パリ~ニース2022 第5ステージ
第4ステージはこちらから。
欧州ワールドツアー・ステージレースの開幕戦。「太陽へと向かうレース」パリ~ニース。今年はプリモシュ・ログリッチやアダム・イェーツ&サイモン・イェーツ、そしてファビオ・ヤコブセンやジャスパー・フィリプセンなど、各方面のトップライダーたちが集まる、ここ数年の中でもとくに豪華なラインナップとなっている。
第5ステージは中央山塊の只中へと入り込み、総獲得標高3,300mに達する総距離189㎞の中級山岳ステージ。
序盤から1級山岳の登場する「逃げ向き」のステージで、今大会最初の逃げ切りが決まる。
逃げは10名。
ルーベン・フェルナンデス(コフィディス)
ローラン・ピション(アルケア・サムシック)
ヴァロンタン・マデュアス(グルパマFDJ)
ブランドン・マクナルティ(UAEチーム・エミレーツ)
ミケル・モルコフ(クイックステップ・アルファヴィニル)
マッテオ・ヨルゲンソン(モビスター・チーム)
ハーム・ファンフック(ロット・スーダル)
オウェイン・ドゥール(EFエデュケーション・イージーポスト)
アントニー・テュルジス(トタルエナジーズ)
フランク・ボナムール(B&Bホテルス・KTM)
残り50㎞を切ってもタイム差は6分近くあり、この先頭集団による逃げ切りはほぼ確定的となった。
レースが動いたのは残り40.7㎞から登り始める1級山岳コル・ド・ラ・ミュル。登坂距離7.6㎞、平均勾配8.3%。さらに登り始めてから1㎞~2㎞の区間が平均勾配9.5%の最も厳しい区間。先頭集団からはこの区間で、今年すでに2回の逃げ切り勝利を決めている絶好調のエスケープスペシャリスト、ブランドン・マクナルティが単独で飛び出す。
逃げ集団はこれを追ってマッテオ・ヨルゲンソンやハーム・ファンフック、フランク・ボナムールらが追走集団を形成し、あとはバラバラに。
メイン集団でもマイヨ・ジョーヌを着るワウト・ファンアールトが遅れるなど、サバイバルな展開が幕を開ける。
そのまま先頭はマクナルティ単独。残り38㎞のアタックからそのまま先頭を独りでキープし続けた。
今シーズン3勝目。すべて逃げ切りという、さすがの男。そして彼にとって5回目のプロ初勝利にして、初めてのワールドツアー勝利。今年のツール・ド・フランスではタデイ・ポガチャルのための全力アシストを誓う彼が、数少ないチャンスを掴み取ることに成功した。
そしてメイン集団では、残り11㎞の「スプリントポイントへの登り」の途中でピエール・ラトゥール(トタルエナジーズ)がアタック。
これに端を発したように、総合勢による攻撃が活性化。イオネス・グレナディアーズのアダム・イェーツが集団の先頭に立ちペースアップを図った末に、残り10.2㎞(実際にはプロトンはおそらく残り15㎞ほど)、ダニエル・マルティネスがアタックした。
非常に鋭いアタックで単独で飛び出したマルティネス。これを追うプロトンでは残り8.8㎞でプリモシュ・ログリッチ、残り8.3㎞でサイモン・イェーツ、さらには残り7.4㎞でアレクサンドル・ウラソフなど、各チームのエース級が矢継ぎ早にアタックを仕掛けていく。
そのペースアップもあり、5㎞近く逃げ続けていたマルティネスも残り5㎞。実際には残り10㎞程度の位置で、ログリッチを先頭にしたメイン集団に捕まえられてしまった。同時に、残り28㎞地点から先行して飛び出していたギヨーム・マルタン(コフィディス)も引き戻される。
その後はメイン集団の中での決定的な動きは巻き起こらず。
総合争いは第7ステージの山頂フィニッシュまでお預けになった形だ。
蓋を開けてみれば完全な「逃げステージ」となり、総合争いから脱落していた逃げスペシャリストのマクナルティがさすがの勝利を挙げた、そして総合争いは大きな動きなく終わった、といえるだろう。
ただ、気になるのはユンボ・ヴィズマ。この日、ワウト・ファンアールトもステフェン・クライスヴァイクも早めに脱落し、ラスト20㎞からはログリッチが常に1人だったというのは正直、不安材料である。ここまで常に調子が良かったユンボ・ヴィズマは、その調子の良さが逆に不安を呼ぶようなジンクスを持つチームではあるが、果たしてその嫌な予感は当たってしまうのか。
そして、本日実に18名ものDNSが発生しており、プロトンの中で体調不良が続いているという話もある。
毎年のように波乱が巻き起こるパリ~ニース。今年もまた、このまま平穏には終わらないような気がしている。
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