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プラネットアース 〜イラストで学ぶ生態系のしくみ〜 ③(読書記録)

■アジア

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アジアは地球最大の大陸、中東の砂漠から中国の肥沃な草原まで驚くほど多様な生態系の宝庫です。

・南には熱帯モンスーンによって一度に何か月も雨が降り続き水浸しになるインド
・北にはほとんど凍ったツンドラ地帯のシベリア
・世界最高峰エヴェレスト山を含む山岳地帯
この高い山々は風の流れをさえぎり、中央アジアや東南アジアのさまざまな気候をつくり出してる。さらに自然の壁となって動物の動物の移動を制限し、古代アジアの帝国への外からの侵入を防いできた。

人々が耕作をし、周囲の風景を変え始めるにしたがって人口は急速に増加し、文明は新しい時代へと移っていきました。
新しい農耕の技術によって人々は食料を探すために費やす時間を減らして、思索や発明に時間を使えるようになりました。

紀元前5000年ごろ
・いくつかの人口密集地ができた
・車輪、灌漑技術、家畜、記録技術、数学などが発明された

現在アジアは地球上で最も人口が多く、全人口の半数以上が住んでいます。
アジアの生態系が世界に与える影響は甚大です。
その美しく大切な自然を守ることはきわめて重要なことです。


◆北東シベリアのタイガ

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「小枝ばかりの土地」、「眠れる大地」が、シベリアと寒く乾燥して果てしない森林の続く北ロシアの最初の名前でした。

シベリアのタイガ
・390万キロ平方メートルにおよぶ世界最大の太古のままの森林地帯
・耐寒性の松は地上で最も寒い気候に適応
・気温は-56℃にも下がるが雪はほんの少ししか降らない
・とても短い夏は平均気温16℃くらいまで上がり雪は消える
・地上で最も毛皮の厚い動物が住んでいる
 綿毛のようなぶちのコートを着た獰猛なオオヤマネコ、分厚い毛皮でこわそうなシベリアヒグマ


恩恵

この大きな常緑樹の森は地球全体における二酸化炭素の吸収源になっています。タイガは地球の気候の安定化にも役立っています。
シベリアは、石炭、化石燃料、鉄、そして金などの鉱物資源の宝庫でもあります。

地球の陸地面積の17%はタイガのバイオームが占めている
夏には300種もの鳥がシベリアにやってくる
 (寒い冬を過ごすのは30種だけ)
永久凍土が融けてできたバタガイカ・クレータ―はその種のものでは最大
 そこから聞こえる奇妙な音のせいで、その地方の民話では「地下世界の門」と言われている
・永久凍土が融けて先史時代のミイラ化したケナガマンモスと古代の細菌が見つかった


脅威
地球温暖化は永久凍土が融ける原因となり、閉じこめられていた温室効果ガスを大気中に開放します。   
シベリアにはありあまるほどの樹木があるので、伐採をし過ぎても後に植林をしていません。
石炭を掘り、動物の毛皮を取り過ぎることもシベリアの自然を脅かしています。


◆インドシナ半島のマングローブ

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マングローブは淡水と海水の出会うとことに育つように根が塩分をろ過するという独特の進化をとげました。

マングローブ林
・重要なエコトーン
・タイ、カンボジア、ベトナム、マレーシアの海岸線を守っている
・その枝や根は嵐に対する自然の壁になっている
・潮流による浸食を止め、たくさんの動物たちに迷路のような隠れ家を提供している
・海の生き物の重要な繁殖場所であり、赤ん坊のゆりかごでもある
・ベトナム戦争中にタンカーの航行、ナパーム弾、オレンジ剤(強力枯葉剤)などによって完全に破壊された

⇒マングローブ林の多くと周辺の生態系、ベトナムとカンボジア全土の農地が壊滅した。除草剤は大量に吸い込むと人体にも有害で発がん性があり、出産時の異常そして何世代に影響する遺伝子の異常などを引き起こす。
保護団体の人々がこの地域の森林再生に大きな一歩を踏み出した。

エコトーンとは?


恩恵
・マレーワニやオオトカゲの住みか
・ホシバシペリカンやハジロモリガモを含む世界でも貴重な水鳥がいる
・ベトナムの養殖場で大量のシュリンプが獲れるのはマングローブのおかげ
・マングローブ林で見かけるバクの子どもの体は隠れやすいように白い線と水玉模様。7か月ぐらいになると子ども時代の毛皮をぬぎ、その柄もなくなる。


脅威
インドシナ半島のマングローブは役に立たないと誤解している人も多く、彼らは新しい建物や農場の開発のために取り除こうとします。
タイでは国内のマングローブの半分が切り出されて炭が作られました。さらにマングローブの近くで爆薬や底引き網が漁業に使われることがあり、木や野生生物、特に海の生き物の幼生にダメージを与えています。



◆東モンゴルのステップ

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東モンゴルのステップには、世界最大の手つかずの温帯草原が広がっています。驚くほどの速さで世界の草原が縮小しつつある一方で、モンゴルでは100万頭ものモウコガゼルが自由に駆け回っています。

