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福岡伸一「新版 動的平衡ダイアローグ 9人の先駆者と織りなす「知の対話集」」(小学館新書20240406)

カズオ・イシグロが小説を書く目的は、薄れゆく記憶を固定するためという。デイビッド・クローネンバーグの映画「ヒストリー・オブ・バイオレンス」は、記憶とその変容を反フロイト的に描く……

記憶は死に対する部分的な勝利。

記憶を誰も奪うことはできない。They can't take away from me(これはジョージ・ガーシュイン)

一時的にでも時間を止めて対象を隅々まで観察したのがフェルメール。動いているもの移ろいゆくものを止めて過去と未来を提示した。これは、微分法の発明。

日本人の徳目は、嘘をつかない、盗みをしない、他人に迷惑をかけない。
他人に迷惑をかけないは世界でもみないもの。
ニューギニア人は、油田が見つかってアメリカの石油会社と交渉に臨んで闘った。その際のニューギニア人の闘い方は、合意しても、そんなこと言ってないとひっくり返すこと。嘘をつきまくること。ニューギニア人の徳目は、嘘をつかないことではなく、欲しいものを得ることだった。

そして東北の被災地復興。
どうしてこれほどまで時間がかかり、進まないのか。
それは、マスタープランがないから。
できないのであれば、だましだましやっていくこと。

だましだましは、38億年の進化の歴史で採用してきた方法。転用と代用。負けた者たちがその場しのぎでつないできた歴史こそが進化の歴史に叶う。

いまあるものを利用し、改良し、生き延びろ!


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