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UAEツアー2022 第6ステージ

第5ステージはこちらから

今年最初のワールドツアー、UAEツアーがいよいよ開幕。タデイ・ポガチャル、アダム・イェーツ、アレクサンドル・ウラソフ、マーク・カヴェンディッシュ、サム・ベネット、ディラン・フルーネウェーヘンなど、世界トップライダーたちが集まる豪華な7日間。

第6ステージはドバイの市中を舞台にした今大会4回目にして最後の集団スプリントステージ、のはずだったのだが・・・。


逃げは6名。

ディミトリ・ストラーコフ(ガスプロム・ルスヴェロ)
パヴェル・コヒェトコフ(ガスプロム・ルスヴェロ)
マティアス・ヴァツェク(ガスプロム・ルスヴェロ)
ジョナタン・カニャベラル(バルディアーニCSF・ファイザネ)
アレッサンドロ・トネッリ(バルディアーニCSF・ファイザネ)
ポール・ラペイラ(AG2Rシトロエン・チーム)

6名という、ここまでと比べると大きな逃げ集団の形成に、集団も警戒。残り100㎞を残してタイム差も1分台にまで縮まり、今日も集団スプリントに向けて、問題なくプロトンが逃げを飲み込んでいくことになるだろう、と思っていた。


だが、そこからタイムギャップの減少が進まなくなる。

残り20㎞で1分差までは、まだ、早すぎる吸収を警戒しての動き、というのはまだ納得できる。

だが、残り10㎞でタイム差がむしろ開いて1分23秒近くまで広がっているのは、さすがに雲行きが怪しくなってきていると言わざるをえない。

とくにたった一人で逃げ続けていた昨日と違い、今日はカニャベラルが脱落しただけでまだ5名も先頭に残っている。

にも関わらず、メイン集団の先頭を牽くのはユンボ・ヴィズマとクイックステップ・アルファヴィニルの2人だけ。しかも、クーン・ボウマンやファウスト・マスナダのような、決して平坦系ライダーではない選手が牽いているような状態。

むしろアルペシン・フェニックスなど、最大の優勝候補となるべきチームが牽くべきなのでは? そして彼らが足を使おうとしないことが、他チームも平坦系ライダーを前に出そうとしないインセンティブを生んでしまう。

新型コロナウィルスの影響で各チームの人数が少なく、連日のスプリントでもグランツールなどと比べるとラスト1㎞でのアシストの枚数が少ない傾向が続いていたことも、この状況を後押ししているものと思われる。


残り8㎞。タイム差は1分14秒。先ほどから10秒程度しか、縮まっていない。

残り6.5㎞。タイム差は1分8秒。タイム差は全く縮まる気配を見せない。

残り5㎞でようやく1分を切る・・・が、先頭5名もまだ時速51㎞で走り、後続のメイン集団も時速57㎞で追いかけるが、限界がある。

そして先頭5名の中にはガスプロム・ルスヴェロが3名も入っていることもまた、逃げ切りに有利な要素となっていた。

残り距離は無慈悲に削られていく。残り3.3㎞の段階でパトリック・コンラッドが先頭を牽くような状態である時点で、もう後続が勝利する芽はなくなっていた。

残り2.3㎞でメイン集団の先頭にようやくTTスペシャリストのヨス・ファンエムデンが。しかしもう、遅すぎる。この時点でまだタイム差は45秒。

追い付けるはずがなかった。


フィニッシュの直前まで、ガスプロム・ルスヴェロのコヒェトコフが先頭を牽引。
そして残り200mでヴァツェクとストラーコフが同時にスプリント。ヴァツェクの後輪に昨年のU23版イル・ロンバルディア覇者ラペイラが貼り付くが――結局は、ヴァツェクの前に出ることはできなかった。

勝ったのはマティアス・ヴァツェク。

わずか19歳。ネオプロ2年目の、まだ若き才能の1人が、世界最高峰の舞台でプロ初勝利を飾った。


おそらくは、前身のドバイ・ツアー、アブダビ・ツアーから数えても初めてとなる逃げ切り勝利かもしれない。

これもまた、コロナという前代未聞の事態が生み出した奇跡なのか。


そして明日はいよいよ最終ステージ。すべての総合争いが決着する、ジャベルハフィート山頂フィニッシュ。

このままタデイ・ポガチャルが2連覇を果たすのか。それとも、意外なる逆転劇が巻き起こるのか。

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