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優しさと強さのおすそ分け- 「Lily ――日々のカケラ――」

 今回は石田ゆり子さんの著書「Lily ――日々のカケラ――」について書きます。石田さんのご活躍は知っていましたが、この本から外面も内面も本当に素敵な人なんだなーと分かりました。そして、この本を読むと何だかとても落ち着くのですが、その理由を考えてみました。

1.作品紹介

出版社のこのページには以下ように紹介されていました。

女優・石田ゆり子が日々、大切にしているのは、とてもささやかなこと。
心地よい空間に身を置く。からだの声をきく。人と比べない。
変化を恐れず、切り口は新しく。ユーモアを忘れず、いまを楽しむ……。
あたりまえかもしれないけれど、そんなささやかなことの積み重ねが〈いまの石田ゆり子〉を作っています。
10代のころからとことん自分と向き合い、もがいたなかで得た、石田流哲学&美学。それは老若男女問わず、誰にとってもなにかしら支えとなる、心地よく生きる技が潜んでいます。
大好きなものなどについて綴った21編のエッセイ、正直に語ったロングインタビュー。美の秘訣やお気に入りレシピ、硬軟とりまぜた103のQ&Aほか、全編撮り下ろし、書き下ろし。同居人(猫)・ハニオとタビの成長日記のおまけつきの、石田ゆり子のカケラがたっぷり詰まった、やさしくて、とびきり楽しい1冊です。

 まさしく「やさしくて、とびきり楽しい1冊」なのですが、特に私がどこに惹かれるのかを以下にいくつか書きます。

2.絵のような写真たち

 何だか私がいいなと思うものに色は大きく関わっているようで、この本についても最初に思い付いたのが「写真や装丁で使われている色が好きすぎる!」ということでした。カラフル、というよりは一色が際立っている感じです。
 表紙でいうとその一色は灰色(背景と洋服)で、白(外枠や襟)と相まって、柔らかくも凛としている石田さんとすごく合っていて、見るたびにきれいだなーと思います。まるで一枚の絵のようです。
また、「本は友達」というタイトルの文章に添えられた石田さんが来ている大人っぽいピンクのアウター、本棚の白、床とワンちゃん(雪ちゃんというのだそう)の淡い茶色の写真も何回も見返してしまいます。

3.心地よい言葉たち

 文章が流れるように綴られていてどんどん読めてしまうのですが、内容は深いものが多いと感じています。なので、「これはこういう意味かな?」と確かめるために何度も読んで、そのたびに理解が重なっていくのも楽しいです。
 この本の中では、好きなものも、そうでないものについても正直に書かれています。でも、誰かを責める部分がないので、心にひっかからずに読めます。私はその意見に100%同意する場合でも、誰かを批判する言葉を聞くのが本当に苦手なのですが、この本には驚くほどそういう部分がありません。

 それは石田さんの自制心の強さに拠るのかな、と思ったりしました。美しさについて話されているページでは、「疲れやすくなったり、食べ物がおいしく感じられなくなったり、人の欠点ばかり目につくことが私にもあります。でもそれは、自律神経の乱れから起きていること。からだのせいだから、考え込んでも仕方がないんです。」「自律神経とは上手に付き合っていくしかありません。」と書かれていて、石田さんの実践されている運動や対処法が紹介されています。

 そう、「自律神経」!乱れに乱れる時があるので私も気を遣うようになりましたが、石田さんが自律神経を整えるために日々工夫をされていることがこの箇所から分かりました。何か問題が起きた時に、外的要素に原因を求めることも出来ますが、自分が管理しやすい内的要素からアプローチしていく方法が私は好きです。それを実践されている美しい先輩を見ると、「私も工夫していこう!」と励まされます。

4.見た目と言葉遣いが与える影響

 この本を手に取ったきっかけは、ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」でした。放映されていた数年前は一部しか見ていなかったのですが、最近話題になったのでDVDで見たところ、とても良いですね!(周りより数年遅れての感想・・・)
 ドラマの中で一人一人の役者さんが登場人物をうまく体現されていて素敵だったのですが、その中の一人が石田さん演じるゆりちゃんだったのでした。そして、石田さんの本と「逃げ恥」の「ゆりちゃん」を同時に見ているうちに、同じ人なのに受ける印象がこんなに違うんだなーと改めて感じました。
 演じているので当たり前ではあるのですが、バリキャリっぽいキリッとした服装・歯に衣着せぬ物言いが多いドラマの中の「ゆりちゃん」と、ゆったりした服装・吟味して発言されている本の中の石田さんは別人のようです。どちらも素敵なのですが、こう考えると服装や言葉遣いが人に与える印象って大きいんだな、と思ったりしました。
 ドラマではない石田さんの話し方ってどんな風なんだろう、と思ってYouTubeで見てみたのですが、本当きれいな人・・・という感想が先に来ました。そして声が本当に柔らかい方ですよね。なので、「ゆりちゃん」のような少し率直な物言いの役でも、きつくなり過ぎず人間味が出るのかなと。
・・・とまあ、大分好き勝手に言ってしまいましたが、色々な面で魅力的な方であると再認識しました。

5.終わりに

 このブログはその週に自分が思い出したり、触れた作品について書くようにしているのですが、ジャンルがバラバラです。でも、素敵だな、と思う要素は似ていて、自分の好みがより明確になっているのを感じています。

 この記事を書いてみて、改めて私はこの本の表紙のような淡い灰色がすっごく好きなんだなーと分かりました。今年買ったカーテンもお弁当を入れるバッグも灰色。灰色であれば何でも良いのではなくて、好みの色を探すのが意外に難しいのですが、見つけた時はすごく嬉しいんですよね。
 この本にはきれいなもの(色、石田さんのご家族のワンちゃん、猫ちゃん、言葉・・・)がたくさん出てきます。読み返しながら、自分の好きなものを再発見していけるので、これからも手元において、落ち着かない時に自分を整えるお守りのようにしたいです。

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