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遠い所に行ったちょびちゃん

2024年4月6日夜、私たちの大事な家族の一員、ちょびちゃんが遠い所に行ってしまいました。11歳と11ヵ月でした。
その日は珍しく少し夜更かしをしていて、私は読書、主人は映画を観ていました。ちょびちゃんは数日前からご飯を食べなくなり、前日からは水も飲まなくなっていました。なんとなく、私たちもわかっていたのでいつも通りすぐ寝てしまう気になれなかったのだと思います。
ちょびちゃんの横で本を読んでいた私は次第に呼吸が弱くなっていく様子に気が付き、主人を呼びました。
そしてちょびちゃんは、私たち二人の前で静かに息を引き取りました。
苦しかったろう、痛かったろう、なのにそんな素振りを一切見せず、鳴く事も無く、本当に静かな最後でした。

【うちに来た日】

家に来て数分後すでにリラックス

ちょびちゃんがうちに来た日。2012年の残暑が厳しい日でした。
その日は父が保護犬を引き取ったという事で初めて見せてもらいに実家に帰った日の帰りでした。
「犬可愛かったな~」(コーギーとゴールデンレトリバー系のミックス)と、ホワホワした気分で自分の家の近くのコンビニ横を通りかかった時、駐車場に子猫が鳴いているのを見つけました。
子猫可愛い!と手を出したらなんと警戒することもなく寄って来て、あろうことかそのまま抱っこまで出来てしまいました。
野良猫なんだろうけど、毛並みは綺麗だし、顔も汚れてないし、爪も切ったような跡もある。もしかして捨てられた…?でもうちには既にメラニー(当時1歳黒猫雌)が居たので連れて帰る訳にもいかないな…と思った矢先、近くを走った車にびっくりした子猫が私の手から抜け出し走り回ったのです。
これは危ない!子猫の命最優先でそのまま捕まえ、抱っこしながら家まで急ぎました。
家につくと、メラニーが真っ先に「おかえり~」と出迎えてきました。が、私の腕の中の子猫に気が付き「何それ?!!」とビックリ。
まだ子猫を病院に連れて行っていなかったので、メラニーに近づけさせるわけにはいかず、警戒してくれていて助かりました。
(次の日病院で検査をし、病気も虫もなく健康で、ついでにワクチンも打ってもらいました)
子猫は家にきて堂々としていて、すぐにソファで横になりリラックス。
ご飯もモリモリ食べ、トイレも砂の上に乗せたらすぐ上手に出来ました。

【メラニーと】

いつも一緒で仲良し

病院で検査をしてもらった結果、子猫は生後4か月程の男の子だという事でした。家に連れて来た時点で、私は誰かに引き取ってもらう事を考えていました。うちにはメラニーがいるし、2匹も飼えないだろうと。
しかし子猫は可愛い…。
凶暴なメラニーに少し手を焼いていた主人は、子猫の可愛さにメロメロになり、「うちの子にする!!!」と言ってきかず、結局子猫はうちの子になりました。
「ちょび」という名前も二人で悩んで決めました。
(ちょび髭から取った名前だけど、最初はチョビ髭=ヒトラー⇒アドルフにしようなど迷走していた)

始めは警戒していて、ちょびが近寄ろうとするとシャー!と怒るメラニー。
気にせず追うちょび。メラニーに遊んで欲しくて動じる気配が全くない。
このまま仲良くならずに行くのかな、そういう話良く聞くしな、と思っていました。
所がある日、ちょびがメラニーのお乳を吸っている姿を発見!
ええっ?!そりゃメラニーはお姉さんだし、ちょびは子猫だし?でも母猫じゃないからお乳でないでしょ?!なにそれ?!?!
(その様子を動画で撮影していましたが、古い携帯に保存していたので現在見られず…残念)
病院の先生にそのことを報告したら、「お乳は出ていない」との事。
子猫だから甘えたかったんだろうという事でした。
そこから2匹はビックリするほど仲良しになり、時々ケンカもするけど一緒に寝るし、お互い毛づくろいし合うし、他の猫多頭飼いさんからも羨ましがられる程になりました。

