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イメージの治癒力 ①

 情緒それ自体は不健康なものでないことはもちろんである。それどころか情緒は日常の出来事へのごく正常な反応である。しかしながら、重要な情緒を自分で感じているということを認められなかったり、その情緒を表現できなかったりすると、疾病の大きな要因となる。

とりわけ西欧社会ではこれが一般的に見られることになっている。様々な経過で、我々は自分の情緒が見えなくなっていたり、健康的な形で情緒を表現するガイドラインや伝統的な方法をなくしてしまっているのである。悲しみや不安、怒りなどの苦痛の感情にどう対処したらよいのかを理解することは非常に困難である。我々はできる限りのことをするしかないのだ。不愉快な情緒から自分を守るために、無意識に防衛につぐ防衛を層のように積み上げてるいることもある。しかし強い情緒とは何とかして自らを表現しようとする。その存在が認識されずに、またそれがあるがままの姿で取り扱われなかった場合には、その情緒は苦痛や身体的な病気としてあらわれるのである。

第2章 イメジュリーとは何なのか、どのような働きをするのか


イメージの治癒力

つまりそれを妨げとしてではなく、どうして自分は疫病や症状を「必要」としているのかについての洞察を与えてくれる、忠誠心からくる異議の声として取り扱っているのである。また本書は患者がイメジュリーテクニックを使って自己の健康を損なう可能性のある選択を明確にし、それを修正する方法を示してくれる。その方法はしばしば本人の態度や身体的状態に深遠で肯定的な強い影響を与えるものである。
 ロスマン博士のイメジュリーの用い方と内的助言者を扱う方法は、数々の文化にわたる何千年もの歴史に根ざしたものなのだということを認識さるのは、非常に重要である。内的な導きによる「悟り」や「めざめ」は、原始宗教システムの中心的な要素であり、それはチベットの仏教論をはじめアメリカインディアンの信仰や様々な西洋の宗教における守護者たる天使達のヒエラルキーといったものにまでわたる。これらの古来からの伝統は現代医学の日々の臨床とら遠くかけ離れたものであるように見えるかもしれないが、ロスマン博士は本書の中で、これらの伝統における最も深遠な洞察の多くが実践面で際だった適用可能性を持っていることを示しているのである。

序文より一部引用


 この本は夢のようなことを書いた本ではない。これはイメージするということについて書かれたものであるが、とても具体的なものである。
 この本はあなたの思考力を使って自分の治癒を深めていく順序だてた方法を教えるものである。あなたはイメジュリーを使うことにより、深い生理的なリラクゼーションに達することを習うのであろう。このリラクゼーションは、あなたの体の治癒反応を刺激し、あなたの健康状態に対する理解を深める。さらにあなたはどうしたらそれを改善することができるかを示唆する内的な対話をつくり出すことを習うことができる。この方法は1972年以来私が何千人という患者や健康管理に関する職についている専門家に教えてきたものである。完全な治療とはいえないが、この方法は人々が医者にかかる90パーセントの問題に効果があるのである。

(中略)

 この本は治癒における頭脳的な側面、つまりあなたの思考が身体的、情緒的、精神的な健全さに及ぼす影響について述べたものである。本書はあなたに、想像力と意志を使って、あなたの体の持つ自然な治癒に対する願望と協力する特別な方法を教えようとするものである。あなたが慢性疾患や思い病気を患っていようとも、ただ単に健康で幸福であることに関心を寄せているだけであっても、本書はあなたのためにデザインされてある。
 始める前に二点注意を述べたい。第一に本書で学ぶ自己治癒のテクニックによってあなたは以前ほど医療に頼る必要性を感じなくなるかもしれない。しかし、それらは医療の代理ではないということである。よい医学的診断は、責任あるセルフケアの一部となる。もしあなたに悪いと思われるような症状や病気があったりまたは持続したり再発する症状や病気があったなら医者に行き診断をしてもらい、どのような治療が勧められるかを聞くことである。もしその医者のアドバイスに信頼がおけなければ別の意見を聞くために他の医者にみてもらうとよい。また治療方法の選択範囲を広めるため医者とは別に、資格を持った信頼のおける、健康管理に関する専門家と相談してみてもよい。もし、意見の一致をみない場合は、医者ではあるが、正当派の医学に頼らずに健康をもたらす方法を学んだ人に相談することが、あなたに最も合った治療方針を選ぶ上で一番よい方法であろう。

はじめにより一部引用



第2章 イメジュリーとは何なのか、どのような働きをするのか

 内部葛藤が生じた時には体が戦いの場となる。闘いを起こしている両陣営を、交渉するために同じテーブルにつかせてやることが治癒への第一歩となる。最終的な目的は、「左脳的」もしくは「右脳的」人間になることではなくて、「全脳的」な人間になることである。
 この両側面をうまく調停しようとするならば、両側面ともに自分自身を表現し、その不平や欲求、要求を述べ、また自分がこの葛藤を平和に解決するために何を提供できるのかを述べる機会を与えられねばならない。もしそれらの側面がそれぞれ異なった言葉を話すのならば、公平な通訳が両側面の話をよく聞いて通訳するか、もしくはその両側面がそれぞれの相手の言葉を学ばねばならない。このためにイメージが重要になってくるのである。というのは、イメージは右脳の主要な言語だからである。
 我々の大半は日常的に左脳の言語と論理を理解し使用している。イメジュリーは、物静かな右脳にその欲求を表現させる機会を与え、またその特性を活かして治癒のプロセスに貢献する機会を与える。

