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ジロ・デ・イタリア2022 第11ステージ

ジロ・デ・イタリア定番の、北イタリア・ポー平原を駆け巡るオーーーールフラットステージ。

前日の勝利でマリア・チクラミーノ奪取へ大きな可能性を感じさせたビニヤム・ギルマイも、まさかの表彰台コルクの顔面直撃で病院に運ばれDNSに。このままアルノー・デマールが今大会のスプリントを席巻してしまうのか、それとも?


山岳ポイント・・・どころか凹凸の1つも存在しない正真正銘のオールフラットステージ。逃げは2名。

ルーカ・ラステッリ(バルディアーニCSF・ファイザネ)
フィリッポ・タリアーニ(ドローンホッパー・アンドローニジョカトリ)

ただ、横風による混乱を警戒したメイン集団がペースを上げたことで、この逃げは残り92㎞地点で早くも吸収。

残り88㎞地点からは実際に分断が始まり、一時はカレブ・ユアンが脱落する瞬間も。

ただ、誰もが警戒するときは、そこまで大きな被害を及ぼさないのがまた横風というものだ。アルペシン・フェニックスやクイックステップが加速を見せるも、決定的な分断はそれ以上起こらず、ユアンもトーマス・デヘントらアシストの力を借りつつ無事に集団に復帰した。


その後は逃げができないまま残り距離が消化されていく——と思いきや、残り57㎞地点で、不意を突く形でドリース・デボント(アルペシン・フェニックス)が一人飛び出す。

逃げを得意とする実にベルギー人らしいアタッカータイプの元ベルギー王者。追い風に助けられながら、残り10㎞を切っても20秒以上を残しつつ、その後もそのタイム差が、なかなか縮まらない。

ただ、さすがに集団もそう甘くはなかった。ここまで絶好調のグルパマFDJが数を揃えながら追走し、残り1.3㎞でついにデボントを捕える。

そのままグルパマFDJの第2発射台(いつものラモン・シンケルダムか?)が残り800mから集団の先頭を牽引していくが、この日はいつもの他を圧倒する爆発力はなかった。

残り400mの左カーブでクイックステップの最終発射台(ファンレルベルヘか?)に被せられ先頭支配を奪われる。

さらに次の瞬間、一人飛び出すマキシミリアーノ・リケーゼ。

これを見て、アルノー・デマールが残り300mちょっとのまだ早いタイミングで最終発射台(ジャコポ・グアルニエーリ?)の背中から飛び出してしまう。

この背後から良いタイミングで飛び出したのがフェルナンド・ガビリア。

早すぎたデマールが失速する中、これを追い抜いて先頭を奪い取るガビリア。

ここまで3位と2位には入り込んでいる、常に上位にはいるのに勝てない男、フェルナンド・ガビリア。

その彼が、ついに——と、思っていた、残り75m。

このガビリアの背後にいつのまにかついていたアルベルト・ダイネーゼが、最後に驚異的な加速を見せてフィニッシュラインへと飛び込んできた。

上の映像を見てわかるように、残り400mで最後の直線に入るタイミングで、ダイネーゼは前から7列目くらいと決して良いとは言えないポジションにいた。

が、ここまでのギリギリの追走劇と最後のカーブにて先頭が混乱していく中、冷静に彼はコンソンニの後輪を捉え、勝機を見出した。

そしてそこから、時速60㎞を超える先頭の超高速をさらに凌駕する勢いでポジションを上げていった彼の純粋な強さ。

かつて、ケース・ボルもツアー・オブ・カリフォルニアで勝利したとき、同じように果敢かつ純粋な強さでもって鮮烈な勝ち方をしてみせていた。

今日は同じDSMのダイネーゼが、綺麗なトレインもなく、安定したポジション取りもない中、そのすべてを超える勝利を掴み取ったのである。

これこそがDSM。色々と課題を抱えるチームではあれど、勝つときはひたすら気持ちの良い勝ち方をするこのチームは、いつまでも魅力的であり続けている。


第12ステージはパルマからジェノヴァまで。そのコースの形も、辿るルートも、どことなくミラノ~サンレモに近いイメージをもつこのコースは、スプリンター同士の決戦の舞台になるような気もすれば、第5ステージのような波乱の展開もありえるかもしれない、何が起こるか分からない予想がである。

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