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古き良き「石畳の小道」と現実の生活

ガイドさんがとても面白い話をいくつもしてくれましたよ。石畳の小道は綺麗に敷き詰めているといっても凸凹はあります(写真参照下さい)。この凸凹にしているのにも意味があるとの事で、小道から少し脇にそれるとローカルの各家々があります。凸凹であれば下を見て気を付けて歩くので、家々も覗かれずに済みますよね。余りに歩き易い道だとたやすく家々を覗かれてしまいます。との事。ウン~確かこけない様に下を見ながら歩いてきたナ~。と納得です。こういう小道が昔はヤップ島のいたる村々に縦横無尽にあったそうです。

また、こんな話もしてくれました。この小道は各村々へ続く道でもあります。他の村民の方が遠くからやって来た時に、少し休憩をとる場所が必要なので、この石畳の小道の脇に、広さ15m x 20m くらいの(形は長方形)休憩所が設けられています。休憩所といっても屋根などはなく、そこも石を綺麗に敷き詰めただけのところなのですが、何と座ってゆっくり出来るように背もたれが等間隔でいくつも置かれています。最初失礼ながらお墓かな・・・と思ったのですが、よく考えているナ~。とビックリしてしまいました。

更に、ビックリさせる話しもしてくれます。石畳の小道は田んぼの水路の役割も備わっている。とのことなのです。小道の途中には大きな葉っぱのタロイモ(水耕栽培のタロでヤップ人の基本食だそうです)があります。そこだけ拓けているので直ぐに田んぼと分ります。ヤップは比較的高い山があります。その山から田んぼへと水を導く水路をこの小道の横に平行して造っているとの事。なるほど小道は平らなところはなく緩やかに下ってます。良く見ると小道の両サイドに水の流れる30cmくらいの路も掘られています(写真の左にある堀がそうですよ)。そしてタロイモ畑を見るとしっかりとそのエリアだけ水が上手く行き渡っています。

また、大雨などの時はこの小道は海へと続いているので、その余分な水は海へと流れていき、村々も洪水などには心配しなくても良いようになっているんです。との事。もの凄い知恵を彼らに感じてしまいます。こういう生活に密着した全て理にかなった石畳の小道を作るヤップの方を素晴らしく思います。

しかしながら一方で、考えさせられる現実も目の当たりにします。この小道を壊し、舗装の道路になってしまっている事も少なくない。ということなのです。こういう小道は是非残していただきたいし、こういう所があるからこそヤップ島を魅了して止まないのですが、それは外部からの勝手な言い分であって、ヤップの方が便利さを求めるのは最もな願いですので、とても難しい現実と思います。便利さから得られるものも大きいし失うものも大きいと実感です。

別のツアー参加中にこんな話しもお聞きしました。島内観光で便利に舗装した道を当たり前のごとく車で移動しているのですが、ヤップ島の方々は道が出来て、暑くなった。暑くなった。という方が増えたそうです。我々もニュースで最近耳にするヒートアイランド現象なのでしょう。

彼らの1人が道の両サイドに木を植えてその暑さを凌ぐ活動を始めたとの事。その方はもう亡くなってしまったそうなのですが、亡くなってからもその方の植えた木々はその意思を継いだのでしょう。アスファルトの道の両サイドにその木々達は1メートルくらいの高さにまで成長していてずっと続いているのを見ました。彼らにはこのアスファルトの道は全く必要のないと考える人も多いと思います。でも道は現実として目の前にあります。

道が開通したことで多くの便利は得られたでしょう。しかし、長い年月を掛けて昔からの石畳の小道は造られ、利用され、そしてヤップの方に守られてきたと思うのですが、壊れるのはブルドーザーのひとかきで一瞬です。そしてもう戻りません。よく共存共栄という言葉が使われますが、そんな言葉で解決できるものでは決して無いと言うことも感じました。とても難しい問題です。次ページへ続く・・・。

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