真田さんとシェリルとの出会い

2009年9月、もう10年前のことですが、僕がスタンフォードに入学したての頃に真田くんとは出会いました。MBAの授業では外部聴講に事前予約が必要な中、不用意にやってきた彼は教室の前でうろうろしていた。日本人丸出しのオーラを感じて声をかけ、自分もまだこれから馴染もうとしていたクラスに入って、末席に座ってもらったのを覚えています。

その日以来、彼の留学準備のエッセイ添削であったり、四方山な相談を数年おきに受けてきたのだが、転機が来たのはミシガン大を彼が卒業する間際のこと。米国の一般人向けのキャリアカウンセリングをやるのだと、意気揚々とする彼の相談に乗りました。

外国人向けのローカルなビジネスなわけですよ。一介の商社マンである彼がうまくいく理由を探す方が難しい。けれども彼は、大学院の課程の、現地の事業立ち上げのプログラムで、実際の現地の高校との接触を持ち、ユーザーペインの理解を始めていました。シンパシーを感じぬわけにもいかず、その後なんども個人的体験からのメンタリングを繰り返すことに。

ただその後、相談に乗った時の宿題、それはグロースハックであったり、マイルストンを決めることであったり、ユーザーの徹底的な理解や愚直なテストを、彼は毎回しっかりやり遂げて、次の帰国時には別の課題を解いていました。そして、Ask Sherylというサービスを当初立ち上げるに至りました。

シェリルさんは彼が市場理解のために通っていた高校のカウンセラーの先生の名前です。米国では、どのような大学に行くために、どのような準備をするべきかのアドバイスに、所得格差が当然のように発生する中で、そのカウンセラーの時間を確保することが、学生のキャリアでは重要な意味を持ちます。

それを、オンライン上でマッチングしたり簡易診断するのがそのサービスでした。その後もビジネスモデルのピボットを重ね、現在はまさにフリーランス向けのクラウドソースの会社となりました。色々苦労を抱えながらも今回のファンドレイズに至り、大変エモい気持ちになりますし、彼、本当にパッション一筋でやってきたこと(その背景で犠牲にしたものも多々あったと思います)には、尊敬の念すら覚えます。

ちょっと嬉しかったのは、アスク・シェリルというサービス名の名付け親は自分だったことなのですよね。相談に乗ってる間はエンジェルになるお金なんて全くなかったのだけど、ゴッドファーザー的な気持ちで会社を応援していました。そして今回やっとですが、ラウンドに参加できたことをまた、うれしく思っています。

日本にも同じような課題が生まれつつありますが、キャリアをどう考え、自分で意思決定していくかは、人と社会を繋ぐ最も大事な問いだと思います。彼のサービスを通じて、一人でも多くの高校生が、未来を掴んでいけるお手伝いができるよう、応援し続けます。

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