中日ドラゴンズのドラフト指名を本気で予想してみよう
皆さんこんばんは。@suwaharu07です。
前回、前々回と2度の記事にわたって『中日ドラゴンズが指名するべきバッター』について語っておりましたが、今回はもう一歩踏み込んで、
中日ドラゴンズのドラフト指名を本気で予想
と題して、ドラフトの指名順位ごとに獲得すべき(獲得してほしい)選手を考えていこうと思います。ドラフト戦略からポジション・年齢に至るまで、ドラゴンズのドラフト指名を幅広く総合的に考えようという記事がこちらです。
今回の記事では、
「獲得すべき選手を見定めるための"戦略"」
「選手獲得のタイミング/ドラフト順位を見極めるための"戦術"」
以上の2点に着目して、中日ドラゴンズのドラフト指名を考えていきたいと思います。
それでは本記事の目次です。
中日のドラフト・戦略論の①~既存戦力の状況整理~
まずは中日に入ってほしい選手のタイプを整理しましょう。基本的には「層の薄い年齢/ポジションをフォローする」のが補強戦略の定石ですので、現在のドラゴンズに足りない箇所を考えるのが重要です。
さてそんなわけで、ここに取り出したるは中日ドラゴンズの選手・ポジション別年齢表になります。筆者自家製の年齢表より、日刊スポーツ様の作成なさった年齢表が10倍見やすいので画像を引用させていただきます。育成選手が載っていないのですが、ともかく我々はこの年齢表を作成してくださった日刊スポーツ様を崇め奉らなければなりません。
こちらの年齢表ですが、10.7時点において、ロサリオ・(丸山)・三ツ間・山井/武田・井領・遠藤・藤井の退団が決まっています。
外国人枠について考えたとき、投手・野手とも3~4人程度に支配下登録を行った上で2022シーズンに臨むと仮定しましょう。今回の引退、および第一次・第二次戦力外の内訳を考慮するとドラフトでは5~7人程度の支配下選手新規獲得が予想されます。
間をとって6人の支配下指名を行うと考えてみます。上記の年齢表で空きスペースが大きい・層が薄いと思われる箇所をポジションごとに列挙するとこうなります。
投手:23歳以下かつ支配下クラスの左腕
捕手:18歳~23歳の若手…特に左打ち
内野手:22歳以下の全範囲…特に右打ち
外野手:23歳以下の全範囲…特に右打ち
日本人の支配下選手で退団が決まっているのは、人数の多かった右投手2人、そして外野手4人(うち右打者は1人だけ)です。内野・外野を兼任する野手の人数が左打ちと右打ちで偏っていることにも留意が必要でしょう。
(内外野を兼任している野手…石岡・高松・根尾・滝野/石垣)
これらの事項から、中日ドラゴンズが指名すべき選手のポジションは以下のように類別できます。
最優先:右打ちの内外野手…放出の多かった外野手優先
優先度高:本指名クラスの左腕投手…年齢層を埋める20歳以上が優先度高
優先度中:高校・大学生の捕手…左打ちが望ましい
中日のドラフト・戦略論の②~公表済みの指名方針~
10.7時点で中日のスカウト陣が公表している方針については、こちらの2記事がいい感じにまとまっているので引用させていただきます。
2つの記事の要点をまとめると、米村スカウトの談話はこうです。
①指名する人数は6人程度
②育成指名は、本指名で欲しい選手が残っていたら行う
③コロナ禍で選手の見極めが難しい
④即戦力のホームランバッター、特に右打ち外野手を獲得したい
⑤今年のドラフト市場は投手が優秀
⑥大卒右打者/高卒左打者/高卒右投手/大社左投手に注目している
上記の①、④、および⑥の一部は先ほどの考察とほぼ一致しているところです。④、⑤、⑥を合わせると指名予定の選手タイプが大まかに見えてきますが、ここで考えるべきは従来の中日ドラフトとの差異です。
(ドラゴンズの近年のドラフト指名傾向)
このように近年は右投手重視・外野手軽視の傾向を見せていたドラゴンズですが、米村スカウトの談話から見えているのはこれまでの中日とは明らかに異なるドラフト戦略です。
高卒投手重視の17年、20年の結果を辿れば今年のドラフトは21年と似た形になるのでしょうか。即戦力投手を重視しつつ、近年でも数少ない例外となる"即戦力のスラッガー"をドラフト上位で指名する可能性は大いにありえるでしょう。
また、③のコロナ禍に対する言及も見過ごせません。
アマチュア選手がスカウトにアピールする機会が限られた状況で行われていた、コロナ警戒下の2020年ドラフト会議では、評価が固まっている即戦力投手や長打力を持った野手が高く評価されました。
コロナウイルス対策により視察の機会が限られている今年では、以下のように"評価しやすい選手"が優先して指名されることも考えられます。
"評価しやすい選手"の例
Ⅰ.全国大会の大舞台で活躍した選手
Ⅱ.球速・長打力など、相手関係に左右されない能力をアピールした選手
ⅲ.下級生の頃から活躍していた選手
Ⅳ.球団の関係者が所属するチームでプレーしている選手
Ⅳの特徴はチームのフランチャイズに近い場所でプレーした選手(いわゆる"地元枠")にも関わってくるところです。これらⅠ~Ⅳに当てはまる選手を中心として「即戦力のスラッガー」を優先的に確保し、即戦力投手、運動能力の高い二刀流バッターなどを取りに行くのがドラフトの全体方針となるのではないでしょうか。
さてさて、「戦略」について語り終えたところで次は「戦術」です。
中日ドラゴンズが獲得すべき選手について考えていきましょう!
