者の言葉にあまり付け足し感を感じなかったし、したがって照れ隠しだとは微塵も思わなかった。

とある男性ゲーム実況者の動画を2人で見ていた時のこと。彼は、自分の望んだ展開にするためにはゲームに登場するいち要素を排除しなければならないという場面に直面した。
最終的には「要素の排除」という決断をしたものの、彼は動画1本分にわたって「なるべくそんなことはしたくない」というような言動を見せていた。

恋人はそれを受けて、

「はじめからそうするつもりだったんやろなあ、視聴者に媚びてるんか」

というようなことを言った。

驚いた。わたしは彼の一連の言動を違和感なく視聴し、好ましいものだと感じていたからだ。
言われてみれば好感度意識といえる。彼の言動を批判するコメントをしたりする人が現れる、その可能性を予期して、そうならない言動を選ぶ。有り得る話だ。
彼が排除を選んだ「要素」を好きな人がこの動画を見たら、悲しい気持ちになるだろうな、というところまではわたしも感じた。しかし媚びとは一切感じなかった。


上記のふたつのエピソード、あまりに「対比」として成立しすぎている。「好ましい異性タレント/動画投稿者の言動は美しいものに見え、同性のものはウケ狙いと感じる」というふたりの傾向があからさまに露出している。非常にみにくいエピソードである。
わたしと恋人はお互いに「異性」で、異性同士で好きあっている。わたしはバイセクシャルだがパートナーに選んでいるのは現在異性で、恋人は完全な異性愛者。
お互いに応援していたアイドルグループも異性。同性に対しても「あこがれ」は持ちやすいものの、代わりに「あざとさ」に対しての反射神経と嫌悪感も持ちやすい。

要は、好きになった人のことは良く見える、というだけなのだけど。個人的に、推していたアイドルが女性が男性かでかなり「見慣れた売り方」「肌に馴染む言動」が違うのだな、と感じた。ジェンダー論などはあまりそこに関与していないように感じる。少なくとも、大手のアイドルグループは未だに「自分の性別」を売りのひとつにしている傾向が強い。
それゆえ、端的に言えば女性アイドルは「かわいらしさ」を売り出し、男性アイドルは「格好良さ」を売り出す方向に向きやすい。例外ももちろんあるが、わたしが見てきたものはそうだと感じる。


女性タレントの一見「媚びている」ように見える言動が当たり前に沁みていた恋人を、そのときは少し気持ち悪く感じた。恋人も無意識に、わたしに対してそう感じていたのだろうか。

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