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UAEツアー2022 第7ステージ

第6ステージはこちらから

今年最初のワールドツアー、UAEツアーがいよいよ開幕。タデイ・ポガチャル、アダム・イェーツ、アレクサンドル・ウラソフ、マーク・カヴェンディッシュ、サム・ベネット、ディラン・フルーネウェーヘンなど、世界トップライダーたちが集まる豪華な7日間。

最終日となる第7ステージは、今大会2回目の山頂フィニッシュにして正真正銘の総合争いの最終決戦となるジャベルハフィート山頂フィニッシュ。登坂距離10.8㎞、平均勾配6.6%の本格的な山岳で、果たしてタデイ・ポガチャルは危なげなく総合優勝を飾るのか、それともこれを打ち倒す挑戦者が現れるのか。


逃げは6名。

ジャンニ・フェルメールシュ(アルペシン・フェニックス)
クレモン・デイヴィ(グルパマFDJ)
ダリル・インピー(イスラエル・プレミアテック)
ミヒャエル・シュヴァルツマン(ロット・スーダル)
ミケル・モルコフ(クイックステップ・アルファヴィニル)
カーデン・グローヴス(チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ)

最終日ということで、翌日以降のレースを気にしなくてよくなり、これまではプロチーム中心に逃げが形成されていたのに対し、この日は面子だけ見ればかなり豪華な顔ぶれ。
但しいずれも、山岳には適性のない平坦系の選手たちばかり。当然、逃げ切れるわけもなく、ラスト10㎞のジャベルハフィート登坂が開始されてからは唯一フェルメールシュだけが先頭で生き残っていたが、これも残り7.5㎞で吸収される。

この日まで4秒差で総合2位を守っていたフィリッポ・ガンナも、さすがに残り9㎞で早々に脱落。
イネオス・グレナディアーズはもうアダム・イェーツとルーク・プラップの2人だけ。
残り7㎞でトム・デュムランも脱落。やはり彼は、今大会は登りに関しては完全にノーコンディションのようだ。ジロ・デ・イタリアまでに間に合うか。

残り6.8㎞。それまで集団先頭を牽いていたパトリック・コンラッドが脱落すると、UAEチーム・エミレーツのラファウ・マイカが少し加速して抜け出す。
これを、プラップが先頭に躍り出て追走。マイカもまだそこまで本気では踏んでおらず、すぐ引き戻される。

そして第4ステージのジャベル・ジャイス山頂フィニッシュでは3秒遅れの区間9位でフィニッシュしていた絶好調ヤン・ヒルト(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)も、この残り6.8㎞のタイミングで集団最後尾に。

残り5.8㎞。ジョージ・ベネットが先頭を牽き始め、ペースアップ。ファウスト・マスナダも、レイン・ターラマエも、クーン・ボウマンも、ダリオ・カタルドも落ちていき、集団はすでに20名程度。

残り4.5㎞。第4ステージでアタックする姿も見せていたチームDSMのアンドレアス・レクネスンドも脱落。集団は15名程度に。

残り4.4㎞。ジャイ・ヒンドリー、ダビ・デラクルスが脱落。

残り4.2㎞。ジョージ・ベネットが仕事終了。先頭はマイカに。

残り3.8㎞。ニールソン・ポーレスが遅れ、次いでロマン・バルデ、クリス・ハーパーも遅れていく。プラップもきつそうな表情。

先頭は残り8名。UAEチーム・エミレーツのラファウ・マイカ、ジョアン・アルメイダ、タデイ・ポガチャル、バーレーン・ヴィクトリアスのペリョ・ビルバオ、ボーラ・ハンスグローエのアレクサンドル・ウラソフ、イネオス・グレナディアーズのアダム・イェーツとルーク・プラップ、そしてモビスター・チームのカルロス・ベローナの8名。

そして残り3.2㎞。ついにアダム・イェーツがアタック。総合逆転のためには、もう仕掛けるべきタイミングである。
集団内の残りのメンバーは反応できない。カルロス・ベローナは後方から加速しようとするが、抜け出すほどのパワーは出せずにいる。

完全に抜け出したポガチャルとイェーツ。メイン集団からはビルバオがアタックするが、そこにアルメイダが貼り付く。

残り2.1㎞でアルメイダとビルバオが先頭2名に合流。そして同時にアルメイダがそこからアタック。

当然、これを追いかけるのはアダム・イェーツしかいない。全力で追いかけて、引き戻す。追走集団は21秒差で、先頭4名での勝負になることが確定した。

残り1㎞。アダム・イェーツがアタック。アルメイダは脱落。
ビルバオも遅れ、ポガチャルだけがイェーツに貼りつく。
イェーツももう、ひたすらペダルを踏むしかない。だが――引き離されない。

そしてフィニッシュ前の一旦の下り。昨年と全く同じこのポイントで、ポガチャルがアダム・イェーツの前に出る。

そして、第4ステージに続く、スプリント勝利。

あまりにも圧倒的過ぎて、フィニッシュしたアダム・イェーツも笑顔で握手するしかできなかった。

当然、総合優勝はそのままポガチャル。
直前に新型コロナウィルスに罹患していたため必ずしも余裕ではないのではないか、という声も囁かれていたが、結局は杞憂に終わる結末となった。

タデイ・ポガチャル、今年もこのまま、余裕のツール・ド・フランス3連覇を成し遂げてしまうのか。
とくに彼だけでなく、常に終盤まで残り続けたラファウ・マイカ、ジョアン・アルメイダ、そしてその前の段階のアシストで活躍したジョージ・ベネットなど、チーム全体がエースを助けるためにかなり高いレベルで機能していたことも事実で、その意味でも盤石な体制を強く印象付けるものとなった。

ただ、引き続きイネオスのアダム・イェーツが好調なこと。さらにそのアシストとして、ルーク・プラップが見事な走りをしてみせたことはライバルチームにとっても好材料である。

まだまだ、シーズンは始まったばかり。

この1週間で見られた様々な傾向は、いずれも今シーズンこの先を楽しみにさせてくれる材料ばかりであったように思う。

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