つらつら語る「盗作」レビュー

 7月末、予め予約をして待ちに待っていたヨルシカの3rdフルアルバム「盗作」が私の手元に届いた。その新アルバムのレビューキャンペーンということで、大変遅ればせながら、そして拙いながらレビューのようなものを書いてみようと思う。

 初回限定盤のアルバムの装丁を見た際に一番に思った(というより思わず妹に見せに行ったのだが)のは、「これは最早本だ」ということだった。私が購入したのははて、CDアルバムではなかったのかと疑うレベルでまさしく「本」であった。どこに布地で装丁してあるアルバムがあろうか。まぁn-bunaさんや関係者様もか、彼らの素晴らしいアイデアと表現により生まれてしまったのだが。よくあるつるつるした本の装丁でないところがこだわりを感じて、本好きとしてもヨルシカファンとしても嬉しい点である。

 さらに小説読了後に驚愕したのだが…このアルバム、小説に登場する盗作男の作品「穴」のモチーフになっているのだ。空いた穴には「少年の弾いた月光ソナタ」。「穴」の中には、亡くしてしまった音楽に対するきれいな、純粋な気持ち、そういったものも含まれていたのだろうか…

 内容に入ろう。今回のアルバムはインスト曲を含む全14曲で構成されている。曲の順番について、個人的な印象だが妬み嫉み、怒り、破壊衝動などの感情から、諦念というのか悟ったというのか…冷静に目的にだけ向かっているような様子になり、最終的に盗作男の原点に心が戻っていくような、そんな印象を受けた。シャッフル再生なんて絶対にできないので、プレイヤーの設定をノーマル再生にするのが多少面倒な点のみ欠点といえば欠点だろうか。私はアーティストで絞って各アルバムごとノーマル再生するのであまり関係ないが。なお、「じゃあ言うな」等のツッコミは聞き入れない。

 さて、そろそろ曲について触れていこう。随分感想をだだ漏れに書き連ねてしまっている気がするが紛れもなく本心なので許してほしい。一つ言えるのは…suisさんマジヤバイということである。―この「やばい」という言葉は私達の語彙力を著しく低下させたが、如何せん使い勝手が良すぎて言葉で表現し辛い時つい使ってしまう。きっと魔性の言葉に違いない。―以前より思っていたのだが、suisさんの声は曲によって女性的になったり男性的になったり、また綺麗な響きになったり格好いい響きになったり…実は声優にもなれるのではないか??

 今回の新曲たちの中で、いち早くYouTubeに登場したのは「夜行」と「花に亡霊」であった。この2曲は1st、2ndフルアルバムに近い綺麗な印象の曲と歌だったので、少なくない人々が「ヨルシカらしい」と感じたのではないだろうか。その後私が個人的に一番やさぐれていると感じた曲「春ひさぎ」を持ってきたのは、きっとわざとだろう。やられた方々、安心してほしい。私も仲間だ。とんでもないギャップをかましてきたというのに、それがまた進化しているのがすごいところだ…

 とまぁこれまでYouTubeの楽曲について語ったのだが、私の特におすすめな曲は「昼鳶」と「思想犯」である。なお、「一曲じゃないんかい。」というツッ(以下略)なんなら全部だこんちくしょう。n-bunaさんのお気に入り曲ともろ被ってて全私が沸いたというのはここだけの話だ。歌い方で言うなら「昼鳶」の「言い訳にさぁ」の「さぁ」が無茶苦茶好きなのだ。何となく、迷子のような危うい不安定な感情が見えないだろうか!?本当に素晴らしい表現力だと思う。加えて最初のギターリフ…格好いいが過ぎるのでは…??大好きです。「思想犯」はまずメロディがいいと思う。Bメロの低音もとにかく格好いい。ギターのロックサウンドにピアノが軽やかに空虚に入っていてバランスも良いと感じた。それからサビの「烏の歌に茜」という歌詞だが、私は毎回毎回「ガラス」に聴こえていたのだ。力強く歌っているからかと思い直していたが、小説にガラスの話が出てきたことで「まさかわざとなのか」とこっそり期待している、という小話を挟んでみる。ごめんなさい。

私は動画に現れる天才考察班のように分析はできないので、自分なりに感じたものを大切に好きな曲を好きに聴くことを大事にした結果のおすすめである。それでいいのだろうと思う。

 このアルバムをまだ聴いていない人も、まだ小説を読んでいない人も、聴いて読んだ人も、是非存分に音楽と世界観に酔ってほしい。長い上に時間切れで小説レビューまで行き着いていないという体たらくだが、ここまで読んでくださった方に最大級の感謝を!

#ヨルシカ_盗作レビュー

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