モンゴル
・アラスカよりやや狭く、大部分が起伏のある丘や草原と湿地
・年間250日は晴れ渡っていて、土地の人々は「青空の国」と呼んでいる
・この標高1,000mを越えるほとんど平らな高原は季節による気候の変化が大きい
・草原の夏は温暖で成長の早い草が茂るが、ステップの冬は風が強く氷点下まで下がる
・モンゴル全域で気温は非常に低くー40℃にもなることがあり、この寒さを表すモンゴル語に「ゾド(厳しい大雪)」というものがある
・モンゴルのステップはユネスコの世界遺産に認定されている

ステップの草原が今も荒れないのは、モンゴルの人々による伝統的な土地管理のおかげです。
モンゴルは今もなおかなりの部分が未開発で、人々の多くは土地の状態に頼っていますから、その管理を最優先にしています。
事実20世紀には伝統的な遊牧民として暮らす人々が増加しています。


恩恵
モンゴルの経済は家畜から得られる肉、羊毛、カシミヤでなりたっています。政府は狩猟制限を強化し、草原を健全で豊かに保つために伝統的な管理技術の保存を奨励しています。

・遊牧民は今もパオに住み、伝統的な衣服を着ている
・モンゴルの野生のウマは違法な狩猟と家畜との争いによってほとんど絶滅した
・東モンゴルのステップはウクライナから中国までのアジアを横断する8,000kmもの草原バイオームの一部
・山に住む世界最大のヒツジであるアルガリの生息地
(子どもでも300㎏以上ある)


脅威
ヤギからとれるカシミヤはモンゴルの最も高額な輸出品です。
しかしヤギの数が増えると土地が損なわれます。
ヤギは草の葉っぱだけでなく根まで食べるので牧草地全体が荒れて農地とならない砂地だけが残るのです。
どんな田舎であっても農耕や開発をするには保護を念頭におかなければなりません。

アルガリかっこいい!

アルガリの記事を書いた人の簡易プロフィールに驚いた。

自然保護室 次長
三間 淳吉

森、海、気候、野生生物、さまざまな活動をサポートしています。
虫を追いかけ40年。鳥を追いかけ30年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの20年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと思っています。


◆ヒマラヤ山脈

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「ヒマラヤ」はサンスクリット語で「雪のあるところ」という意味です。
世界最高峰は、アジアの神話と伝説の発祥地でした。

20世紀にはヒマラヤは、頂上を目指す登山家たちにとっての到着目標となりました。

・マラヤ山脈の頂上は氷河で、北極圏と南極大陸についでヒマラヤの頂上が地上で3番目に大きな氷と凍った雪をもらっている
・高度が下がるにつれて気温は上がり雪や氷は融けて川へと流れこむ

高度5,000m以下
⇒西側の高原低木地と山地草原が広がる
 めったに人に姿をみせないユキヒョウが岩場でジャコウジカを狩る
さらに900mほど下がると
⇒谷の奥のマツとトウヒの林に絶滅に瀕したレッサーパンダが住んでいる
3000m付近
⇒もっと熱帯的な気候に。東側の森にはカシの大木が多くなり、美しいランや500種類もの鳥がいる
・1,000m以下(山のふもと)
⇒熱帯広葉樹林がはじまり、トラやゾウが濃い葉陰に隠れている

一つの山は頂上からふもとまでつながりのある大きく複雑な一つのネットワークになっていて、個々の異なる生態系は生き残るためにとなりどうしで依存しあっているのです。


恩恵
ヒマラヤ山脈の巨大氷河は、アジアの広い範囲の淡水源になっています。
氷河が融けるとアジアの三大河川、インダス川、長江、ガンジス・ブラマプトラ川へと流れます
山脈は南アジアの気候に影響する大きな自然の壁となっています。
冬の冷たい北風が南のインドに到達するのを防ぎ、南西の季節風が北へと到達する前にさえぎって、雨を降らせる雲を作ります。

・東ヒマラヤにはアジアの三大大型哺乳類、アジアゾウ、インドサイ、アジアスイギュウがいる
・この地域では地殻の造山運動が今も活発
⇒地すべり、地震、斜面崩壊が頻発している
・8,848mのエヴェレストは世界最高峰で、登頂には約2か月かかる
・エヴェレストにはじめて登頂したのは山岳シェルパのテンジン・ノルゲイとエドモンド・ヒラリー卿(1953年)


脅威

気候変動によって世界中の氷河が急速に融けつつあります。
ヒマラヤ山脈の氷河は驚くべき速さで融けているので、アジアの大半が頼る淡水源は脅威にさらされています。
そのうえ、山の森林は木材と牧草として使い過ぎの状態です。
ヒマラヤ東部には草原がないので、農民は山の森林で動物に草を与えていますが、森林はこのたくさんの家畜の食料をまかないきれません。
保護団体は土地を守るとともに山での農業に頼る人々の生活の改善にも取り組んでいます。




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