この猫団子の間に顏を埋めて両手で抱きしめる幸せ

【玉を取った日】

カラーを付けたのは一度だけ

1歳になる前頃、去勢手術をすることになりました。
男の子なので開腹手術はせず、半日で処置は終わりました。術後取った玉を見せてもらいました。かわいそうだけど、ちょびちゃんの健康の為。
傷口を舐めないようにカラーを付けた姿が可哀そうでした。
↑舐めないように、といってもメラニーが舐めたりしちゃってて大変でしたが…。

【壁紙を食べた】

ベッドから後ろ足をダランとさせて寝るのが好き

去勢手術から1週間後ほど、突然ご飯を食べなくなってしまい、慌てて病院に駆け込みました。レントゲンを見ると胃に異物が。
どうやら…壁紙をかじってそのまま食べてしまったようでした。
食いしん坊にもほどがある!
開腹手術になると10万以上かかるといわれ、まだ小さいのにそんな手術するのも可愛そう…というか、私の不注意が招いた事態だし…と若干パニックに。
その日はそのまま家に帰って来たのですが、バリウムをうんちと一緒に出した際、異物も同時に出て来たようで、ホッと一安心!
その時硬かったらしく、お尻も切れて出血してしまい、また私はパニックになって病院に電話したのですが、電話口で「大丈夫ですよ~」と危機感無く言われて拍子抜けしてしまいました。

【優しい子】

ムギュッ!!(この姿勢で良く寝ていた)

ちょびは心優しく穏やかな猫でした。
私には一度も「シャー」と言わず、一度も噛まず、一度も爪を立てた事がありませんでした。そんな事ある?
嫌がっているのに無理に爪を切ったり抱っこしたりしようとしたときに爪が引っかかって…というのはあったけど、面と向かって何かされたことは本当に一度もありませんでした。

苦しくないのか…?

病院に連れていっても、メラニーは大暴れして先生に噛みついたり引っ掻いたり大変なのに、ちょびは台の上に乗ったらビビッておしっこ漏らすし私にしがみついてくるし、鳴きもしないし、こんなに猫によって性格って違うんだ…と驚かされました。

【デブ】

ふとましい

ちょびは男の子で体も大きくなり、力もあるのでご飯を良く食べました。
メラニーの分も横取りして食べました(笑)
メラニーの分はちょびのもの、ちょびのものはちょびのもの。
そんなだったのでちょびに気づかれないようこっそりメラニーだけにおやつをあげたりもしていました。
しかし体重はみるみる増え、最大7キロ近くにまで太ってしまいました。
健康診断で病院に連れて行くと「こんな大きな猫ちゃんは見た事がない」と言われ(嘘つけ…)と内心思いつつも、今後病気になったりすることもあるから気を付けるようになりました。

主人に抱っこされビビり散らかしている

【結石】

猫あるあるなイタズラ

ある日、ちょびが1日に何度もトイレに行くのを見かけました。
トイレに行くけど、あまり出てないみたい…。これは様子がおかしいと思い、病院へ。
検査の結果、膀胱に結晶(結石が出来る前の状態)が混じっていて、それでおしっこがしにくくなっているようだという事でした。
結石が出来ると大変なので、その前に処置しようという事で、尿道から管を通して結晶を取り出そうとしたけれど、お腹の脂肪が邪魔して管を通せないと言われました…。太った弊害がこんなところに…!
少し時間はかかるけど、薬で結晶を散らすことにし、何とか結石は回避することができました。
当時よく食べるからという理由で「にぼし」をあげていたのですが、それが良く無かったようです。ほどほどに、あげる時はたまに、が良いですね…。

【腎臓病】

暑くなるとよく居るお気に入りの場所

1日に何度も何度も吐いた日がありました。
吐く物がないのに吐いて、とても辛そうでした。
病院で検査すると、「腎臓病」と診断されました。しかもステージ4。
猫の腎臓病は治りません。
悪くなっていくのをゆっくり遅らせる事くらいしか出来ません。
「こんなに悪くなっていて、手の施しようがない。いつどうなってもおかしくない状態」と、言われました。
目の前が真っ暗になる、とはこのことだと思いました。

