肛門期
一歳から三歳頃の幼児期前半に相当する、肛門が親子の交流の大切なチャンネルとなる時期.トイレットトレーニングが挙げられる.「快便」の言葉があるように、排泄には快感が伴う.生理的欲求が満たされるためである.トイレットトレーニングに」よって、幼児はこの快感を好きなときに好きなように満足させるのではなく「排泄はお手洗いで」という社会的・文化的なルールに従って満足させねばならないことを養育者から学ぶ.ベッドの中でしたり、人前でするのはいけないこと、恥ずかしいことなのだと学ぶ.
私達は臆面もない行動に及ぶこともあるが、人前で公然と排泄することはできない.それはいくらなんでも抵抗感が理屈抜きにこころに根ざすからであある.このように社会的・文化的な規範や約束がこころに深く根付いておのずと行動を規制する力とものを超自我(Über-Ich)とよんだ.個人を超えた強い力のことである.トイレットトレーニングをはじめとするしつけを通して、幼児はその社会で共有される規範を自らも共有する.社会的存在となる第一歩を踏み出すのである.
幼児がしつけを受け入れるのは、口唇期に深められた養育者との性愛的むすびつきによる.首尾よく便座にうんこをすれば、親はまるでそれが「贈り物」のように喜ぶ.それを自分の喜びとして幼児もトイレットトレーニングに励むのである.今までは親から与えられる一方だった幼児にとって、これははじめて自分の方から親を喜ばせる体験となり、ここから能動性・主体性が根付き始めていく.
この能動性をより確かにするために幼児は、親の意のまま受け入れるだけでなく、ときに拒んだり、気に入らないことがあるとわざとおもらしをする挙にでる.幼児はときには従い、ときには抗って、自分の欲求や行動を能動的・主体的に操作していく力を獲得していく.これは第一反抗期で「イヤイヤ期」とも呼ばれる.なおコントロールする力は意志と呼ばれる.Anale Phase.
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