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14.写真の中の「見てほしいところ」の際立たせ方②(人は写真の中で、「明るいところ」を見る)

今回の記事では、「明暗差」を用いて、写真の中の「見てほしいところ」を際立たせる方法を記していく。

【ヘッダー写真 レミリア・スカーレット:こがねさん】(F8 1/200s ISO200)

前回の記事『写真の中の「見てほしいところ」の際立たせ方①(人は「ピントの合っている場所」を見る)』では、ピントを用いて、写真の中の主役を演出することについて記した。

今回扱うのは、ピントではなく光と影、明るさの差(明暗差)を用いて、主役を際立たせる方法だ。

イメージは「スポットライト」

写真の中で見てほしいところを際立たせる方法」を記事にしていくシリーズ、第二弾です。

①人は「明るい場所」を見る

Model:咲紅ふぁんさん
F2.8 1/80s ISO100
Canon EOS5D MarkⅢ+EF100mmF2.8

写真の中で、人は基本的に「明るい場所」に視線が向きやすくなる。

これは、演劇などの舞台で、観客がライトが当たっている場所に注目することに似ている。

真っ暗な中でスポットライトが当たっている人がいれば、自ずとそこを見る。
暗い部分では他の準備などをしているケースがあるが、観客は暗い部分を「見なくていい箇所」として理解するだろう。

写真の中でも同様で、写真を見る人は「明るい部分」を主に見て、「それ以外」への注目が弱くなる傾向がある。

先の写真は、地上から地下へ続く階段で撮影している。
モデルさんには、地上からの光が差し込んでいる場所に立ってもらうことで、「メインの被写体にだけ光が強く当たり、周りは暗い」という状態にした。

このように、「背景など、メインの被写体以外に当たる光」と「メインの被写体に当たる光」の差を作る(明暗差をつける)ことで、メインの被写体を際立たせることができる。

東京にて。
F9 1/125s ISO200
Canon EOS5D MarkⅢ+EF100mmF2.8
街中でこういう光を見つけると、
テンション上がっちゃいます。


②ストロボライティングでは、光が背景などに影響しないよう意識する

①のような光が都合よくあればもちろんいいのだが、撮りたい場所に都合よく光が差し込んでくれるとは限らない。

そんなときに役立つのがオフカメラによるストロボライティングだ。 

間桐桜:夜空さん
F2.8 1/200s ISO100
Canon EOS5D MarkⅢ+EF50mmF1.4

こちらの写真では、縦長のソフトボックス(120cm×60cm)を使用し、画面左側ギリギリに配置。
斜め前からの光で被写体を照らし、また、背景から距離を置くことで、画角内の背景には光が届かないようにしている。

背景にいろいろなものが配置されているが、この照らし方により、メインの被写体に目線が向きやすくなっているかと思う。

燭台切光忠:舞姫神楽さん
F5.6 1/200s ISO200
Canon EOS5D MarkⅢ+EF85 mmF1.8

こちらの写真では、画角左側ギリギリに配置したストロボの直当てで、画角右側の背景に光が当たっている状態。

背景にもストロボからの光が当たっているにもかかわらず、メインの被写体のほうが目立って見えるのは、被写体が光源に近い(=背景に当たる光よりも強い光を受けている)ため

光源に近いほど光の影響は強くなり、遠いほど光の影響は弱くなる。

つまり、背景に光が影響する状態でも、メインの被写体と背景との距離を空けておけば、明暗差をコントロールできるということだ。

ちなみに、差し込む光のように見えるのは、発光面が長方形のストロボを、縦長にセットして用いているため。

こういうストロボ
こう使うだけ


③暗すぎるものが手前にあると、逆に目立ってしまう

明暗差を用いる撮影で、前ボケを入れる場合には、前ボケの明るさにも要注意だ。

Model:ゆよりさん
F1.8 1/25s ISO3200

この写真では、メインの被写体であるモデルさんを照らすためのストロボを使用しているが、手前でボケている花を照らすためにもう一つのストロボを使っている

『写真の中の「見てほしいところ」の際立たせ方①(人は「ピントの合っている場所」を見る)』でも記しているが、「ボケているもの」よりもピントが合っているものの方に目線が向きやすい。
だが、「手前に入るもの」というのは、遠くにあるものよりも当然大きく写る。大きいということは、写真の中での存在感が強くなってしまうということでもある。

手前の花を照らすストロボがなければ、「大きい真っ黒な物体」として写ってしまう。

前ボケの明るさを調整しなければ、メインの被写体よりも前ボケが悪目立ちしてしまう可能性があるのだ。


Model:ひ。さん
F5.6 1/200s ISO200
Canon EOS 5DMarkⅢ+EF200mmF2.8L

前ボケの植物を強めに照らし、
幻想的な雰囲気に。

このように、明暗差を見極め・コントロールすることで、主役を際立たせることができる。

光を読む方法にしても、ストロボライティングでの撮影であっても、必要なスキルだ。

🎍<来年もどうかよろしくね

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