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「ピザの注文」を受けた911オペレーター、通報女性の“SOS”に気づく

このほどアメリカで、緊急通報番号911へピザの注文の依頼が入った。

電話を受けたオペレーターの男性は当初困惑したものの、これが密かに助けを求めていることを悟った。

そんな彼の機転によって無事、家庭内暴力の男を逮捕するに至ったという。

米オハイオ州ルーカス郡オレゴンで今月13日、緊急通報番号911にある女性から「ピザの注文をしたい」と連絡があった。

この電話を受けたオペレーターのティム・テネィックさん(Tim Teneyck)は少し困惑したが、オペレーター歴14年のベテランである彼は、女性の口調から「助け」を求めていることを読み取った。

ティムさんが女性とやり取りした会話は次の通りだ。

ティムさん「はい。オレゴン、コール911です。」

女性「ピザの注文をしたいんだけど、届け先は○○でお願いします。」

ティムさん「あなたは、ピザの注文のために911に電話したの?」

女性「あぁ、はい。そうなんです。で、アパートの○○号室までお願いします。」

ティムさん「ピザを注文するのに、この番号は間違ってますよ。」

女性「違うの! 違うんです。あなたは分かってない。」

この時点で女性が何かを訴えていることを察したティムさんは、「分かった。今、あなたの状況が理解できたから」と返した。そして次のようにやり取りを続けた。

ティムさん「そこにまだ、誰かいるんだね?」

女性「そうなの。Lサイズのピザが欲しいの。」

ティムさん「分かった。怪我とかはない? 何か処置が必要だったりしますか?」

女性「いいえ、ペパロニでお願いします。」

通話を終えた後のティムさんは、警察に加害者が逃げないようパトカーのサイレンを鳴らさないで現場に向かうように伝えた。

そして通報して来た女性の母親に暴力を振るっていたサイモン・ロペス(Simon Lopez、56)がその場で逮捕された。

サイモンは酒を飲んだ後に帰宅し、女性の母親と口論の末に酔った勢いで拳で殴ったり壁に叩きつけたりしたという。

今回、女性の「ピザの注文」の裏に隠れた“SOS”に気づいたティムさんは「家庭内暴力による通報はよくあることですが、似たようなケースはFacebookか何かで見聞きした程度です。

私達オペレーターは通報者からの情報をきちんと受け取るべく訓練を受けていますが、今回のようなことへの対応方法は誰も教わっていないんです。

もしかしたら他のオペレーターでは気づけなかったかもしれませんね」と語った。

またサイモンを逮捕したオレゴン警察のマイケル・ナヴァー署長は「彼は通信指令係(オペレーター)として最高の仕事をしてくれました。

他の者だったら、そのまま電話を切っていたかもしれません」とティムさんを称え、さらに家庭内暴力などの際には911に連絡することが望ましいとして「是非、なんとしてでもあなたが困っている状況をオペレーターに伝えようとしてください。

今回の女性はそれをしました。彼女は言葉ではなく声のトーンで伝えてきたのです」と話している。

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