空白に重さはあるか

セロテープとダンボールで作られた神様が、さっきまでの晴天が嘘のように降り始めた雨の水滴にあたって少しずつ崩壊していくのを見ていた。

フリーマーケットに集まっていた人々の姿が少しずつ遠ざかっていくのを足音やざわめきで感じ取っていた。

ビニールシートに座っている少年は任天堂スイッチでポケモンのようなゲームをやっていた。

君がつくったこの1200円の神様がどんどん雨で腐っていくけど良いのかな、って私はたぶん君に話しかけたい。

話しかけてどうなるかわからないし、セロテープとダンボールで出来た腐りかけていく1200円の神様は買わないけど。

どういう気持ちなのか質問したい。

身体をダンゴムシみたいに丸めて任天堂スイッチは守るのに、君は自分で作った神様を守らないのか。

自分の頬に手を当てると、冷凍みかんのように冷たい。

帰りのバス。バスの時刻表。もう帰らないと、見たいテレビに間に合わないかもしれないし。

バスの中でバスと力比べするように体重をかけて寄りかかりながら、迷路の事故のニュースを見ていた。

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