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浦嶋プロジェクト 浦嶋の爺

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太郎は亀を助けただけなのに…。その結末は、ちょっとかわいそうですよね? この物語は、あの昔話から始まった。これは、太郎の壮大な人生の物語。
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第1章 浦嶋の爺 ~AN OLD MAN OF URAZIMA~

浦嶋の爺 改訂20220706 むかし、むかしのことじゃった。 白浜の広がる海辺の村に 白髪の老人がヨロヨロしながら歩いてきた。 やがて爺さん。力尽きて倒れてしまった。 そこへ通りかかった村人が爺さんに気付いて駆け寄った。 「大丈夫か爺さん!」 「何か… 何か食べるものを…」 村人は、大急ぎ家に戻り、朝ご飯に用意しておいたおむすびを抱えて爺さんの元へ走った。 爺さん、おむすびを見るなり、パクパク、ぺろっと食べてしまった。 元気を取り戻した爺さん。 「有り難う

浦島太郎には、続きのお話が存在してることをご存知でしょうか?しかも9編も…。

太郎は亀を助けただけなのに…。その結末は、ちょっとかわいそうですよね? 日本のお伽話は他にもたくさんありますが、教訓なのか?言い伝えなのか?どれもよくわからないことが多い気がします。最近では、話の内容がよりマイルドになり、桃太郎の猿、雉、犬 は、きび団子で「家来」になるのではなく、自発的に「仲間」に加わるみたいです。鬼からも勝手に財宝を奪ったりしません。 お伽話は時代によって変化して行くため、その意味合いが変わっているのかもしれませんね。 浦島太郎の話に戻りますが、 太

第2章 浦嶋の爺 帰郷編

むかし、むかしのことじゃった。 森の一本道を、ものすごい勢いで走る少年。 少年は、亀の甲羅を被り、荷車を引き、わき目もふらず、タッタッタっと、ふもとの村を目指していた。 この少年、名前を太郎と呼んだ。 浦嶋の爺 帰郷編 ふもとの村は、太郎のふるさと、母(かか)さまと父(とと)さまが暮らす静かな村だった。 家の近くまでくると、たくさんの村人が太郎の家の周りに集まり、ざわざわしていた。 なにごとかと、太郎は荷車を置き、家の前まで走り寄った。しかしたくさんの村人が立ちふさが

第3章 浦嶋の爺 竜宮編(前編)

海の向こうに不老不死の楽園があると言う 深海を泳ぎ進む青年 かつて青年はその楽園で かけがえのない人と出会い結ばれた 楽園に住む乙姫さま だが青年は地上の世界に残してきた両親のことが気がかりで、ひとり楽園を後にする 乙姫さまは深く悲しみ泣いた 青年は両親に無事な姿を見せたら直ぐに戻るから安心しなさいと、乙姫さまの涙をぬぐった 「わかりました」乙姫さまは、そう言うと玉手箱を取り出し、 「私にまた会いたいとおもうなら、けして開けないでください」と言って青年に渡した あ