【いよいよ来週】DISK-Over Session「聴くタモリ~春のタモリフェスティバル」(4/21)のご案内
スージー鈴木プロデュース、南青山で「音楽を語る」イベントシリーズ=DISK-Over Session(ディスカバーセッション)も、いよいよ第11回、新年度ということで、攻めた企画をお届けします。題して「聴くタモリ~春のタモリフェスティバル」(タモフェス)。
具体的には、アルバム『タモリ1』『タモリ2』、そして発売中止となった世紀の珍盤『タモリ3~戦後日本歌謡史』を聴きながら、レコード盤に収められた、アナーキーでラディカルで、イグアナの臭い漂うタモリを堪能する会にしたいと思います。
チケットはこちらから。
で、それぞれ、どんな作品なのか。まず『タモリ1』(77年)ですが、これは個人的には最高傑作。曲目はこんな感じ。
「第一回テーブル・ゲーム世界選手権大会」が謎ですが、これこそがあの有名な「四ヵ国語麻雀」ですね。また「アフリカ民族音楽"ソバヤ"」も有名。しかし、私のイチオシは、ハナモゲラ語(タモリによるデタラメ言語の総称)が盛り上がって昇天する「歌舞伎中継"世情浮名花模越"」です。
『タモリ2』(78年)は、主にB面の「タモリのバラエティー・ショーVol.2」で記憶される作品。
「教養講座 音楽の変遷その1:旋律の源とその世界的波及について」はA面全体を占める対策なのですが、やや消化不良感あり。ただ曲目を細かくご覧ください。「ドン・コサクニン合唱団」あたりの攻め方に注目。
B面では、「古典落語 めけせけ」 と「ピアノ・ジョッキー 夜をあなたと」が秀逸。あと「信濃路ツアー」における「夜は技巧のない●●に明け暮れ」というフレーズには、何度聴いてもガクンと腰が抜けるのです。
そしてタモリ史上、いや日本コミックレコード史上最大の問題作『タモリ3』(81年)。
私が過去に書いた記事より引用します。
果たして、「有名な歌謡曲のメロディと歌詞を少しだけ変えたもの」ってどんな感じなのか。例えばこんな感じ。
『タモリ3』よりカザンオールスターダスターズ『勝手にダイドコロ』
こんなのがLPで1枚分続くのですから、これはもうどうかしている。
イベント当日は、タモリとサザンオールスターズ、スネークマンショー、いとうせいこうらとの関係についても言及しつつ、単に作品を聴くだけでなく、戦個カルチャーシーンにおけるタモリという人物の、唯一無二のポジションについての考察を深めたいと思います。
とはいえ、すでに数々の論客が「タモリ論」を述べています。ですが、しっくり来るものが案外少なかったりします。そんな中、正鵠を射ているなと思うものは、例えば、町山智浩氏によるこれ。
当日、タモリのレコードを通じて、明らかにしたいことは、
すべてのパフォーマンスのベースに、既成の権威に対抗しようとする「パンク性」が潜んでいること。
(上記1の発露に向けた方法論として)権威、熟練、インテリに対して、「彼らのありようをいかにもそれっぽく再現することによって、結果的に貶める」という、非常に高度な批評芸を見せたこと。
イジる対象が単一ではなく、言語、音楽、動物、料理……と極めて網羅的。結果として、社会全体を批評したこと。
という感じです。今夜「タモリ倶楽部」は終わりますが、南青山の「タモリレコード倶楽部」で、イグアナの臭い漂う初期タモリについて考えましょう。
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