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エルデンリングDLCを完走した感想



 発売から2年。情報公開から1年。遂にエルデンリングの超大型DLCである『SHADOW OF THE ERDTREE』が6/21発売。

 本編とは異なる「影の地」を舞台に、名前だけが登場していたデミゴッド・ミケラの足跡を追うストーリー……。かと思いきや、ミケラが向かった影の地は、本編では描ききれなかった様々なキャラクターの別の顔、それこそまさに影の側面を色濃く浮かび上がらせる場所だった。断片的に明かされる種々の情報は『エルデンリング』というゲームそのものの味わいを一層深める奥行きがあり、マストプレイな追加コンテンツだ。

 感想を書き散らしたい気分になったので、こうして筆を執った。本noteでは、プレイ後、特に印象が変わった登場人物を分けて取り上げ、雑多に語る形式を取る。

 考察と呼べるほど情報の精査はしていないし、そう思う根拠としてテキストの引用を明示することもない。そのため、そういうものを期待する人やネタバレを踏みたくないという人は、ここでブラウザバックを推奨する。幾ばくかの改行を経て始める。
























 この先、必要なアイテムはないぞ。
























 語っていく。

 最初にまとめると、可哀想な話だった。


 

①マリカ

 影の地出身だったことが判明。プロフィールには東京都生まれとあるのに実際は青森県出身だったことがバレた芸能人みたいなムーブをかました。

 さらには現在のママタレントとしてのイメージを守るため、過去にAV出演を強要してきた前所属事務所である角人グループに特定指定暴力団「火蛇組」をけしかけ、焼き払っていたことが判明。神と崇めるにはあまりに人間臭い裏側が見えた。

 好感度的にはマイナスに作用するタイプのゴシップだったけど、まあでも角人たちがやってたことを考えるとしゃーないわなって感じ。

 だからこそ角を持った子どもが自分から生まれた時のマリカの気持ちは想像を絶する。

 憎んでも憎みきれない奴らの血が、自分にも流れていることを実感させられるわけでしょ。出産するたびSAN値チェック入ってて可哀想。




②メリナ

 ずっとマリカの分け身なのかなと思ってたけど、種火のフレーバーから察するにメスメルの妹なのかもしれない。デミゴッドだったのか……。

 レナラとラダゴンの娘で、火の幻視を左眼に宿して生まれたことがどれ程の重みを持つのか分からんけど、話に一切名前が出てこないのは密かに臣籍に降った賜姓皇族みたいな立ち位置なのかな。破砕戦争に関わったデミゴッド以外は狭間の地で謳われていないし、別に秘された存在ではないのかもしれんけど。




③メスメル

 火蛇組組長。株式会社黄金律と繋がり、マリカの命令で角人グループを壊滅状態に追い込んだ。母マリカの命令に忠実に従う一方、虐殺行為に対して全く気乗りはしていない。黄金の祝福なき褪せ人のことを見下しながらも、しっかりと「貴公」呼びしてくれるところなどは育ちの良さが滲む。
 
 塔の街を滅ぼさんとした純然たる悪役かと思いきや、上記のような好感を抱きやすいフックがいくつも散りばめられている。最期に母への恨みを口にする場面などは、もはや同情を禁じ得ない。死の間際にようやく母の傀儡たるを脱し、抑圧していた自我が噴出するのだから。彼もまたマリカに運命を翻弄された被害者といえよう。

 何よりも火の幻視をその眼に宿していたことが、彼の最大の不幸だったろう。それは巨人の力であり、生まれ落ちたその瞬間から彼の運命は決まっていたのだ。それが故、誰に愛されることもなく、ただ母への愛情のみが、母の憎悪を代弁する炎として塔の街の一切を焼き尽くした。

 人格者であったのだろう。種々のフレーバーテキストからは、兵士たちにとって良き君主であったことが伺える。哀しき中間管理職である。



④モーゴット

 前述マリカの項の通り、だから角が生えた奴らは忌み子とか呼ばれて狭間の地であんなに嫌われていたんだなと。

 DLCを経て、彼の追憶におけるフレーバーである「愛されたから、愛したのではない。彼はただ愛したのだ。」の一文がさらに深みを増した。可哀想。




⑤モーグ

 地下シェルターで王を自称する異常性癖者だと思ってたけど、ミケラァ…の魅了で頭しろがね人になってただけの可哀想なおじさんだった。

 ラダーンの魂の容れ物にするためだけに利用されてたのが不憫過ぎる。たった1枚の収録カードのために購入されて、残りはストレージの奥深くに仕舞われる統率者デッキみたいで可哀想。