中日のドラフト・戦術論~予想出来るドラフト指名~
上記の"戦略"を元にして考えると、1位指名すべき選手が見えてきます。
入札候補としては、最も優先度の高い「即戦力の右打者」か、次に優先すべき「即戦力の左腕投手」かの二択でしょう。どちらを優先するかについては、補強ポイントの被っている広島カープとの駆け引きを考えましょう。
ドラフト時に中日がカープより下の順位なら1位投手指名、2位打者指名、 カープより上の順位なら1位打者指名、2位投手指名を狙うべきと考えます。
右打者なら正木智也(慶應大)・左腕投手なら隅田知一郎(西日本工業大)をそれぞれの第一候補としたいところです。
(21年ドラフト市場で最有力のスラッガー・正木智也)
(同最高評価の左腕投手・隅田知一郎)
前述の記事を含める複数のスカウト談話によると、
打者の最高評価は正木(慶應大)・ブライト(上武大)・鵜飼(駒沢大)で横一線
投手は森木(高知)・小園(市立和歌山)が傑出、左腕では隅田(西日本工業大)
となっています。「戦略」の項で考察した複数の要素を加味すれば、ドラフト1位の入札本命は正木・隅田の二人に集約されるのではないでしょうか。
米村スカウトは三拍子揃っているブライト健太(上武大)を推しているようですが、即戦力を欲しているチーム事情を鑑みたときにブライトが補強ポイントに当てはまるかは微妙です。身体能力的には中日の従来ドラフトに傾向が合致するものの、下半身の細さ、アピール機会の少なさなどを考えれば 1年目から活躍するという予想は立てにくいのが正直なところ。複数メディアでプッシュするわりに、脚力に難のある正木やコンタクトに課題を持った鵜飼と横一線にしていることも気になります。
少し話は逸れますが、体の細身な選手を即戦力に勘案するのはとても危険です。なぜかといえばケガに弱い傾向があるほか、体格の成長に伴って打撃フォームが崩れる恐れがあるからです。もちろん例外的な選手も多くいますが、身長が低く小回りが利く身体であったり(吉田正・茂木)、下級生時から試合経験が豊富で守備に定評があったり(京田・辰己)と、細身をフォローする特徴がありました。
ブライトは高校時代に全国区のレベルでプレーした経験がなく、大学では3年間補欠でした。もちろんプロで大活躍する可能性があると思いますし、来シーズンが始まるまでの半年で肉体改造に成功するのも考えられますが、中日に合う野手は、役割がハッキリ1つに定まっていて計算の立ちやすい、正木の方だと考えています。
まあ、この2人はあくまでも指名の一例として挙げた選手なので少し脇に置きましょう。戦略の項でまとめた情報を参照しつつ、このパターンで指名を考えると、予想されるドラフト指名は以下のように考えられます。
ドラフト1・2位:右打ちの大社スラッガー/左投げの大社投手
ドラフト3・4位:運動能力の高い左打ち野手/右投げの速球投手
ドラフト5・6位:高校・大学生捕手/同じく内野手/投手
投手:野手の人数比は3:3~2:4程度かと思われます。ドラフト下位で投手を指名するとした場合、上の順位で指名した投手から年齢をズラすような指名になるのではないでしょうか。
高卒投手重視の20年ドラフト指名や、大社スラッガーの少ない来年のドラフト市場とのバランスを考えれば、ポジション・年齢の比率は下記のようになると思います。
投手の年齢比――20歳以下:21歳以上=1:1か1:2
野手の年齢比――20歳以下:20歳以上=1:2か1:3
捕:内:外のポジション比――1:1:1、0:2:2など
戦略その②で述べたように、ドラゴンズの従来傾向やコロナ禍でのニーズに合致している"地元枠"の選手も考えれば、このようなドラフトになるのではないでしょうか。
中日ドラゴンズのスカウトがコメントしている選手、また東海四県+北陸圏になじみの深い選手たちで考えてみました。補強方針を前述の戦略に沿わせつつ、ver1.1のように若干外したパターンも考慮しています。
当日のめぐり合わせ次第ですが、個人的にはver1.0が好みですね。どのようなパターンに近付くにしろ右打者が重視されるのは共通させています。この資料を作るまでに様々な方々と共にシミュレーションを行ってきましたが、大社の左腕投手はドラフト3位までには残っていないというケースが非常に多く、ドラフト会議本番での駆け引きに注目しています。
(10/10追記:『指名例ver1.1』に載せている秋田選手は志望届を提出していないのでドラフトにはかかりません。資料作成時の自分の確認ミスです)
性癖~補強ポイントとか関係なく筆者が欲しい選手~
これはドラフト分析に疲れた筆者個人用の項目です。ドラゴンズの補強ポイントに関係なく好きな選手を挙げてみます。