飼い主として、毎日一緒に居て、少しの異変があればすぐ病院に連れて行き、ご飯も肥満防止の物など色々試し、毎日可愛いと声をかけ、遊び、一緒に寝て、早朝ご飯の為にたたき起こされ(早いと朝4時)、ずっとずっと大好きで大事なちょびが、もう手の施しようがない?突然いなくなってしまうかもしれない?うそでしょ…?

この時はとりあえず点滴を打ち、うちに帰ってきました。
ちょびちゃん9歳でした。

【歯周病】

呼んだらちゃんとこっち見てくれる

腎臓病の治療は出来ないので、食べ物から体にいい物を取り入れようと色々試しました。若いころはあげれば何でも食べたのに、この頃は食べない事も増えてきました。
これなら食べるかな?こっちは?これは体に良くなさそうだからダメだな…
値段が高いからと言って食べる訳でもなく、ご飯探しの為に何軒も梯子することも増えました。
ある時ちょびの口が臭いな~と思ってよく見ると、よだれが出ていて、また病院へ。
すると歯に歯石が貯まっていて口臭の原因になっているとの事。
普通は麻酔をかけて治療するんだけど、ちょびは腎臓病ステージ4なので、全身麻酔をかけると命が危ないとの事で治療が出来ない…。
猫も歯磨きをしないと歯周病になる事があると初めて知りました…。
メラニーや、実家の猫にはそんな事無かったので。
猫によって違う、という事を本当に思い知らされました。

【私にくれた最高の時間】

「鈴木ズコ」様に描いて頂いたちょびの似顔絵と一緒に

病気が判明した後も、ちょびは毎日可愛いし、優しいし、甘えん坊で、よく私に話しかけてくれて一緒に寝てくれました。
ずっと頭のどこかで「いつかいなくなってしまう」と覚悟を決めていました。でもその時がいつになろうと、私はちょびちゃんに毎日語り掛けました。
「大好きだよ」「良い子だね」「可愛いね」「おりこうさんだね」
「うちの子になってくれてありがとう」

家で仕事をしているときに膝の上に乗って来て、重くてちょっと邪魔だけど愛しくて、抱っこしながらそのままZOOM会議してると猫が映って相手も笑顔になりました。

今まであった出来事を思い出すと病気の事が真っ先に思い出されて病院ばかり行っていたような印象になってしまいますが、何気ない日常が、一番幸せで、かけがえのない宝物です。
いつも側で寝ていて、ご飯の時間になると呼びに来て、私の膝にのってゴロゴロいって、たまにクッションをフミフミして、メラニーの後について走って…、ちょびのそのままの存在が、私の日常の1つであり元気の源でした。
ちょびが居なくなって、メラニーも違和感を感じているようです。
前よりも鳴くようになり、私にべったり甘えるようになりました。
ずっと一緒にいたもんね。寂しいよね。

 

ちょびちゃんが亡くなった次の日、主人と二人でペット専門の葬儀屋さんに連れて行きました。ちょびちゃんを大事に大事に扱ってくれて、我慢していた涙を抑えることが出来ませんでした。
X(旧ツイッター)のフォロワーさんが、ちょびちゃんの事を知り、お花とメッセージを贈って下さいました。白と淡いブルーの花がとても良く合っています。
ネットでも沢山の方からメッセージをいただき、本当にありがとうございました。正直まだ、心の整理がつかず、どこからかちょびが出てくるのではないかと思う程です。
居なくなってしまっても、私にとってちょびは大事な大事な家族です。
ちょびがくれた幸せ、嬉しさ、楽しさ、笑顔、喜び、全部全部大切な宝物です。
ちょびちゃん、天国で待っててね。
うちの子になってくれて、本当にありがとう。

フリー素材として描いたイラスト
沢山の方にDLして頂いております
モデルはもちろん、ちょび


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