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うずらの玉子

中華丼を食べる際に一番悩む事、それは「何時うずらの玉子を食べるか」に尽きるのではないだろうか?最初にいただいてしまうと、なんだかもう、中華丼ではなくなってしまう気がする。かと言って最後だと、後味は完全にうずらの玉子になってしまう。私の場合は、比較的最後のほう派であり、もうあとひとレンゲほどになったくらいに、かぷりといただく。うずらの味をしっかり堪能しつつ、最後はあんかけの、できれば豚バラの、無ければしゃーない白菜の、コメと一緒のそれを放り込む。これなら、中華丼を食べたという実感を後味にまで残すことができる。とにかく、うずらの玉子というやつは、その小ささの割には大きな存在感を我々に見せ続けている。

中華丼にのるうずらの玉子は、一個だけがいい。たくさんある方が食べるという観点だけからすればいいのだが、なんというか、ありがたみが減る。一つの山には一つの乳首というのが自然なのである。うん。

たいていの焼き鳥屋には、うずらの玉子の串が存在する。一方で肉は存在しない。野生のうずらが禁鳥である事、体長が小さい事などが理由らしい。玉子についてはそれように飼われている、つまり家禽ということでOK、だから玉子は簡単に食べられる。うずらの玉子の串と言うと、既に茹でられて串刺しにされたものが多いが、時々、生を殻ごと串刺しにして、そのまま焼き上げてしまうものも見かける。殻ごとムシャムシャといただく事になり、そりゃぁもうなんだかイケナイ事をしている感じになるのだが、味自体はなんとも言えない旨さ、妙味がある。黄身が半熟というより、ムースのやうになるのがいい。

うずらの玉子の串と言えば、フライも外せない。スーパーの総菜コーナーにあるそれは五個刺しだったりして、巨大な姿で存在感を示していたりする。特売であることも多い。賞味期限の近いものを使用しているのだろうか。ま、いいけど。あれにソース付けてやるのは旨いから。黄身はパサパサなくらい火が通ってるけど、黄身の体積自体が鶏よりは小さいから、ちょうどいいんですよね、パサパサイズが。

落語で、江戸っ子が死ぬまでに蕎麦をたっぷりとツユにつけて食いたい、という一節がある。同様に、たっぷりとうずらの玉子を食べたいというウズマニもきっといることだろう。そんなマニア向けの店が、所沢にあるらしい。オサレなキャフェが出すオムライスのランチ、なんと使ってるのはうずらの玉子だけだという。その数なんと16個。ごはんはうずらの出汁で炊いたものでうずら肉入り。先付け、サラダにもうずらの玉子。合計19個の玉子を食べることになるという。これは凄い。

店の名は、うずら屋。最寄りは航空公園駅とのこと。どこやねん(笑)

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