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ツアー・オブ・ターキー2022第5ステージ、ジロ・ディ・シチリア2022第3ステージ

2022年4月14日に開催された2レース(ベオグラードバンジャルカと2クラスのレースは除く)を振り返る。

ツアー・オブ・ターキー2022 第5ステージ

第4ステージはこちら

大会4回目の集団スプリントステージ。アナトリア半島の西岸、エーゲ海に面したアイワルク(Ayvalık)へと至る186.1㎞。

第1ステージで勝利しながらも、その後はなかなか存在感を示せていなかったロット・スーダルは、この日は最終盤まで先頭をキープ。

残り500mまでルディガー・ゼーリッヒが前を牽き、最終発射台のジャスパー・デブイストが残り200mまで先頭でカレブ・ユアンを牽引。ボーラ・ハンスグローエのダニー・ファンポッペルも、サム・ベネットを引き連れながらこのロット・トレインとサイドバイサイドで最終左コーナーを攻略するも、ラスト200mでユアンが発射されるとベネットはまったく伸びずに沈んでしまう。

しかし、このユアンの背後にいたジャスパー・フィリプセン(ポイント賞の緑ジャージ着用)が飛び出すと、一気にユアンを追い抜いて先頭に。

さらにこのフィリプセンの背後から飛び出したのが、黒いジャージ——ワールドツアーチームで唯一今年勝利なしのチームDSMのジャージ――を着た男。

サム・ウェルスフォード。「昨年最強のスプリンター」フィリプセンを一車身以上引き離してフィニッシュラインに到達した彼は、右手を掲げ、カメラのこちら側にまで届く強烈なシャウトを吐き出した。


今年26歳だが、元々トラックレース専門で昨年の東京オリンピックでもチームパーシュートのメンバーの一人に選ばれ、銅メダルを獲得。ロードレースにおいては今年ようやくプロデビューを果たした「ネオプロ」である。

とはいえ元々(カレブ・ユアンも勝利している)国内選手権のクリテリウムでも優勝したことがあり、昨年のツアー・ダウンアンダー代替レースではカーデン・グローヴスも倒している実力派スプリンター。

国内最強ピュアスプリンターのユアンを退けての、堂々たるプロ初勝利を果たした。

年齢は2022/12/31時点のものとなります。

ユアンは最後、メカトラだったのか、それとも勝てないと分かって足を止めたのか。急速な失速の仕方だった。

残り200mと決して遠すぎない位置からのスプリント、それも彼の得意な先行逃げ切り型のスプリントであれだけの惨敗を期すとは・・・これは一時的な不調なのか、それとも。

それ以上に不安なのかサム・ベネット。ダニー・ファンポッペルの尽力でユアンとほぼ同じような位置で発射できたにも関わらず、むしろそのリードアウトによって疲弊していたようにすら感じる伸びのなさ。

今年もスプリンター頂上決戦の行方は非常に波乱に満ち溢れていそうな様子だ。

「僕らは本当に勝利に飢えていたんだ。そして一歩一歩改善を積み重ねて、ついに勝利がやってきた」――サム・ウェルスフォード。


ジロ・ディ・シチリア2022 第3ステージ

第2ステージはこちら

マヨルカ焼きの大階段などで有名なシチリア島中央部のピアッツァ・アルメリアへと向かう171㎞。

コンチネンタルチームの選手ばかりで構成された6名の逃げ。集団も余裕をもって追いかけていたはずだが、そこに強烈な横風が襲い掛かり、エシェロンが形成される。

結果、タイム差もなかなか縮まらず、残り20㎞でタイム差2分。残り13㎞で1分39秒。そして先頭から一人、19歳のクロアチア人、フラン・ミホレヴィッチが飛び出した。

残り5㎞を切ってなおも1分以上のタイム差を残したまま、ミホレヴィッチはただ一人先頭を突き進む。

そして、ついに辿り着いたフィニッシュ地点。信じられないというように一度頭を抱え、両手を大きく広げながらラインを通過。そして泣きそうな表情で今度は両手でその頭を包み込んだ。

フラン・ミホレヴィッチ。2002年生まれの19歳。彼の所属するサイクリングチーム・フリウリは過去にも多くの有力選手を輩出している育成チームであり、提携しているバーレーン・ヴィクトリアスでは、昨年までこのチーム所属だったジョナタン・ミランなどもデビューを果たしている。

今回の逃げ切り勝利によって総合リーダージャージも手に入れたミホレヴィッチ。もしかしたら来年は、バーレーンあるいはそれ以外のチームも含め、ワールドツアーチームで活躍している姿を見ることができるかも。

年齢は2022/12/31時点のものとなります。

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