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大勝軒のもりそば
私の食べ歩きの原点は、大勝軒である。茨城県は龍ヶ崎市にあった「佐貫大勝軒」。母と弟と行ったその日以来、私の食べ歩き人生は始まった。かほどに衝撃的だったのが、大勝軒のもりそば、である。
テレビ等で噂には聞いていた大勝軒の名。それまでも勿論外食の経験はあったが、はじめていただいたその一杯は実に刺激的だった。とにかく旨い。旨いというのは、旨いという事なのだ、そんなふうに訳が分からなくなるくらい、旨かった。スープの、あの甘じょっぱさの素晴らしさ。ツルツルと滑らかにしてモチモチと食感よい麺。デカくてやはらかで、しかしながら噛み締めるほどに旨いチャーシュー、味玉でないのにスープ吸って旨くなったゆで玉子、添えられたほのかに柚子の香る水…すべてに驚かされた。
私は本店の、山岸さんの手によるもりそばをいただいたことは無い。しかしおそらく、それと同等以上のものを、佐貫大勝軒は出していたと思う。他の大勝軒も色々食べ歩いてみたが、ついぞここを超えるものには出会えないままである。
いや、一軒だけあった。それも実家の近くに。つくばの通称「ラーメン街道」と言われる、なぜか片側三車線の巨大バイパス「サイエンス大通り」沿いにあった大勝軒。ここのマスター「コボリさん」が生み出すもりそばは、絶品。佐貫大勝軒のそれに見劣りしなかった。この店は深夜2時まで、朝は6時からとかなり無茶な営業をしていた。にもかかわらず、コボリさんの作る大勝軒はいつも素晴らしく旨かった。
助手のイワちゃんが最低だった。すぐにサボるし口答えはするし、調子に乗る。そんなダメなイワちゃんだからラーメンは作らせてもらえず「地走り」と呼ばれる下働きされてた。それも不満だったのかもしれないが、とにかくクダラナイことばかり言って仕事をしないイワちゃんにも、「面白い人でしょう」と私たちに優しく語るコボリさんなのでありました。
体調を崩されて店をやめられたコボリさん。イワちゃんも引き継いだ人についていけず消えてしまったとのこと。
またコボリさんのもりそば、食べたいなぁ。
イワちゃんは、いいや(笑)
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