見出し画像

2020年11月の読書メーター

読んだ本の数:23冊
読んだページ数:7926ページ
ナイス数:181ナイス

https://bookmeter.com/users/17388/summary/monthly
■虚像のアラベスク
中編2本立てのミステリ。以前、講談社ノベルズで他の作品を読んだ時にも、ガチ本格のつもりで読んでたら、とんでもないうっちゃりをかましたりしてきたので、警戒は十分にしていたはずなんだが…まんまと。まんまとやられました…うむ。書ける作品の幅が広い作者に対しては、常に眉に唾をつけて挑まないといけないよね。でも、悔しくなんか無い。てか、分かるかーい!と、叫びたいのはやまやまだが、確かに細かな違和感はずっと感じていたんだ。それにしても…いいのかなこれ書いて。タイトルと表紙から既に騙しにかかってるからな!やってくれる!
読了日:11月28日 著者:深水 黎一郎
https://bookmeter.com/books/12608246

■目を見て話せない
ああああああっ。何このまるでかつての自分を見るかのような、古傷を抉るような、救いがあるだけに読者である俺にとっては取り返しのつかない過去を改めて思い出させて追いつめてくれる展開はー。いや確かに、他の似鳥作品同様、丹念に「日常の謎」を積み上げた連作短編集で、主人公・藤村と仲間達の良き魂の在り方にカタルシスを覚えるのだが…ええ。喋りかけられるのが苦手だから一方的に喋りまくることで全弾跳ね返すタイプのコミュ障として、大学時代以降、転落し続けてきた俺様にとっちゃ、もうねえ。この辛さが分かり過ぎて死にたいくらいで。
読了日:11月28日 著者:似鳥 鶏
https://bookmeter.com/books/14439570

■ソードアート・オンライン20 ムーン・クレイドル (電撃文庫)
ロニエとティーゼが大活躍する、アンダーワールド編スピンオフ。ま、ラストは例によって遠山の金さん、じゃなくてキリトがずさー、どーん!みたいな感じで解決してくれる安心の時代劇展開なのですが。本編と比較すると、おやつタイムやのんびり休養タイム、更には赤子や動物とのふれあいタイムなど、アンダーワールドでの日常描写が多々あって、「いつか記憶からは失われてしまう日々」に愛おしさを感じます。ロニエもティーゼも、200年後に子孫がいる以上、きっと幸せになれたのだ、と思いたい。どっちがより辛い「恋」だったのか、とは思うが。
読了日:11月28日 著者:川原 礫
https://bookmeter.com/books/12179424

■ソードアート・オンライン19 ムーン・クレイドル (電撃文庫)
ま、アンダーワールド大戦中は、ほぼずっと寝てたことですし、そこから200年も閉じ込められるんなら、仕事してもバチは当たらんよね。時間経過が加速しきってるから、現実時間では0.08秒しか経って無いんだけどさ。この間の記憶は全部まっさらにされちゃうのか…と思うと、ロニエの報われなさはさらに増すような気がしてなりませんが。だいたい「想いが決して報われない。けど健気に一途に思い続ける」ヒロインが大好きなのは仕方無い。こういうヒロインを作りたかったんだけど、自分が作ると、みんな何故かめっさ強い子に育ってしまうのね…
読了日:11月26日 著者:川原 礫
https://bookmeter.com/books/11452099

■ソードアート・オンライン プログレッシブ1 (電撃文庫)
アインクラッド城を1層から順次クリアしていく。いやまあ当然、75層まで行くために、それまで全階層のフロアボスを倒した上でのお話でしょうから、理解はできるんだけど…川原先生、マジでやる気なのか…? しかも1層はアニメで観たけど、2層なんて完全に「SAOでコン・ゲームを実行できるか?」という、ミステリ的な命題にチャレンジし、かつ『SAO』というゲームの仕様書を作り込んでる感すらある。こんな、年季の入った企画屋でも一人では絶対やらんようなしんどい作り込みを、70層分やるのか…? 1年で2層分書いても30年以上…
読了日:11月25日 著者:川原 礫
https://bookmeter.com/books/5532761

■ソードアート・オンライン (18) アリシゼーション・ラスティング (電撃文庫)
アンダーワールド大戦編、完結。vsヴァサゴ(PoH)戦、そしてvsガブリエル(ベクタ)戦が、絶望的なタイムリミットを前に戦われ、同時にリアルワールドでも「アリス」をめぐる死闘が繰り広げられて…エピローグは、そうですよね…ここまで引っ張る必要ありますね…だって、これが新たなる戦いの始まりなんだから。いやもう本当にキリト、じゃなくて和人君の現実世界での今後の人生が心配ですよ。親御さんの目で見守ってるなあ、もはや。あと、アリスとの関係性が濃くなり過ぎて、アスナも気が気じゃ無いだろうな。ロボアリスはめっさ欲しい。
読了日:11月23日 著者:川原礫
https://bookmeter.com/books/11126336

