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「唐揚げ」のお話

みなさん、唐揚げは好きですか?
鶏肉が実は苦手、という方もいらっしゃいますが、唐揚げとは、鶏肉に限ったことではありません。中華料理に鯉の唐揚げがあったり、居酒屋には川えびの唐揚げがあります。でも、一般的にみなさんがよく目にする唐揚げの多くは「鶏の唐揚げ」であることは間違いなさそうです。運動会や遠足のお弁当のおかずの代表選手のひとつとして最右翼に陣取るのはやはり唐揚げかもしれません。唐揚げが入っているとなんだかワクワクしませんか?

実は、ボクは唐揚げが大好きです。唐揚げのことを書いているんだから、好きに決まっていますが、どのくらい好きかと言うと、焼肉食べに行った後でも唐揚げが食べられるくらい。(それ、どういう基準!?)
2008年に「日本唐揚協会」なる珍妙なサークルがWeb上で立ち上がり、唐揚げ好きなボクは速攻で「カラアゲニスト認定試験」を受験し、晴れて「カラアゲニスト=日本唐揚協会会員」となりました。この協会のユニークなところは、唐揚げを作ったり売ったりする業界団体では全くなくて、「唐揚げを食べることが好きなヒトの集まり」であることです。そう、唐揚げを作れなくても、売ってなくてもいいんです。なんて、ユルい団体なんだ!と半ば感動さえ覚えていたところ、「カラアゲニストになったら名刺が作れる」という特典(実際には制作費は会員持ちなので特典と言うより会費のイメージが強い)があることに気が付いて、早速発注。この名刺、実は単なる「個人名刺」でしかないのですが、「日本唐揚協会」という組織の一員であるかのごとく見えることから、そのユルさが評判となり100枚はあっという間になくなり、増刷に増刷を重ねました。「日本唐揚協会」はいつの間にか一般社団法人に「昇格」しており、2021年4月現在、検定試験合格者(カラアゲニスト)はなんと、17万人に達しているそうです。(八木専務理事談)

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日本全国、いろいろな唐揚げが存在します。唐揚げが特に普及している大分件中津市を日本唐揚協会は「聖地」と呼んでいますが、北海道では「ザンギ」と呼ばれたり、長野県の一部では「山賊焼き」なるメニューがあったり、「チキン南蛮」(タルタルが乗ってる)や、「竜田揚げ」(醤油とみりんで甘辛く仕上げたもの)なんて兄弟分もいて、バラエティ豊かです。ああ・・・書いているだけでお腹が減ってきた・・・・

日本唐揚協会の定義によると、唐揚げとは「揚げ油を使用した調理方法、またその調理された料理を指す。 食材に小麦粉や片栗粉などを薄くまぶして油で揚げたもの」だそうで、非常に幅広い料理が「唐揚げ」と言えそうです。

では、「フライドチキン」と「唐揚げ」は何が違うのか?日本唐揚協会によるとこの2つは作り方が違うとのこと。唐揚げは、肉に味を染み込ませて小麦粉などの衣をつけて揚げ、フライドチキンは、味がついた衣を鶏肉につけて揚げると。衣に味を付けるか、肉に味を付けるかの差らしいです。どちらも美味しいことは変わりないので、喧嘩しないで欲しいですが・・ボクだったら、両方あったら、両方美味しく頂きます。(あ、また食べ過ぎ・・)

「鰯の頭も信心から」という諺があります。鰯の頭のようなあまり価値のなさそうなモノであっても、それを信仰の対象とする方にとっては非常に尊いものである、ということなのですが、ボクにもそれにちょっとだけ似たような習性があります。お正月に縁起物として鏡餅を飾る方は多いと思いますが、鏡餅の上には橙(だいだい)が。これは、子孫が代々栄えますように、という願いから来ているようですが、ボクはこの橙の代わりに熱々の唐揚げをちょこんと。来る年も美味しい唐揚げが頂けますように、という願いを込めて飾り、写真を撮って日本唐揚協会のFacebookページに投稿しています。だからなんなんだ、と言われても、困りますが・・・

