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畳の話

旦那さんの実家は近畿某所の田舎の古い日本家屋。

私の方は、猫の額のようなちっこい土地の縦長、店舗兼住居育ち。
城郭都市だった地方都市の下町で、貧乏人(貧困とかいうのでなく、貧乏)の子供だった私。

結婚の挨拶に伺った時、少し後悔した位、ちょっとだけ大きな家だ。

この家の仏間の畳が古くてボロボロだった。
天井の低い古い部屋だったが、びっくりするくらい畳がボロい。

歩くとボコボコしていて、色も赤茶けてきており、ささくれだらけ。

まあ、他人んちなので、私は気にしない。

結婚して子供が生まれて義祖母が亡くなるまで、ボコボコ畳だった。

義祖母は最後の数年施設に入っていて、亡くなる時は入院していた。
その義祖母が春に亡くなり、通夜と葬儀が葬祭場で営まれた。
その間親族は葬祭場で寝泊まりし、義実家には入らなかった。
嫁の私も同じくである。

葬儀が終わり、義実家に戻り、仏間に入った。お正月に帰省してから数ヶ月ぶりになる。
畳が新調されていた。

ボコボコはなく、青畳ではなかったが、普通に畳の黄土色。

広い家なので、どこかの部屋の畳と入れ換えたのかな?それとも青々した畳では合わないから、こういう畳にしたんだろうか?

畳、換えました?

換えてへんよ

義母の答えだった。

そうなんや…でも平らやな、畳。

あれから十数年経つが、帰省の折、仏間に入る度、ついつい畳を見つめてしまうのだ。

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