■ソードアート・オンライン (17) アリシゼーション・アウェイクニング (電撃文庫)
それにつけてもキリト君寝過ぎ…タイトルが「アウェイクニング」なのに、全然起きやしない。ま、起きた瞬間から超絶大活躍して、話終わらせちゃうから無理もないが。ヒロイン連の中では、リーファが一番お気に入りです。リーファ良い子だわー。今回もナウシカかと思ったわー【好きなヒロインが活躍すると語彙が劣化するらしい】敵味方の勢力分布がころころと変転する話は大好きです。リアルワールドからの度重なる干渉は、あたかも中国大陸における遊牧騎馬民族の理不尽さすら感じられるし。このお話、リアルな国名出しちゃって、振り切ってるなー。
読了日:11月21日 著者:川原礫
https://bookmeter.com/books/10886530

■ソードアート・オンライン (16) アリシゼーション・エクスプローディング (電撃文庫)
今までの戦いが、あくまでキリト単体ないしは少数パーティ戦闘で終始してたので【ゲームシステム的に当然ではあるのですが】規模が一気に戦略級SLGになって、なんだか「アンダーワールド」のクロニクルを読んでいるような気がしました。スケール大きいお話ですなー。要所で陰謀劇が挿し挟まるのも素敵。ま、でも今回の一番の見どころは、本妻が遂に乗り込んで来るとこでさあね。「本妻」って言うな。そして、現地の嫁たち【言い方】とのマウントの取り合いが…ロニエまでは想定できたが、リーナ先輩もいらっしゃるとは。「無音」シェータも良い。
読了日:11月20日 著者:川原礫
https://bookmeter.com/books/9824159

■【第158回 直木賞受賞作】銀河鉄道の父
親より先に死ぬのは最大の不孝、なんてのはよく聞く話ではありますが。ま、人の子の親になることもなく一生を終える予定なので、逆縁は食らわずに済むかな。むしろ喰らわせる方にならないようにせんとな…と。宮沢家の父・政次郎にとって、長男・賢治は、心の底から愛して止まない息子だったんだね…現代の我々からすれば、不朽の名作を数々の残した詩人であり作家である彼も、生前はそれこそ、迷走しては自爆し、を繰り広げ、家族もさぞかし大変だったろうなあ、と。それでも父は見捨てず、諦めず、結局先立つその日まで見守ったのだ。泣かしよる。
読了日:11月18日 著者:門井 慶喜
https://bookmeter.com/books/12229541

■ソードアート・オンライン (15) アリシゼーション・インベーディング (電撃文庫)
14巻の緊迫感に満ちたヒキから、そう持って行くか…リアルタイムで原作追ってた方にとっちゃ、さぞかしキツい展開だったかと拝察する次第。「ダークテリトリー」にもヒューマンタイプおったんやね…そしてそっちはそっちで、きちんと「文明社会」が成立していたと言うね…確かに「暗黒騎士」なんてのが仄めかされてきてたけれども。それはともかく、これ。また一段とキリトに試練が…ま、1巻丸々『FF7』の「壊れクラウド」状態だった訳ですが…そしてこれも、ネタバレ先行が悔しいですが、遂に初お目見えのヴァサゴさん。こういう感じなのか。
読了日:11月17日 著者:川原礫
https://bookmeter.com/books/8224479

■宇喜多の楽土
関ヶ原の合戦において、西軍最大の軍勢を率いたものの、小早川秀秋の裏切りにより敗北を余儀なくされる。その武勲と人柄を惜しまれ、八丈島に流刑となる。宇喜多秀家って人は、戦国時代という、人間性を踏み躙られがちな中に吹く、爽やかな涼風みたいなイメージで描かれがちですよな。この作品では、大切な局面でいつも迷い、情に流れ、失敗を繰り返しつつ、でもまた前に進もうとする。そんな諦めの悪い、要領の良くない「人間」が描かれていて、従来イメージを踏襲しつつ、より深みが感じられます。父・直家や妻の豪姫など、周りの人々も実にいい。
読了日:11月15日 著者:木下 昌輝
https://bookmeter.com/books/12724784