よく、仲間から「美味しい唐揚げの店を紹介してよ」と言われますが、これはなかなか難しい。美味しい唐揚げの基準がヒトによってかなり違うからです。味付はもとより、鶏肉のどの部位を使っているか、お肉そのものの大きさ、衣がカリッとしたのが好きな方もいれば、衣を含めてしっとり仕上がっているのを好む方もいます。もっとも「揚げ過ぎで固い」「火が通ってない」というモノは遠慮したいです。

日本唐揚協会は、定期的に唐揚げをみんなで頂くイベントを実施しています。広い会場に唐揚げ好き(カラアゲニスト)がお腹を空かせて結集。(さすがにコロナ禍の中では開催は難しいでしょうけど)山と積まれた唐揚げとビールで大騒ぎ。カラアゲニストは乾杯の合言葉があるんです。「カラ!揚げぇ~!」と高らかに杯を挙げる、と、これだけなのですが、あちこちで盛り上がります。(一般のお店でこれをやると、やかましい!と叱られると思われます)そう、唐揚げ好きは、どんな仕事をしている人でもなぜかすぐに仲良くなります。カラアゲニストの名刺交換があちこちで始まり、一晩で一気に友達が増えます。競合会社の方であっても唐揚げを前にすれば呉越同舟。美味しい唐揚げを食べている時は、みんな笑顔。紛争地域に熱々の唐揚げを山のように持っていったら、なぜか平和になった、みたいなことが現実になったら素敵ですよね。そう、唐揚げってワクワクするし、みんなの気分が上がる(揚がる)んです。まさにアゲアゲ(揚げ揚げ)フード!縁起物だと思えば、鏡餅の上に鎮座していても怒られないような気がしてきました。

唐揚げは、和食と言えるのか?これまた難しい論点です。和食、日本食のジャンルに分類されるお店では、唐揚げはあまり出てきません。唐揚げが乗った寿司というのもあまり見かけません。一方で定食屋さんでは唐揚げは人気メニューです。定食屋さんのメニューは、和食も洋食も中華もバラエティ豊かですよね。唐揚げってくらいだから中華料理なのでは?という意見もあります。確かに中華料理には油淋鶏など、唐揚げに類するメニューがたくさんありますが、運動会や遠足のお弁当に入っている唐揚げは中華料理なのか?と問われると、これまた微妙なものがあります。

ボクの持論では、唐揚げは「日本で独自に発展を遂げたカジュアルな揚げ物料理」です。そしてお気に入りの標語のようなものがあります。美味しい唐揚げやメンチカツを頂いたらよく口にするんですが、
「揚げ物は裏切らない」
だから、何?と言われても困るのですが、あえていえば、「生ものは時々裏切ることがある」の逆説的な表現かなと。あ、生ものを否定しているのではないですよ。新鮮なお刺身、美味しいですし。

積極的な唐揚げ普及活動(要は、美味しい美味しいと食べているだけなのですが)がどこで評価されたのかわからないのですが、ある時、名刺の増刷をお願いしたら、台紙が「金色」に輝いていました。大企業の社長の名刺と比較しても台紙だけは明らかにお金が掛かってる感。ありがたや、ありがたや・・・・・・

さて、そろそろまとめるとしましょう。ボクのオフィスの隣にあるビルの地下で美味しいお弁当が500円で買える屋台村が営業しているのですが、圧倒的に人気なのは唐揚げ弁当です。気取らず、手軽に幸せ気分な料理。おかずにもおつまみにも唐揚げは大人気。ついつい食べ過ぎると保健指導の先生や、ダイエットアプリの栄養士の先生が困った顔をしちゃうのですが、なにごとも「適量」かな、と。(笑)


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