高卒投手――森木(高知)・達(天理)・竹山(享栄)・石田(東海大相模)
この4人マジで死ぬほどチームに来てほしいです。唸りを上げるようなストレートをインハイ/インローに投げ込める凄まじい投手です。若さゆえにそれぞれに課題も散見されますが、それを差し引いてもプロで見たい投手ばかり。最終的に育った際のパフォーマンスが楽しみで仕方ありません。
高卒野手――有薗(千葉学芸)・松川(市立和歌山)・前田銀治(三島南)
有薗・前田は身体能力が卓越しています。松川はどんなときもチームに貢献できる頭脳・体力が高校生離れしています。足が遅いのに相手のミスを見逃さずに盗塁できる凄い子です。全員がすごい飛距離の打球を打てますし、複数ポジションを兼ねて二軍の育成プランを円滑にまとめられるフットワークも兼備しているので、獲得できればチームが充実すると思います。
大社投手――佐藤隼輔(筑波大)・三浦銀二(法政大)・吉村貢司郎(東芝)
高卒投手と同じく、彼らのストレートは垂涎するくらいに気持ちいいのです。佐藤はフォームが、三浦は制球力が、吉村はスピードがたまらないパフォーマンスでして、全員が先発もリリーフも務められるほど経験豊富なのも心強いです。佐藤に至っては投球フォームの静止写真を見ているだけで鼻血が出ます。
大社野手――山城響(富士大)・鵜飼航丞(駒沢大)・梶原昂希(神奈川大)
贔屓のチームに来てほしいけど来てほしくない、そんなもどかしいタイプが彼ら。小さな動きでホームランを打てるのにスピードを兼ね備える身体能力に見惚れます。山城は対戦できる投手のレベルに疑問符がつくこと、鵜飼は打席で考えすぎること、梶原はとにかく何故だかタイミングのとりかたがおかしいこと、とそれぞれに致命的な弱点を抱えているものの、これが杞憂になった暁にはどんなモンスターが登場するかと思えばワクワクするロマンを持った選手たちだと思います。
終わりに~ニコ生仮想ドラフトの宣伝~
お読みいただきありがとうございました。
筆者として本記事を書きながら、「ドラフト会議って面白ぇな」と改めて思いました。高級フルコース料理を見て、食べる順番や味を想像するのに似ています。競馬にも似ていますね。うまぴょい!
ドラフト会議に主眼を置いてアマチュア野球選手/独立リーグを見ることの何が楽しいかって、プロ野球との対称性を妄想することだと思います。
あの選手がこのチームに入ったらどんなプレーをするだろうか…
この選手があのチームに入ったらどんなプランで育つだろうか…
これ考えるのがめっちゃくちゃ楽しいです。育成シミュレーションゲームの仮想体験みたいですね。ドラフト会議の考察は色々なものに似ています。
『仮想』といえば、10/9(土)・19:00~にニコ生仮想ドラフトというイベントが開催されます。主催者であるじんぎさん(@jing_draft)にお声がけをいただき、ドラフト愛の高じた異常者(マニア)たちがNPB12球団のドラフト指名をシミュレーションするイベントです。『仮想』ではあるものの、本番さながらのイメージでドラフト会議がとり行われます。ニコニコ生放送などの動画サイトで生配信される予定なので、気になった方は、Twitter等で
『ニコ生仮想』/『#ニコ生仮想ドラフト』
と、ぜひ検索してみてください。
私、@suwaharu07も「中日ドラゴンズの仮想ドラフト指名担当」という形で参加させていただく予定です。この記事と合わせて、中日ドラゴンズのドラフトに興味をお持ちの皆さんへ少しでも楽しみを共有させていただければと思います。
それでは、ニコ生仮想ドラフトでまたお会いいたしましょう。
実施日は「10/9(土)・19:00~」!!!!!!!!!
繰り返しますが「10/9(土)・19:00~」でございます!!!!!!
当日はTwitter、ニコニコ生放送などでぜひ検索をお願いします!!
(10/10追記:ニコ生仮想ドラフトは終了いたしました。2500人を超す視聴者の皆さまにお楽しみいただき参加者の1人としてありがたい限りでした。主催者のじんぎさん、視聴者の皆さまへ感謝申し上げます)
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました。
画像引用元
チーム年齢表:https://www.nikkansports.com/baseball/photonews
選手の写真(高橋・正木・隅田):https://www.chunichi.co.jp/chuspo
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