■不老虫
ミステリにおける製薬会社というのは、どうしてこう「黒幕」役を担いがちなのでしょうかね…それにつけてもタイトルになっている「不老虫」のおぞましい特質と、それすら利益に結びつけようという人間の浅ましさな。そして「不老虫」を狩ることを宿命づけられた麗人・ジャガランタの苛酷な生い立ち。敵味方の精緻な作戦の応酬が、勝手知ったる秋葉原で展開していて、ま、土地鑑のある自分としては「ああなるほどこの辺に医院があって…」みたいなのも容易に辿れて、面白さ倍増でしたわ。にしても、酒井君てば、優秀で有能なのに押しが足らんだろ…
読了日:11月14日 著者:石持 浅海
https://bookmeter.com/books/13721356

■彼女の色に届くまで
桜ちゃんが現実に存在して自分の近くに居たら、ま、めっさ困るだろうな、と思うし、とても苦手で積極的に忌避してしまうだろうな、と思う…小説の中では、とても魅力的ですよな。要するに「持っていない者」の僻みに過ぎないってのは分かってる。ことにそれが「絵を描く」という、自分には全く縁が無かった、と言うか、それが皆無だったことで幾度と無く嫌な目にあった能力だったりするから。連作短編の中で起こる「絵」をめぐる数々の事件が、ラストで収束する時の、美しくて少し寂しくなる感じは、とても好きなんだけど。正直、少しキツかった。
読了日:11月13日 著者:似鳥 鶏
https://bookmeter.com/books/11600893

■ソードアート・オンライン (14) アリシゼーション・ユナイティング (電撃文庫)
ネタバレを先に見ちゃってたので…それでもやはり、ユージオ君については…いいなあ、実にいい。理想的な「主人公の友」ですわー。たとえゲーム内の人だとしても、きちんと20年生きてる重さを感じさせてくれました。アドミニストレータvsカーディナルの頂上決戦も、生身の人間達の対決よりも、遥かに「人間的な、あまりに人間的な」と思わせてくれる展開。逆転また逆転に、よくここまで作り込むなあ、と。ま、でも一番仰天したのは、すっかり忘れてたけど、ラストで現実に戻ってきたキリトがいきなり巻き込まれてる「事態」な。心休まらんねえ。
読了日:11月12日 著者:川原 礫
https://bookmeter.com/books/8042148

■ソードアート・オンライン (13) アリシゼーション・ディバイディング (電撃文庫)
気が付くとユージオ君がめっさ強くなってた…っ! てか、キリト君もっと早い段階で認めてる描写してええんやで。「青薔薇の剣」の発動はめっさかっこええなー。そしてアリスが遂にこっち側に…右眼は持って行かれたけど。次が「人界編」ラストってことで、ラスボスがその見目麗しき御姿の片鱗を見せて下さいまして、ありがとうございました…なんかいつになく感想が馬鹿っぽいのは、この話の「幕末維新」的な雰囲気にやや当てられているからだと思います。なるほど整合騎士は「新撰組」なのかもしれない、と。アンダーワールドの夜明けは近いぜよ!
読了日:11月11日 著者:川原 礫
https://bookmeter.com/books/7127144

■ソードアート・オンライン (12) アリシゼーション・ライジング (電撃文庫)
キリトとユージオの天路歴程。「カーディナル」と「アドミニストレータ」による「アンダーワールド」をめぐっての争いは、まさに神が玩具を取り合うような、ある意味とっても身も蓋もない残酷さを秘めている。彼女達の存在自体が、現実世界の人間から見たら「瞬時にチャラにできるデータ」であることを考えると、「アンダーワールド」って、ねえ。神は何故、人を作ったのか?という問いへの答えを、不遜なことに自ら実験で解決しようとしている訳で…長くなっちゃったが、この巻、魅力的な整合騎士が次々現れ、二人がよくここまで切り抜けたわ、と。
読了日:11月10日 著者:川原 礫
https://bookmeter.com/books/6654804

■ソードアート・オンライン11 アリシゼーション・ターニング (電撃文庫)
確かに封建制って、自然発生的な制度ではないよなあ…とは思ったんだ。極めて『Civilization』プレイヤーの反応だけど。ことに「人を殺すこと」が絶対的に不可能な世界設定だし。今回やっと仕組みの一端が明かされた訳ですが、ゲーム内で2年2ヶ月もの間、真相に辿り着くまで相当の犠牲を強いられたキリト君におかれましては、本当に「おつかれさま」としか言いようもなく。ついでにロニエとテレーゼが無事で本当に良かったと思う。あんないい子達が不幸な目に遭っちゃいかんですよ。ラストでは「のじゃ」系幼女も出てきてちと嬉しい。
読了日:11月09日 著者:川原 礫
https://bookmeter.com/books/5699636

