無題

あの時もあの時も、こんな辛い事から立ち直れるはずないと思っていた。

でも今、今までに感じたことのない悲しさや無力さを感じて、あの時やあの時の辛さは、とるに足らない事だったのだと知る。

呑気で強くて朗らかだった母の、日々弱っていく姿や時折見せる我儘、生きる事を投げ出そうとする言葉や知らないままでいたかったと訴える震える声を、わたしはただ、側でじっと見守るしかないのだ。

胸が潰れそうで、何も出来ない無力感に立ちつくし、堪えきれないほどの嗚咽を喉の奥に閉まう。

こんなにも深く悲しく、その悲しみの深さに恐ろしささえ感じた事は、今までにない。

母よ、どうか生きる希望を失わないで。
わたしの持ちうる力の全てと、かき集めた希望の光を、全部あなたにあげるから。

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