白いカーネーション・14「お花いっぱいの棺」
母はほんとうに きれいな顔で眠っていました。
いつしか、お化粧もしなくなってしまったけれど、
自分の親に言うのも変ですが、
こんなにきれいだったのかと見とれてしまいました。
祭壇も今は、白ばかりではなく、
ピンク色もまぜてもらいました。
近しい人だけで
静かに葬儀がおわろうとしていて
棺に順にお花をいれていきました。
顔のそばにもっとおいてあげてとか
カーネーションを手元にもってあげようとか、
ゆっくりとゆっくりと。
1歳のひ孫がお花を一つ入れては
パチパチと手をたたき喜び、
もうひとつもらってはポトッと
また入れて大喜びで手をたたき。
とても可愛い一コマで、
まわりから笑いもこぼれるほど。
母もわらっていたとおもいます。
そうして、
母は色とりどりの
お花いっぱいに囲まれました。
最後に棺が閉じられるときには、
もっとすがりついて
泣いてしまうのかとおもいましたが、
「ありがとう。ありがとうございました」と
繰り返し言うだけでした。
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