実存主義的心理療法

 実存主義的心理療法は、ニーチェ、キルケゴール、ハイデガー、サルトルら哲学者の実存哲学の影響を受けた心理技法である.実存哲学によれば、人間に与えられた基本的条件ゆえに、人生には根源的な苦しみがつきまとう.この根源的苦しみは不可避であり、これを避けようとすることから、心の問題が生じてくると考えた.実存的心理療法家は、クライエントの中に問題に潜在する死の不安、孤独の恐れ、自由と選択の恐れ、人生の意味への疑惑といった実存的な主題を探求し、それについてクライエントと対話していく.

 実存的な主題は人間であれば誰もが苦しみ、取り組むことができ、その点においてセラピストもクライエントと何ら違いはない.実存的精神療法では、セラピストが自分自身の苦しみの体験や取り組みのあり方を率直に自己開示することが重視されている.対等な対話が必要なのである.Existential Psychotherapy.

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