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パリ~ニース2022 第6ステージ

第5ステージはこちらから

欧州ワールドツアー・ステージレースの開幕戦。「太陽へと向かうレース」パリ~ニース。今年はプリモシュ・ログリッチやアダム・イェーツ&サイモン・イェーツ、そしてファビオ・ヤコブセンやジャスパー・フィリプセンなど、各方面のトップライダーたちが集まる、ここ数年の中でもとくに豪華なラインナップとなっている。

第6ステージは中央山塊を越え、いよいよ南仏プロヴァンス地方へ。マルセイユ東20㎞に位置するオバーニュの街へと至る214㎞の丘陵ステージである。


逃げは5名。

エフゲニー・フェドロフ(アスタナ・カザフスタンチーム)
ヴァロンタン・マデュアス(グルパマFDJ)
ヨハン・ヤコブス(モビスター・チーム)
ユリウス・ファンデンベルフ(EFエデュケーション・イージーポスト)
ヴィクトール・コレツキー(B&Bホテルス・KTM)

途中、ロット・スーダルのセバスチャン・グリニャールもジョインして6名になったが、残り55㎞地点でグリニャールだけが集団に吸収される。

前日までに28ポイントを積み上げて山岳賞ジャージを着用しているマデュアス。この日もスタートから4つの山岳ポイント(2級、2級、3級、3級)をすべて1位通過し、合計16ポイントを追加する。

この日5つ目の、そして最後の山岳ポイントである2級山岳コル・ド・レスピグリエ(登坂距離10.8㎞、平均勾配4.4%)への登りに突入した直後にマデュアスは脱落するが、それでもこの日終了時点での山岳ポイント合計は44ポイント。2位のハーム・ファンフックに24ポイント差もつけており、第7ステージで最大15ポイント、最終ステージで最大35ポイントを得られるとはいえ、このまま最終日まで山岳賞ジャージを守れる公算は非常に高くなってきた。

2019年アムステルゴールドレース8位、昨年のフランドル世界選手権でもジュリアン・アラフィリップのためのアシストに終盤まで働いていた実力派パンチャーが、今大会苦しんでいるエースのダヴィド・ゴデュに代わりチームに成果を持ち帰ることはできるか。


さて、残り39㎞地点から始まる2級山岳コル・ド・レスピグリエ(登坂距離10.8㎞、平均勾配4.4%)。

登り始めでマデュアスが脱落したが、次いでカザフスタンロード王者のフェドロフとファンデンベルフが脱落。

先頭はヤコブスと現役世界トップMTBライダーで今年の東京オリンピック・MTBクロスカントリー5位のヴィクトル・コレツキーの2名だけに。

そこにメイン集団から飛び出したマシュー・ホームズ(ロット・スーダル)が合流。先頭3名とメイン集団のタイム差は30秒。集団の先頭は、トレック・セガフレードのジュリアン・ベルナールが淡々と牽引していく。


2級山岳を越えてついに逃げ残りとホームズはすべて集団に吸収。

カウンターで、2020年のツール・ド・フランスで2回の逃げ切り勝利を決めたレイトアタッカー、セーアンクラーウ・アナスン(チームDSM)がアタック。これは残り16㎞地点で集団に引き戻されるが、その流れの中でダヴィド・ゴデュやアンドレアス・レクネスンド(チームDSM)らが集団から遅れていく。


そして残り10㎞。

集団からカンタン・パシェ(グルパマFDJ)がアタックし、これにクリストフ・ラポルト(ユンボ・ヴィズマ)がついていく。

さらにそこにギヨーム・マルタン(コフィディス)、ゲオルグ・ツィマーマン(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)、そしてマチュー・ブルゴドー(トタルエナジーズ)などが反応し、最終的にブルゴドーが単独で抜け出すことに成功する。

タイム差10秒を維持して単独で逃げ続けるブルゴドー。

普通ならば逃げ切れる状況ではないが、メイン集団側でも散発的なアタックが続き、なかなかペースを上げきれない。

そして残り1㎞。集団はワウト・ファンアールトのためにクリストフ・ラポルトが全力で牽引。だがすでに何度かアタックしている彼もさすがに限界か、鋭角コーナーや下りなど、単独で逃げるブルゴドーにとって有利なレイアウトも続く。

それでも、ラスト300m。後方には集団の姿。先頭で加速するマッス・ピーダスンとその背後のワウト・ファンアールト。さすがに厳しいか?


だが、限界を超えてなおもペダルを踏み続けるブルゴドー。

最後の最後、本当にギリギリ、タイム差0秒で、ブルゴドーはまさかの逃げ切りを果たした。

ラスト10㎞からの、見事なレイトアタック。今年のエトワール・ド・ベセージュ序盤の激坂スプリントフィニッシュでも上位に入り込んでいた実力を見せ始めていた23歳。これから先の大爆発を予感させる、見事な勝利であった。

メイン集団では再びピーダスンがファンアールトに前を譲らずに2位。さりげに今大会2回目の「対ワウト勝利」。ピーダスン、やっぱり強い。

そして同じくアップダウンに強いギルマイやコカール。今年勝利している彼らの好調さも感じさせるリザルトであった。


そして第7ステージはいよいよクイーンステージ。3年前、ダニエル・マルティネスが逃げ切り勝利を果たしているテュリーニ峠山頂フィニッシュ。

総合争いにおけるもっとも重要な戦いが始まる。


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