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エイント・ノー・マウンテン・ハイ・インナフ

車椅子ラグビーを見る。選手の表情を追う。怒り、焦り、不安、情熱。いろいろな顔がアップで映し出される。その中で一人、いつも達観した顔の選手が映る。どの局面でも、同様の表情。チーム唯一の女子選手。何が彼女にその表情をさせるのか。自らが事故でその身体になったときにそれを受け入れるために自らを律したのか。それとも今の立ち位置にいることが彼女をそうさせているのか。テレビ画面からはそれを推し量ることしかできない。彼女はその障害ゆえにパスを受けることが出来ない。ディフェンスをするのみ。試合中、一度、大きく離された点差を詰めるために、位置取りの良かった彼女にパスが出る。けれど、キャッチすることは出来なかった。その後は、また、ひたすらディフェンスに務め、他の選手の進む道を整える。男女混合で行われる車椅子ラグビー。屈強な男性の中に混じって女性がプレーする。体自体の接触が多くない車いすラグビーゆえのルール。女性がプレーヤーとしてコートに入ることで与えられるハンデ。女子選手の立ち位置は、たぶん、とても難しいに違いない。よく頑張りました、倉橋香衣選手。パラリンピックは楽しめましたか?


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