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今日の山田君 〜思うこと〜 76

夏ってすごい。
パワーがある。
エネルギッシュだ。
人を動かす。

そのパワーに押され
いつの間にかのまれていたのだと
身体の不調からやっと、気づく。

夏はハイテンションのときの犬みたい。
わが家にいる子犬は
テンションが上がるとまるでワニのよう。
噛みつきカメともいえる。
普段とはまるで別人。

ハイテンションって一種の無敵状態。

すぐそばを全力で走りぬける。
全力で飛びついてくる。

本人はエネルギーが漲って生き生きしているが、油断をすると痛い目にあう。
本人からしてみたらじゃれているのだが、
ハイテンションのときは甘噛みも雑になりやすい。
普段よりもいっそう牙のひっかかりに気をつける必要がある。

突然の激しい雨や雷もやってくる
エネルギッシュな夏。
暑さがやわらぎ長雨とともに
そんなエネルギッシュさが抜けていく。
秋が深まりしおらしくなる。
夏から秋の移ろいってそんなイメージ。


ひょんなことから犬を飼い始めて、今まで知らなかった家族の一面が見えてきておもしろい。
家族それぞれの犬との距離感、関係性ができてきて見ていておもしろい。


姪っ子がうちに来たとき、今まで見たこともない顔を覗かせていて、ほぉ〜っと思った。
犬を怖がる弟に、あえてゲージから出してゲームをしている弟の方へ向けて放っていた。
にんまりとしていてちょっと悪い顔をしていた。
普段は見せない顔だった。
義姉にきいてみると、普段やられてることの仕返しかもといっていた。

別の姪っ子が来たときには、犬がとっても気に入ったようでなかなか帰ろうとしなかった。
私の妹が「じゃあ、置いてくよ!」といったら、
姪っ子はとても嬉しそうな顔をしていた。


私と犬…
この子犬にとって私は居場所でもあるんだなと感じる。
庭に犬だけ出すと5分も経たずに、クゥンクゥンと鼻を鳴らす。
玄関や勝手口付近をうろうろとしている。
ドアを開けるとさっと入ってくる。
すぐさま私の足元に張り付いたようにまとわりつく。

外で草取りをしていると、
犬は何時間も平気で外にいる。
ほとんどの時間はそばにいるわけではなくて、
いろんなところを探索している。
私から見えない場所へも平気で行くようになり
陰に隠れたがっていた最初の頃の怯えた姿は
すっかり消えて見えなくなった。
テンションが上がると
しゃがんで作業している私すれすれを
ものすごいスピードで走り去っていく。
突然飛び込んでくるように走ってくるため
鎌で怪我をさせないようにさっと手を引っ込める。
ある意味つねに気が抜けない。

私は庭の草をぬき
土を落とすためにぶんぶんと左右に手を振る。
犬も私から横取りした草や木の枝をくわえて
頭を左右に激しくぶんぶん振っている。

同じ動きをしているなと思った。


畑のある場所が草に埋もれてしまった。

この場所は2度ほど手刈りして、1度草刈機で刈った場所だが、今年はなんだかうまく手が回らず畑が埋もれてしまった。

気がついていなかったのだけれど、たぶん去年より忙しいのだと思う。
気持ちものまれて畑ものまれた。

さて、どのように手入れをしていこうか。
実際は天気と自分の状態とを見ながらやるだけなのだが。

ここは全面砂利だったのだけれど、今は土もあるし草もしっかり根を張りやすいようだ。

草取りをしていると "進撃の巨人" が頭によぎることがある。

根を張った草をガサっと抜き取ったとき
その下にはたくさんのアリたちがいて右往左往している。
たまごを抱えて大慌てしている。

そんなとき自分の快適さのために
自分が安心するために
誰かの居場所を奪ったりしているのだと実感する。

自分の手で何かをするということは、見過ごしてしまいがちなこと、見て見ぬふりしてしまうことを感じられる機会なんだと思う。



便利になるとそれまで自然に行なっていた配慮がいつの間にか抜け落ちている。

車のライトがautoになって変わったこと。

それまでは踏切待ちをしているときや
交差点で信号待ちしているときに
自然とやっていたライトを落とすことが
autoになったことで対向車に対して
関心があまり向かなくなった。


時々通っていたボルダリングジムの営業スタイルが無人スタイルになって変わったこと。
営業時間が倍以上になり、無人の時間ができスタッフの人がいついるのかわからなくなった。

つい最近行ったときには本当に誰もいなくて、レンタルスペースみたいだった。
賑やかな音楽もスタイルが変わり気づけば無音になっていて、人の声も活気もなくなった不思議な空間だった。

以前はスタッフの人や利用者の人たちに課題のコツなどをアドバイスしてもらったり、互いに掛け声をかけたりとワイワイしながら登っていたのだけれど、人が居ないと刺激がないのか子どもたちもあまり意欲的に登らなくなった。

スタッフの人がいたときは、課題づくりを見学したり混ぜてもらって一緒に考えたりさせてもらっていて、登る以外の楽しみも多かったのだと思う。

その人がいるからその居場所が意味のある場所となるのだと静かな空間を見て思った。


ふと、頭に浮かぶこと。
便利になると人への配慮が抜け落ちる。
便利になると人との関係性が薄くなる。


子どもが通り抜けるぬけみちだけは刈ってみた。
この先の木の陰に犬がいる。

名前を呼んだらしっぽをブンブンさせながら走ってきた。

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