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自由時間
「俺は画家や。俺から見たら君みたいな奴は絵を描く資格も無い。俺は君みたいに狭い世界で描いてるような男やないねん。君に言ってもわからんやろけど。
頭の中には全てシナリオが出来てんねん。後はそれをやるだけ。
せやからな、あと3年待ってくれへん?
後3年俺に自由時間をくれ。」
皆様こんにちは。
私はカフェバイトをしながら作品制作をしてる婚活中の28歳の女。
久々に懐かしい夢を見ました。
夢の中に出てきたこの男に名前をつけるとすると
"3年待って男"
ついでに彼の愛情表現は
"無視" だ。
私が今こうして婚活女子としてこの物語で活躍しているのは、この男を信じて待ち続けた結果だと思っている。
私もまだ若かった。
だからといってアホすぎにも程がある。
人生に無駄は無いと言いますが、本当にそうなんでしょうか?
結果的に私はこの男と20代の前半を"彼氏と彼女"という肩書きで過ごす事となり、得たものと言うと
〇幸せ満足度のラインが極端に低くなった事
〇必要とされてないと感じるだけで死んだも同然の虚しさを味わう事
〇二人でいる方が一人で居るより寂しいという事
〇幸せな時間を過ごさないとブスになるという事
〇あと、、、絶対に美術系の男とだけは二度と付き合わないという事、、絶対に!!
さて、この"3年待って男"、関係を持ち始めた頃から事ある事に
「あと3年待って」
と口にする。
このセリフを言う時に少し酔いしれているようにすら見える。
3年待った先に何があるのか?
当時の私は
長く付き合う=結婚
と、信じきっていたので、この男との付き合いが長くなりアラサーに差し掛かる頃にはいよいよ結婚!と期待したものだ。
ただこの男
本当に、、本当にいつも言うのだ。
1年経っても「後3年待ってくれへん?」
2年経っても「後3年待って!」
3年経っても「後3年、、、」
この男と一緒にいても、3年後は永遠に来ない。
そんな事分かってたけど、それでも彼の事が大好きだった。
けれど私は全く自分がそこに居ないものとして存在し、意味もなく毎晩涙が溢れた。
こんなに不自由な時間は無い。
私の人生の自由時間はどこにあるんだろう。
むしろ人生は自由時間なはずなのに、なんで私はこんな時間を過ごしているんだろう。
もうやめようっ!
と思えるまでに5年かかった。
別れを告げ部屋を出ると、いつもの目の前の景色がキラキラしていた。
気付かなかった。
私の生きる世界がこんなにキラキラしていた事に。
別れの先には、寂しさから解放された世界が待っていた。
この男と居るより、一人でいる方がずっと幸せだったんだ。
やっとこれから私の人生の自由時間が始まる。
人生に無駄は無いと言いますが、無駄だったと言い切ってしまいたい思い出だ。
、
、
、
「あら、おはよう。」
「あっ、薄焼先生~おはようございます!」
「今日もデート?"共に人生の自由時間を過ごせる相手"に出会うんやで~!」
(ニコッ)
「"共に過ごせる相手"、、うん。そーやな。あっ!はーい!」
(聞こえてた?)
かわるがわる展3 短編集
2020.06.09【自由時間】より
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