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脱炭素を読み解く | 共創セッションレポート

こんにちは、SIL事務局インターンの服部です。
今回は、共創セッション(2022年8月2日開催)の模様をレポートします。

「共創セッション」とは、事例やテーマをベースとしたオープンディスカッションを行い、ソリューション開発や現場実装につなげていく場です。
Sustainable Innovationのための共通言語を獲得する学びの場「Xゼミ」と交互に、隔月で行っていきます。

今回のテーマは「脱炭素を読み解く」
三ッ輪ホールディングス株式会社・取締役の大澤哲也さんより、Local Coop尾鷲での脱炭素の取り組み事例をご紹介いただくとともに、Yahoo! Japan・SDGs編集長の長谷川琢也さんをお招きし「地域カーボンニュートラル促進プロジェクト」についてお話しいただきました。それを受け、脱炭素などの課題に長期的に取り組んでいくにあたっての自治体の体制のあり方や、自治体と企業が協働していく際にどのように理念を共有し目線を合わせていくべきか、脱炭素を手段としてその先に目指していきたい姿はどんなものなのかなど、熱のこもった多様な議論が展開されました。

脱炭素取り組み状況

まずは参加しているメンバーで、脱炭素に関する取り組みの現状や疑問・課題などを洗い出しました。規模や程度は様々ですが、どうしても仕事や生活に関わってくるテーマになりつつあるようです。

手段としての「脱炭素」

まずは大澤さんからLocal Coop尾鷲の取り組みについてご紹介いただきました。今年の3月にゼロカーボンシティ宣言を出した三重県尾鷲市。森・里・海の利活用を通じた脱炭素と教育の活性化を通して、22世紀に向けたサステナブルシティの実現を目指します。
脱炭素がテーマにあるものの、あくまでそれは手段であり、脱炭素の実現をステップとしたその先の姿まで構想しているそう。「サステナブルな林業の確立」と「街全体でのCO2排出量削減へのコミット」を通じ、域内・域外からの新たなお金の流入や循環が生まれたり、脱炭素の旗を通じて企業を誘致したりすることで、最終的に地域の活性化につなげることを目指しています。

企業と自治体で共に取り組む脱炭素

続いて長谷川さんより、Yahoo!のカーボンニュートラルの取り組みについてご紹介いただきました。日本がサステナビリティに関する取り組みで世界に遅れをとっている中で、Yahoo!Japanも企業として、再生可能エネルギーへの転換やグリーンボンドの発行など、カーボンニュートラルに寄与する取り組みを行ってきました。その一環として始まったのが、企業版ふるさと納税を活用して脱炭素社会を推進していく「地域カーボンニュートラル促進プロジェクト」です。
この取り組みが始まった背景には、
①一企業だけではできないことに地域連携のもと取り組むことで、カーボンニュートラルの手段を増やすことができる
②お客さんが払ってくれたお金から納める税金をどう社会価値に変えるべきか、企業としての意思表示ができる
③機関投資家をはじめ外部へのPRにもなりうる
という3つの理由があるそうです。

ご自身の現場での経験とこの枠組みにおける課題には通ずるものがあると長谷川さんは話します。自治体から企業に対するプレゼンが弱いこと、自治体と企業間のコーディネート・翻訳が必要になること、長期的に取り組んでいくにあたり適切な体制が必要であることなどが課題として挙げられました。
それを受け高知市の山中さんからは、自治体と企業が協働しようとするとき、お金が欲しい自治体と自社をアピールしたい企業とで、お互いに目線が低くなってしまっているという指摘があがりました。自然という土台があって社会・経済のレイヤーと積み重なっていくはずが、自然・社会・経済と別分野として認識されてしまっていることも課題だといいます。また現状の体制だと、企業版ふるさと納税という仕組みは複数の部署にまたがって扱う必要があり複雑なため、体制に対する長谷川さんのご指摘はごもっともであるとおっしゃっていました。

脱炭素を読み解く

大澤さん・長谷川さんのお話を受け、2つの部屋に分かれて議論を深めました。

「脱炭素をみんなで面白がるための問いを立てる」部屋では、それぞれの「脱炭素」への理解度や認識について共有しました。

新メンバー・大前さん
「今回の共創セッションを通じて、国や民間でも脱炭素に関する様々なアクションや制度を設けていることを知った。小さなアクションでも価値があると理解はしているものの、何がどのような効果を生むのかわかりにくいところもあるので、CO2排出量の抑制を見える化できるアプリのような、個人向けのアクションを促進できるものも必要なのではないか」

パナソニック・布施さん
「社内では脱炭素などに取り組む部署が立ち上がっており、大きな方針は示されている。自分も立場的に色々つなぐ役割なので自分ごと化していきたいが、どこから始めるのかが難しくちょっとしたジレンマを感じている」

「脱炭素をこんなふうに使えそう」を話す部屋では、脱炭素や企業利益というところから目線を上げて、もう一つ上のレイヤーで理念を共有できることが大事になるという前提のもと、話が進みました。

高知市・山中さん
「脱炭素は地域循環共生圏の構成要素の一つ。脱炭素自体を目的にするのは手触り感がない。いかに人と人、自然と人を繋いでいけるかが重要になる」

丸紅エネルギー・今野さん
「エネルギー供給に不安のない社会を成り立たせることがエネルギー会社の存在価値。その中で、脱炭素をどのように位置付けるのかが悩ましい」

フォレスター・小森さん
「今や行政の林務担当は末席の仕事ではなく、総合計画の根底に絡めるような花形。しかし知識などが圧倒的に不足しているため、外部の専門家を入れるなどして本腰を入れて取り組んでいく必要がある」


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この記事を書いた人
Writer:服部可奈 / SIL事務局
Editor:瀧口幸恵 / SIL事務局


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