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7.セルフポートレートのすヽめ(人物を撮るカメラマンこそセルフポトレをするべき!という話)

腕に自身のある人物撮影カメラマンこそセルフポートレートをすべきだと僕は思う。今回はその理由と、僕の考え方、よく使う撮影方法を記す。

ヘッダー写真:退勤時の駅の待合でセルフポートレート

(F2.8 1/25s ISO1000)


①「自分をよく見せる」ことよりも、「自分という被写体を通してどんな表現ができるか」

②人がいなければわりとどこでもできる

③SNSに載せた写真一覧を見てもらえなくても、アイコンは見てもらえる確率が高い

この順番でまとめていく。


①「自分をよく見せる」ことよりも、「自分という被写体を通してどんな表現ができるか」

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パーティーピーポーなセルフポートレート

(F1.4 1/200s ISO100)

被写体をメインにされている方であれば、セルフポートレートでは、「自分をどうよく見せられるか」「自分にどんな表現ができるか」を中心に考えるのがよいかと思う。

しかし、人物撮影のカメラをメインにされている方であれば、自分がどんな人間であるとかどんな性格、信条であるとかは一旦傍らに置いて、「自分」をフラットに、ただのリンゴやデッサン人形のように一つの「被写体」として見るのがよい。

「自分」という限られた被写体を用いて、どこまでの表現をできるかの挑戦だ。
「セルフポートレートはカメラを持ってるモデルさんがするもの」という考え方は捨てよう。

被写体が自分なのでどんな表現をしても被写体から文句は言われない。そういう意味でセルフポートレートは自由だ。

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二刀流セルフポートレート

(F18 1/200s ISO200)

カメラマンとしては、自分が被写体であれば、モデルさんなどを相手にした場合になかなかできないライティングや、試してみたい表現にも挑戦できるうえに、「自分自身」は自分にとって一番身近な被写体なので、何度でもリテイクできるし、長期的にシチュエーションを変えながらの挑戦もできる。

「自分」という被写体は、人物撮影において一番突き詰めやすい被写体だと言っても過言ではない。

そして、「自分という限られた被写体に対してどれだけの表現ができるか」は、そのまま、カメラマンとしての技術やステータスを示すことにもなるのだ。


②人がいなければわりとどこでもできる

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駅のホームでのセルフポートレート

(F1.4 1/20s ISO800)

セルフポートレートは突き詰めれば、「自分とカメラ」で完結する撮影なので、ある程度人のいない場所さえ確保できれば気軽に行える撮影だ。

スタジオを用意する必要もなければ、モデルを用意する必要もない。

上の写真は、三脚を使用していない。カメラを地面に直接置いて撮影している。しかし、地面に置いただけでは地面ばっかり写ってしまうので、レンズの下にレンズキャップやスマートフォン、手帳などの平らなものを噛ませて、角度を調整するとよい。

もちろん、ベンチや塀など、置きやすい場所があればそこを利用しても良いが、周囲への配慮は忘れずに、良識を持ってカメラを置こう。

角度の調整は地面に置くときと同様に行うとよい。レンズではなくボディの方にレンズキャップやスマートフォン、手帳などをかませることで、レンズを下に向けることもできる。

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良識のないカメラの置き方の例(誰もいない電車でも極力やらないようにしよう)


ある程度焦点距離の短い広角のレンズを使用すれば、画角が取りやすく、また、カメラを放置して遠くまで行く必要もなくなるので、セルフポートレートしやすい。(あとピント甘くてもちょっとマシに見える)

ちなみに僕がよく使うのはフルサイズ換算で24mm〜50mm程度の焦点距離だ。

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これも焦点距離24mmでのセルフポートレート

(F2.8 1/50s ISO3200)

手や足などをレンズに近づければ、遠近感を出しての表現で、より楽しめる。

また、最近はスマートフォンとの無線接続で遠隔操作ができる機種も多いが、その場合も、数秒でよいのでセルフタイマーを必ず使用する。

「スマホでシャッターボタンを押してから、スマホを隠してポーズを取るまで」の時間を確保するためだ。

ちなみに、遠隔操作なしで、セルフタイマーで撮影するときのピントの合わせ方は二通りあり、「鞄などを置いておき、ピントを合わせる」方法と、「腕の長さや歩幅から距離を算出してピントを合わせる」方法がある。

・「鞄などを置いておき、ピントを合わせる」場合は、「自分の顔が来る高さ」から、「カメラを置く場所の高さ」にピントを合わせて、マニュアルフォーカスに切り替え、ピントリングがずれないように置くのがポイント。

カメラ側に鞄を置く場合は被写体としての立ち位置から、被写体側に鞄を置く場合はカメラを置く予定の位置からピントを合わせる。これはどちらでもよい。

・「腕の長さや歩幅から距離を算出してピントを合わせる」場合。だいたいのレンズにはピントが合う距離が数字(何メートル)として表記されており、この数字と、自分の腕の長さや歩幅でだいたいの距離を合わせる方法だ。

ピントが甘くなる場合は、シャッター速度を下げてF値を上げる。置いてしまえば手持ちのときよりもシャッター速度は稼ぎやすい。

表記が出ないレンズの場合は使えないので注意しよう。


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家の台所でのセルフポートレート

(F11 1/200s ISO200)

こちらの撮影場所は家の台所。画角右側ギリギリには、冷蔵庫があり、左側ギリギリには、コンロがある。

ストロボは手前右側に立てたスタンドからと、被写体の後ろ上方……画角ギリギリの冷蔵庫の上から、オレンジの光を用いている。このように、家の中でも工夫してライティングを組むことで、スタジオのような撮影も可能になる。


③SNSに載せた写真一覧を見てもらえなくても、アイコンは見てもらえる確率が高い

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2022年4月現在のTwitterアイコン。

(F5.6 1/50s ISO640)

SNSに写真を載せる際、ほぼ確実に、周囲にはアイコンが表示される。

「どんな人だろう」とプロフィールページを見に行った際に、どの画像を見てもらえるかはわからないが、アイコンの画像は確実に目に入る。

「自分がこんな人物」というのと、「こんな写真を撮る人」というのを同時に示せるセルフポートレートは、カメラマンとしての自分を知ってもらうために効率が良いのだ。

カメラで顔を隠してしまうのも一つの方法だが、可能であれば顔は出しておくとよい。「カメラマンとして人物の顔をどう撮れるか」を示せるのも重要だから、というのが一つ。

ネットは危険な場所で、顔を晒したくないという方もいる。それは正しい。しかし被写体さんはそれを常に晒しているのだ。

撮影者が同等のリスクを背負えるかどうかは、被写体さんとの信頼関係に影響してくることもある。

スマホ自撮りでは味気ないし(そこで技術を発揮するのも一つの手法かもしれないが、カメラマンとしては他撮りの技術を要求されるはず)、他のカメラマンさんから撮ってもらった画像では、「自分の写真」として示すことができない。

アイコンをセルフポートレートの画像にすることで、より「カメラマンとしての自分」を知ってもらいやすくなるのだ。


🔥<炎上には気をつけよう!


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