 アンスバッハさんの忠誠心の高さから察するに、上司としてはわりと良い人だったのかもしれないと思った。




⑥レダ

 新キャラ。ミケラァ…の信者筆頭。

 他の信者を集めて同志と呼称し、そのくせ「アイツはミケラ様に相応しくない」と勝手に線引きを始める極度の自治厨。

 初見のプレイヤーには「あら褪せ人さんじゃない、あなたもミケラ様を追ってこのモーグウィン王朝を訪れたの?そこに見える枯れた腕に触れて影の地へ向かおうということね」と早口でまくし立ててくる。他者との距離感が掴めないタイプのオタク。

 使用武器のフレーバーでは、かつての同胞を殺害していることをも示唆しており、解釈不一致を一切認めない最悪な一面も覗かせる。カゲプロ信者よりもタチが悪い。

 一見マトモそうだけど実際はそうじゃないし、ゲーム終盤で敵対してくるという、フロムあるあるなムーブをかましてくる。でもブラボのアルフレートみたいなエクストリームイカレポンチではないし、ストーリー通して薄味なキャラだったという印象。

 ミケラに振り回されてたって意味じゃそうなんだけど、コイツはあんまり可哀想じゃない。




⑦ラダーン

 DLCまできても一切黒い噂が出てこなかった、エルデンリング界のキアヌ・リーブス。

 幼い異母兄弟に「おおきくなったらおにーたんとけっこんするの」と迫られ、笑って流したつもりだったのに、数年後、俺のもとへ成長した妹がやってきて……!?というエロ漫画みたいな展開を経てラスボスとして復活した。

 魅了のルーンを捨てた後もミケラのために戦ってるところを見ると、ヨイショされたことも満更でもなさそう。ここに至るまで結構大変な思いをされているはずなのに、それを感じさせないあたりが赤獅子達がついて来る圧倒的カリスマの所以なんだろうなと思った。

 ラダゴンへの敬慕といい、痩せ馬への情愛といい愚直ともいえる果てなき実直さがラダーンの魅力だ。いっぱいちゅき。




⑧ミケラ

 破砕戦争が起こる遥か前からラダーンに目をつけていたらしい。

 破砕戦争でも次期社長の座には興味はなく、新しい会社を興すための根回しを淡々と行っていた本DLC諸悪の根源。不思議な魅力で信者を集める最悪な島耕作。

 心からの善意で新興宗教とかアムウェイとかに誘ってくるタイプ。邪悪すぎる。

 無垢とか純真とか呼ばれているけど、ギデオンだっけ?に「アイツだけは得体が知れん」みたいなこと言われていた理由がよく分かった。

 マレニアもラダーンもモーグも、そして自らの半身・トリーナをも犠牲にしておきながら、優しい世界をつくるとか吹聴して弱者救済を謳っているのが欺瞞に満ちていて好きになれない。やっていることは死体を積み上げて自らの理想を体現することに過ぎないのに。

 この点がミケラの永遠の幼さというのは、必ずしも肉体の成長だけを指しているのではないのだなと感じさせられた。筆者がもっと若い感性を持っていた頃に出会っていたら、違う感想を持ったのだろうか……と考えもしたが、昔から独善的で押し付けがましい奴のこと嫌いだったな……。

 とはいえ生まれついて他者に愛することを強いる力を与えられて、フラットな土俵で他者と心通わせる環境になかったことは可哀想だなと思う。

 魅了のルーンを砕いてもなお約束の王に受け容れてもらえたことだけは、彼にとって幸福だったのかもしれない。




⑨二本指

 親指の追憶から、大いなる意志本社との連絡が途絶えていたことが判明。現場監督としてデミゴッドや円卓を担当し、会社の復興に人知れず尽力していた。モーゴット討伐後の直立二本指は、彼の処理能力を越えてしまったがゆえに発生した、いわば労災案件だったのだろう。中間管理職1年目で発狂する気持ちが分かってしまうのも、やや哀しい。

 本編では意味不明な存在かと思いきや、急に愛おしい生物と化した二本指。ヒロイン枠の人気投票を行えば、今ならラニといい勝負を繰り広げるかもしれない。



 総評。

 最初に述べた通り、可哀想な話だった。不明瞭な部分は考察班の動画やら記事やらで補完していきたいと思う。

 多くを語らず、プレイヤーの想像力を掻き立てる作りになっていて、フロムゲーはつくづく一億総発信時代に向いたコンテンツだと思った。読み取り切れなかった空白は他者の感想を読む楽しみに変えられる。


 最後に。

 何一つ確かなことは言えないと思ったが、これだけは言える。狂い火は間違っていなかった。こんな世界はさっさと焼き尽くして、二度と何者も生まれることのない焦土と化すのがよい。ミドラーとかいうヒョロガリとは違う、俺たち褪せ人が真の狂い火の王となって世界を終わらせよう。

 シャブリリ見てるか?

 俺はやるぞ。


 ここまで読んでいただき、ありがとうございます。noteの感想や考察等のコメントをいただけると幸いです。

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