これら「左脳的思考」が全く無駄に終わった場合、もう一方の脳から「第二」の意見を聞いてみてはどうだろうか。この脳はあなたの体や感情及び生命についてより多くのことを知っている可能性があるのである。

P28


第3章 イメジュリー ーーー最初の探求

 イメジュリーをやり始める第一歩として私がお勧めしたいのは日記やノートをつけることである。このような日記は自分の経験や進歩を記録しモニターしていく上で大いに役立つものである。この記録が治癒に関する個人的な経験の日記であると考えていただきたい。イメジュリーをやってゆくなかで自分の経験、考え、感情、疑問、健康状態の変化などを記録していくとよい。

P33

 さてここであなた自身のイメジュリーの探求を開始することにしよう。イメジュリーについての誤解の中で最もよく見られるのは、イメージが視覚化できなければいけないという誤解である。イメージの中にはあなたが「心の目」で「見る」ものも含まれていることは確かであるが、一方で「心の耳」で「聞こえる」ことや体の中に感じられる感覚や情緒、さらには想像の中で嗅いだり味わったりすることもイメージに含まれるのである。色や音、臭い、感覚をともなった明瞭な視覚的イメージを持つことができる人もいれば、一方では視覚像はなく音や歌、考えのみが頭の中に浮かぶような人もいるのである。また人によっては何らかの感覚や感情が生じて自分が何か意味のある事柄に近づいて来ていることを知る場合もある。どのようなイメージを持つかは全く関係ないのである。重要なのはあなた独自のイメージを認識し、それを活用していくことなのである。きれいな視覚像を持つことが目的ではない。目的はあなた自身の体や心が何を語ろうとしているのかに注意をはらうことである。イメージはこういった理解のための媒体であり、心の中の像、言葉、感覚や感情を通じてこの理解が得られるのである。
 あなたにとって色々な感覚におけるイメージがどのようなものであるかを探ってゆくための簡単なスクリプトをこの章に示してある。このスクリプトは、どのようにすればあなたが最も自然な形でイメジュリーを利用できるのかを探るためのサンプルである。このサンプルを実践してゆくことで、イメージするさいに様々の異なった方法があることに気づき、そして自分にとって最も簡単な方法がどのようなものであるかを知ることができる。イメージには「正しい」ものも「間違った」ものも存在しないのである。このスクリプトであなたにやっていただきたいのは、指示されたことに注意を集中し、どのようなイメージが浮かび上がってくるかに注目することなのである。この過程では参加者であると同時に観察者になっていただきたい。

P33-34

⚫︎●⚫️ スクリプト ⚫️●⚫︎
ーーーイメージ能力を調べる方法ーーー

P37-41


自己の体験の評価

 熱さや冷たさ、その他何がしかの体感を体験しただろうか。もしそうだとしたら、あなたはイメージを通してあなたの体に影響を及ぼし始めているのである。またそうでない場合には、これらの体感を感じるようになるまでイメージを続けてみるのもよいだろう。

P42

 変化に気づいたかどうかにかかわらず、リラックスを習得することは色々な意味でよりよい健康のために役立つものである。次章では精神的及び身体的な心地良いリラックス状態。つくり出す簡単な方法について述べていくことにする。

P43


第4章 イメジュリー、ストレス、リラックス法

 我々の健康状態に影響を及ぼすイメジュリーの中で最も一般的なものは「心配ごと」である。我々は現在のストレスの元に対してだけではなく、将来予想される危険や過去の悲しみに対してもイメージすることで反応しているのである。コントロールすることのできない想像力によって人間は人生にわたるストレスを、この一瞬に凝縮するという独特の能力を持つことになるのである。

P44

 リラックスすることを覚えるのは自己治癒のための基礎であり、またイメジュリーを効果的に使えるようにのるための前提条件である。リラックスすることは、治癒のプロセスに自分の心を集中させるために最初に練習しなければならないことである。さらに、深い身体的なリラックス法はそれ自体が健康によいものである。深いリラクセーションは体がエネルギーを休息や回復のために使うことを可能にするし、習慣化している緊張のパターンを一時休止させることができる。

P45


⚫︎●⚫️ スクリプト ⚫️●⚫︎
ーーー基礎的なリラクセーションの方法ーーー

P56-63


《思ったこと》
この本にスクリプトが書かれていることを読みはじめてから知った。7、8年前にも別の著者のスクリプトが書かれている本を読んだことがあったが、そのときのスクリプトは対処療法的なものだったように思う。
この本のスクリプトは根本から整えていく。
それを練習するための教科書みたいな本だと感じた。

改めて考えてみると、「本」というもの自体がスクリプトが散りばめてあるものなのかもしれない。

今回2つのスクリプトを試してみた。
ひとつめのスクリプトの中で好きな食べ物をイメージしたときにイメージが頭の中にリアルに浮かんだ。すると自然と口が食べ物を食べるように動き出していて、味は感じられなかったが美味しいという感覚(にんまりとするような幸福感)が起こったのが驚きだった。
ある情景をイメージする場面では自然と涙が流れて、なぜ出てくるのかわからなかった。

ふたつめのスクリプトではだんだんと身体が緩んでいくのがわかった。イメージするだけでこんなにゆるむのが不思議だったし、ゆるんだ場所はじんわりとあったかくなっていくのがおもしろかった。
身体全体がゆるんでから立ち上がったときに、言葉には表せないけれど不思議な感じがした。





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