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美麗な線を堪能する –原画展「大乙嫁語り展」

こんにちは。今回は漫画家の森薫さん原画展「大乙嫁語り展」について書きます。・・・原画を見るためだけに京都に行ったのですが、原画も、秋の京都も美しさ満載で、すごく良い旅になりました。
個人的素敵ポイントをご紹介します。

・原画展について

概要については、以下からどうぞ。京都では今年12月まで、その後は秋田で開催されるようです。

・素敵ポイント①線がきれい過ぎる・・・

「絵」というべきなのかもしれないのですが、絵に近づいて線だけを見ても、1本1本が本当にきれいでくらくらしました。原画の線はそのまま印刷に出ないのに、こんなに書き込まれているんだなとも分かり、森先生への尊敬が増しました。
撮影可能な場所で撮った、すごく好きな写真は以下です。

アニスさん。白と黒しか使われていないことを後で思い出す位豊かな絵で、ずっと見てました。
特に好きなのが、この足と水の境目の感じです。キレイ・・・。

ガラッと変わって、パリヤさん。

しみじみパリヤさんらしいコマですごく好きです。少ない線で、この躍動感、生き生きとした感じ。絵がうまい方の線は見てて本当に楽しいなあと改めて思いました。

・素敵ポイント②溢れるサービス精神

原画展には森さんのコメントが多くついていて、それも読みごたえがありました。例えば、きれいなカラー絵について反省する点(意外!)や、使われている画材、漫画家になったきっかけなど。
私は好きな漫画家さんについてはより詳しく知りたくなるので、とても嬉しかったです。

私は常々、森さんは読者へのサービス精神が強い方だなあと思っていました。コミックスのあとがき(ちゃんちゃら漫画★)も、いつも2~3ページでまとまっていて面白いのですが、適当に描いたらあんな毎回クオリティが高くないと思うのです。忙しい中なので無理していただきたくはないのですが、この原画展からも読み手を大切にしている感じが伝わってきて、有難いなあと思いました。

・素敵ポイント③筋の通ったプロ意識

森さんはもともとすごく絵がうまい方だと思うのですが、漫画を描き続けるために努力されているのが展示やコメントから分かりました。絵の勉強を続けたり、身体を鍛えたり、生活を整えたり・・・。

お金をもらうプロなら当たり前ではあるのですが、それをずっと続けるのは難しいことを私自身感じています。漫画家さんはどちらかというと感性とか、絵の才能とか、右脳が発展しているかなを感じるのですが、長く活躍されている方は左脳部分も強いというか、とても冷静にご自分に対応されている気がします。

何十時間も費やした話が、時に数分で読まれ、心無い批判を受けたりすることもあると思うのですが、その苦労などはあまり出さずに、ご自分の漫画に向き合っていらっしゃるのかと。

・終わりに:原画展後の意外な効用「仕事へのやる気アップ」

すごく楽しい京都旅行が終わり抱いた感想は、「私も仕事をもっと丁寧にやろう」だったので、我ながらびっくりしました。森さんの原画を見て、丁寧な仕事分に付加価値が生まれるし、何よりプロとして格好いいな、と思ったからです。

正直細かな所まで気を配っても、印刷には残念ながらすべては反映されないのですよね。でも森さんは書いていて、だから通常版とは違う「ワイド版」が発売されていたりする・・・。

私の仕事はただの事務業務で覚えれば誰でも出来るのですが、丁寧さで仕事のクオリティに差が付きます。丁寧に過ぎて適切なタイミングで完了できないのも問題なので、兼ね合いが難しいのですが、やはり丁寧で真面目な仕事をする人は光っているし、私も自分の出来る範囲で頑張ろう、と前向きになりました。

・補足:その他森薫さん情報

森さんはインタビューやイベントなど、結構積極的に対応されています。以下一部ご紹介します。
・【ダイジェスト映像】森薫先生ライブドローイング「線を描く楽しさ」イベント記録
京都国際マンガミュージアムでのイベントです。

・作画プロセスを動画で!

・2014年のフィンランドでのサイン会・講演会の様子のTwitterまとめです。他の情報も入っていますがご容赦下さい。会場の様子が楽しく、まめたんが可愛いです。

森さんのまとめ。