エトワール・ド・ベセージュ2021 第1ステージ
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エトワール・ド・ベセージュ。別名ツール・デュ・ガールとも呼ばれる、「ポン・デュ・ガール」で有名なガール県を巡るステージレース。ベセージュとはそのガール県のコミューンの1つである。
全5ステージ。険しい山は登場しないがさりとて純粋な平坦スプリントもほとんどない。最終日の激坂含む短距離個人TTが総合の行方を占うことも多く、過去にもパンチャーやTTスペシャリストが総合優勝を果たしている。
前回取り上げたグランプリ・シクリスト・ラ・マルセイエーズ同様、他地域での開幕レースが軒並みキャンセルされた結果、エガン・ベルナルやヴィンツェンツォ・ニバリなど、非常に豪華な選手・チームたちがそのシーズンデビュー戦として選ぶこととなったレースである。
↓レースプレビューはこちらから↓
第1ステージはベルガルドを発着する143.55㎞の平坦ステージ。
総獲得標高は803mと大人しいが、ラストはかなりの勾配の登りスプリント。上記のレースプレビューでは「緩やかな登りスプリント」なんて書いてあるけれど全然緩やかじゃなかった。
残り81㎞地点で逃げと集団とのタイム差は4分55秒。
逃げは3名。
アレクサンドル・デュレット(デルコ)
トム・パコ(ビンゴール・ワロニーブリュッセル)
ルイス・ルーヴェ(サンミッシェル・ウーベル93)
残り40.6km地点にこの日唯一の2級山岳「コート・ドゥ・ラ・ツール」(登坂距離600m・平均勾配6.3%)が用意され、デュレットが先着。初日の山岳賞ジャージを確定させる。
この山岳賞ポイント直前に一度40秒近くまで縮まっていたメイン集団と逃げ集団とのタイム差は、こののち再び1分以上に広がる。
そのまましばらく停滞するものの、残り25㎞を切ると再び急速に縮まり、ラスト10㎞で「予定通り」吸収。集団はそのままフィニッシュラインへと向かう。
残り6㎞地点で落車が発生。集団の中頃で発生し、今日の優勝候補の一人だったフェリックス・グロスチャートナー(ボーラ・ハンスグローエ)や昨年の総合2位アルベルト・ベッティオル(EFエデュケーション・NIPPO)などが巻き込まれる。昨年このステージで勝ったグルパマFDJのアレクシス・ブルネルも、そもそも最初からあまりやる気でなかったのか集団の後方にいてこの分断に巻き込まれてしまった。
なお、今大会、2019年のツール覇者エガン・ベルナルがシーズンデビューを飾るということで注目していたが、この日はブルネル同様集団の後ろの方にアシストもつけず単独でひらひら。おそらく落車による分断にも遭ったんじゃないか。
調整は調整だろうけれど、一方の2018年ツール覇者ゲラント・トーマスは終盤まで集団の先頭を牽引し、チームメートのミハウ・クフィアトコフスキのためのアシストに全力を費やしていたのに対して、ちょっと不思議な走り方。
まだベルナルの背中は本調子ではなく、あまり本気で走ることはできないのかも、しれない。
さて、落車を踏まえて80名程度になった先頭集団。
残り3㎞を過ぎて集団の先頭はトタル・ディレクトエネルジー、続いてコフィディス・ソルシオンクレディなどが猛牽引。
とくにコフィディスの牽引は集団を一気に縦に長く引き伸ばし、気づけば先頭集団は30名ほどに。
残り1.5㎞で集団の右からトレック・セガフレードが元世界王者マッズ・ピーダスンを引き連れて上がってくる。左からは負けじとコフィディスがクリストフ・ラポルトのために最後のリードアウト。
そして、ラスト1㎞。
一気に、激しい登りが始まる。
ここで上がってくるのは、元コフィディス、現アルケア・サムシックのナセル・ブアニ!
想像していたよりもずっと厳しい登りを、パワフルスプリンターが猛烈な勢いで駆け上る!
しかしその背後に食らいつくのが、そのブアニの最大の(というとアルノー・デマールもいるので微妙だが)ライバル、クリストフ・ラポルト!
後方からピーダスンも追いすがるか、届かない。ラポルトとブアニはそのままフィニッシュラインに向かって突き進んでいく!
ブアニも、負けるわけにはいかなかった。かつて、彼がコフィディスにいた頃に、発射台として使う立場だったはずなのに、いつの間にかエースの座を争う立場になっており、最終的には「追い出される」ことになる、宿敵たるこのラポルト。
だが、2年前のこのレースを総合優勝し、ベセージュのいやらしいフィニッシュには慣れ切っているラポルトの方が一枚上手であった。
結局ブアニはその横に並ぶこともできず、項垂れることしかできなかった。
驚くべきは6位に入ったネオプロ、ジョルディ・メーウス。
昨年はSEGレーシングアカデミーに所属し、チェコ・ツアーで区間2勝&ポイント賞、ベルギー国内選手権U23ロードレースなどを制した即戦力級の実力者である。
今回はパスカル・アッカーマンもチームメートとして来ているため、ピュアスプリントステージではアシストに回ることになるであろう彼が、アッカーマンにはやや厳しすぎる今日のこの登りスプリントフィニッシュで見事チャンスを掴み6位に入り込んだ。
やはり、底知れぬ才能をもつこのメーウス。期待通りの走りに、これからも非常に楽しみになってくる・・・。
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