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圧倒的な色達に揺さぶられる- 「蜷川実花展 -虚構と現実の間に-」

今回は、先日行った「蜷川実花展 -虚構と現実の間に-」の感想を書きます。上野の森美術館で、2021年11月14日 (日)まで開催されています。

※写真は全てカメラでの撮影許可された展示場所で撮りました。人が多いと邪魔にならないようにじっくり見れなかったりするので、撮影出来るのは嬉しかったです。

1.概要

写真家の枠を超え、映画、デザイン、ファッションなど多彩な活動をしている蜷川実花。
本展では、「虚構と現実」をテーマに、アーティストの写真の本質に迫ります。2018年から全国10会場を巡回した展覧会の集大成となる東京展では、これまでの展示作品を半数ほど入れ替えるだけでなく、書斎を再現したインスタレーションや映像作品も加わり、表現のジャンルを限定することなく時代の先端を鮮烈に示し続ける"蜷川実花"の作品世界を全身で体感できる、またとない機会となることでしょう。
今年撮影した桜や藤の写真《光の庭》、ポラロイド作品《TOKYO》、女性やパラスポーツ選手たちのポートレートなど、大幅にスケールアップした内容となっています。(以下ページより抜粋)

蜷川さんについて詳しくはなかったのですが、有名な方なのでその映像や写真を見る機会はありました。特に好きな花の写真を楽しみにしていたのですが、展示されている写真がことごとく印象的でした。

2.展示の様子

何点か展示の様子が分かる写真を掲載します。

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展示の全体については、以下のサイトで分かりやすく紹介されています。掲載されている写真もすごく素敵です。実際その空間に身を置くと、更に圧倒されます。

3.心に残った理由

花や女優さんの写真など、華やかさや鮮やかさが強調されているもの以外に、日常の写真も印象に残りました。お父様である蜷川幸雄さんが病気で倒れられ、2016年に亡くなるまでの1年半の日常の風景を撮影したという「うつくしい日々」は、道路や空など何気ない写真ばかりなのに、透き通って見えて目が離せなくなりました。

蜷川さんの写真や映像は、他の人が撮った写真と何が違うのだろう?と考えた時、まずは強調された鮮やかな色が思い浮かびました。赤やピンク、青などですね。でもそれらの色が出て来ない「うつくしい日々」では、白や薄い灰色が際立っているように感じました。

彼女の映像や写真からは、心に深く残る何かが、色で一番伝わってきます。人によって何が印象的かは違うと思いますし、構成も本当に素敵なのですが、私にとっては色に圧倒され、色を堪能した展示でした。

その意味で面白かったのが、展示の中にある蜷川さんの書斎の再現でした。以下のニュースを引用すると「赤壁で赤じゅうたんで赤い部屋で仕事をしている」そうなのです。蜷川さんのお仕事は赤い部屋から生まれているんだ!と思い、その力強さや鮮やかさに納得しました。

この記事を読んで、私は何色の部屋だったら居心地がいいんだろう・・・と考えたりしました。焦茶色とか好きなんですが、これから気にしてみようと思います。

美術館を出て上野駅に向かうと、ビル街が平凡なに見えてしまいました。展示で強烈な色に囲まれていたからでしょうか・・・。

でもその後で、この平凡な景色も何かに焦点を当てたら、主張し始めて存在感が増すんだろうなと思い直しました。こんな風に感じる自分が面白かったです。

ということで、やっぱりリアルにその空間にいれるっていいなあと、堪能出来た展示でした。