ガーゼ

Day1 ~案外余裕かもしれない~

手術翌朝、いつもより少し早く目が覚めた。

 他の痔瘻手術体験記を見ていると、何日も入院された方もいるようだが僕の場合は日帰り手術。一人暮らしで大きな傷を負っている中、一人朝起きるのは中々ブルー。前日の手術後の説明で、腹圧をかけてはいけないといった説明を受けるため、ベットから起きるのも慎重になる。
 手術当日はお昼絶食・夜もゼリーだけだったからトイレにこもることもなかった。手術したところはピリピリした痛みがあるが、さほどの事ではない。それよりも問題は滲出液だ。シートン法による手術では、お尻側の患部をエグッタあとそこを縫合しない。つまり陥没した状態で傷がぱっくりあいているのだ。患部は皮膚がないため浸出液がどろどろしみだしてくる。これは血の混ざったピンク色した浸出液でお尻に付けたガーゼがべたべた。そしてパンツもびっちょりだ。替えのパンツに手を伸ばすためにかがもうとした瞬間「腹圧をかけない様に」の声が頭に響く。手術をした方ではない右足でパンツを掴み、しゃがまないようにゆっくりとパンツを履き替える。なんと時間のかかることか。

 この日はとにかく家でゆっくりしようとベットでゴロゴロ一日を過ごす。とはいえ、お尻に負荷をかけたくないので体をかばってゴロゴロ。お蔭で足や手が痛い。あとはガーゼの交換が本当に面倒。どろどろのガーゼはその時々で色が違い、赤っぽかったり茶色ぽかったり。そして臭い。とても臭い。洗面所で一人お尻と格闘していると何だか自分の小ささを感じる。

 手術翌日はシャワーを浴びても良いといわれていたが、ちょっと怖いのでそのままベットに入る。案外痛くなくていけそうだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?