欲求階層説

 A. H. Maslow(マズロー)は、自己実現を頂点に人間は成長し続けていくという人間観に基づいて、欲求の階層構造を考えた.基底層には生理的欲求がある.これは食欲・性欲・口渇・呼吸などの身体的な基盤をもつ欲求で、すべての欲求の中で最も強いとされる.その次は安全の欲求で、苦痛・不安・危険などを避けて安全・安定を求める欲求である.第三層は所属と愛情の欲求で、集団の所属や他者との友好的な関係を求める欲求である.第四層は自尊の欲求であり、他者から尊敬・尊重されることを求める欲求のことである.これら四つの欲求の満足は、おもに環境や他者に依存にしており、人間の体験としては「欠如」として体験されるため、欠乏欲求と呼ぶ.一方、最高層にある自己実現の欲求は、自己が潜在的に持っている可能性を実現しようとする欲求で、他の欲求と区別して成長欲求という.マズローによると、上位の欲求が出現するためにはその下位の欲求が満たされることが条件になっているが必ずしもそうとは限らないという批判も多い.Hierarchy of Needs.

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