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ジロ・デ・イタリア2022 第12ステージ

第11ステージはこちらから

北イタリアの中央部パルマからイタリア北西部の海沿いの街ジェノヴァまでの204㎞。そのルートやレイアウトのシルエットはどことなくミラノ~サンレモも思わせるが、その凹凸はミラノ~サンレモよりもずっと厳しいステージとなっている。


セレクションされた集団でのスプリント勝負か、パンチャーによる抜け出しか、あるいは逃げ切りか。展開を読み切れないステージではあったが、決まったのは総勢25名による大逃げ集団の形成であった。

アンドレア・ヴェンドラーメ(AG2Rシトロエン・チーム)
マチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス)
ステファノ・オルダーニ(アルペシン・フェニックス)
オスカル・リースベーグ(アルペシン・フェニックス)
ヴァレリオ・コンティ(アスタナ・カザフスタンチーム)
サンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス)
ヤシャ・ズッタリン(バーレーン・ヴィクトリアス)
ルーカ・コヴィッリ(バルディアーニCSF・ファイザネ)
ダヴィデ・ガッブロ(バルディアーニCSF・ファイザネ)
ウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグローエ)
シモーネ・コンソンニ(コフィディス)
エドアルド・ザルディーニ(ドローンホッパー・アンドローニジョカトリ)
マグヌス・コルト(EFエデュケーション・イージーポスト)
ヴィンツェンツォ・アルバネーゼ(エオーロ・コメタ)
ロレンツォ・ロータ(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)
レイン・ターラマエ(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)
パスカル・エーンクホーン(ユンボ・ヴィズマ)
ハイス・レームライズ(ユンボ・ヴィズマ)
ミヒャエル・シュヴァルツマン(ロット・スーダル)
ウィル・バルタ(モビスター・チーム)
ダヴィデ・バッレリーニ(クイックステップ・アルファヴィニル)
ルーカス・ハミルトン(チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
マッテオ・ソブレロ(チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
ニコ・デンツ(チームDSM)
バウケ・モレマ(トレック・セガフレード)

メイン集団は最終的に8分以上ものタイム差をつけることとなり、逃げ切りが早くも確定した。


逃げ集団の中で動きが巻き起こったのは残り55.8㎞。3級山岳ラ・コッレッタ(登坂距離9㎞、平均勾配4.4%)の登りの途中で、昨年のクラシカ・サンセバスティアン4位のロレンツォ・ロータ(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)がアタック。一人抜け出す。

ここに集団からさらに抜け出したステファノ・オルダーニ(アルペシン・フェニックス)ハイス・レームライズ(ユンボ・ヴィズマ)の2人が追いつき、先頭は3名に。

マチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス)もここに追いつこうと何度かアタックするが、今回の大逃げ集団の中の最大の優勝候補である彼の動きは当然、最大のマーク対象。

ファンデルプールの抜け出しは決まらないまま、残り35㎞から始まる3級山岳トレンサスコ峠(登坂距離4.3㎞、平均勾配7.9%)でも出入りの激しい展開が続いた結果、バウケ・モレマ(トレック・セガフレード)ウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグローエ)ルーカス・ハミルトン(チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ)サンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス)の4名の「第2集団」が出来上がる。ファンデルプールはこの登りで遅れる。


先頭3名(ロータ、オルダーニ、レームライズ)と追走4名(モレマ、ケルデルマン、ハミルトン、ブイトラゴ)のタイム差は50秒前後で推移。

最小でも40秒程度にしか縮まらず、結局先頭3名の逃げ切りが確定。

3名の中ではジロ、ブエルタのスプリントステージでシングルリザルト経験のあるオルダーニが優位。昨年のツール・ド・ラヴニール総合4位などクライマータイプのレームライズは劣勢のため、残り1㎞の鋭角カーブであえて一人膨らんで残り二人の視界から消えたうえで、ホームストレートで一気に加速! アタック逃げ切りを狙う。

が、これをオルダーニがしっかりと追撃し、残り600mで引き戻す。ロータもその背後にぴったりとつく。

牽制状態で3人横並び。

オルダーニが先頭で残り300mを通過し、再び最初に仕掛けたのはレームライズ。これを追い抜いて先頭に立ったのはオルダーニ。ロータがこれに追いすがるが——さすが「スプリンター」オルダーニ。最後は横にも並ばせることなく、しっかりと先頭でフィニッシュラインに到達した。

2日続けてのイタリア人勝利。しかもともに、1998年生。イタリアの次代を担う才能たちが、このイタリア最大のレースでしっかりとその才能を輝かせ続けている。

とくにこのオルダーニは、元々はスプリンターというイメージだったが、先日の「エトナ山」でも果敢に単独で山を登る姿を見せるなど、かなりアグレッシブかつ登れる姿も見せている。

今後の活躍の幅に期待ができる存在だ。


さて、9分8秒遅れでフィニッシュした総合勢にとっては休息の1日となったこの日。翌日第13ステージも同様に、彼らにとっては平穏な1日となりそうだ。

ただ、スプリンターにとってはどうだろう。全体的には集団スプリントも期待できるレイアウトだが、最後は2%程度のゆるやかな登り勾配。一筋縄ではいかなそうなフィナーレが待ち構えている。

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