■面白くて眠れなくなる数学
「眠れなくなる」どころか、しばしば「眠たくなる」のが数学だった俺様でありますが、それは結局、自分の思考能力では、数学の示す世界が「具体」として見えてこないことが多いからなんだろうな、と。そしてたぶん、数学者というのは、それが「具体」として見えている人達なんだと思うのです。大概の数学入門書のトピックとして挙げられていて、幾度となく読んでるんだけど、「景」が見えてこなかったというか。今回、一気読みした中では「グラハム数」と「タワー記号」そして「無限」の話が、一番興味深かった。凄さが「見えた」もんねえ、これは。
読了日:11月08日 著者:桜井 進
https://bookmeter.com/books/620182

■ことばから誤解が生まれる - 「伝わらない日本語」見本帳 (中公新書ラクレ)
Twitterあたりだと、1回でどうやっても140文字しか書けないから「誤解」が余計生じやすい、ってのは容易に理解できますよな。数日に1回は、自ら誤解を生み出しつつ、他人の言葉も誤解しているのだろうから。「そういうもんだ」ということを前提にした上で、それでも可能な限り、誤解が生まれるのを防ぎ、自分自身も誤解しないようにすることが大切なんですよね。辞書編纂に携わり、日々、言葉の収集に余念が無い先生にしても、時に誤りを犯していることを、素直に認め語る。その口調のやさしさの背景に、人間への深い理解があるのです。
読了日:11月08日 著者:飯間 浩明
https://bookmeter.com/books/3142442

■バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)
「神の罰」と称され、聖書でも語られてきた歴史的災害。ゲームでも「ああ、イナゴだ…」と言えば、国力がごっそり削られる蝗害ーーサバクトビバッタに対抗すべく立ち上がった「バッタ博士」は、日本から1万キロ離れたアフリカ・モーリタニアへ向かう。無収入、裸一貫で。人間、分別持って小さくまとまったからと言って、幸せが必ず保証されてる訳じゃないしさ。一途に「バッタに貪り食われたい」という幼少時に抱いたいささか変態的な欲望(いや変態だろどう考えても)を原動力にして、迷わず人生を疾駆するのも、あるいは有りなのかもしれんなあ…
読了日:11月07日 著者:前野ウルド浩太郎
https://bookmeter.com/books/11816121

■ソードアート・オンライン10 アリシゼーション・ランニング (電撃文庫)
「プロジェクト・アリシゼーション」の全容が明らかになるこの巻。ちょうど自分が今とても興味を持っている「トップダウン型AI」vs「ボトムアップ型AI」だとか、量子コンピュータとか、その辺が背景になってることもあって、とても興味深いお話です。そうかー。量子コンピュータが実用化されれば、こんなゲームも作れるってことさねえ…うっとり。6年後に実用化されてるとは、さすがに思わないけど。キリト君はゲーム内時間で2年くらい生きてしまった訳だが、これやっぱ現実に戻ると、無人島生活したのび太みたいになっちゃうのではないか…
読了日:11月05日 著者:川原 礫
https://bookmeter.com/books/5210805

■ソードアート・オンライン (9) アリシゼーション・ビギニング (電撃文庫)
これをもし1巻でやられていたら「単なるありがちな異世界転生ものかと思ったら…うおおっ」的な展開だったろうけど。ま、なにぶんキリト君が酷い目に遭うのは既に慣れっこだし、仮想空間でのサバイバルについては他の追随を許さない特異な才能の持ち主ですからなー。ある意味、安心して読んでいられます。てか、生身の方は大丈夫なんだろうかね実際。そして今までになく女子の影が薄い…アリスまだちゃんと現在のキリト君とは遭ってないしなあ。そしてガチなファンタジー世界って、人間にはめっさ厳しい環境なんだなあ、と改めて思った。頑張れー。
読了日:11月05日 著者:川原 礫
https://bookmeter.com/books/4644167

■ソードアート・オンライン8 アーリー・アンド・レイト (電撃文庫)
3中編掲載。殺人ができないはずの「圏内」で起きた連続「殺人」事件。浮かび上がった過去の悲劇が、SAO内の不可能犯罪の真相に辿り着く鍵となる。SAOのゲーム内システムを巧みに用いた本格推理。北欧神話モチーフの冒険譚『キャリバー』は正統派MMORPGのクエストっぽくて、気楽に読めた。『はじまりの日』はSAOがデスゲームと化した初日のキリト。まったくもって初日からまるで救いのない、と言うか初日だからこその悲劇だったのかもしれない。正直まだ、ゲーム内の死がリアルの死に結びついている実感は乏しかったのだろうな、と。
読了日:11月03日 著者:川原 礫
https://bookmeter.com/books/4045738


▼読書メーター
https://bookmeter.com/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?