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蛙亭単独ライブ『ネコの日イヴ』

蛙亭の単独公演「ネコの日イヴ」を観ました。

整理番号が1番でドキドキしました。

2019年末の東京初単独では「岩倉さんが自分でジェンダー観を爆発」させるネタが多かったんだけども、今回は打って変わって「中野さんの変人さ」にスポットが当たっていた。

最近のメディア露出でも割とそういう傾向で、ファンとしては嬉しい気持ちである。
これが一周したらさらに面白い蛙亭が見れること間違いなしなので。

ネタは粗々しいけど驚きと発見に充ち満ちていて面白いです。

「合コン」

岩倉さんが意中の人と出会った合コンを再現する漫才。
いつもの岩倉さんが男で中野さんが女のパターン。これ、わかっちゃいるけど面白いんだよな。


膝の上にのせられてやりたい放題される女役の中野さん。
中野さん演じる女性が岩倉さんなのかと思いきや、実はその一部始終目撃していたモブが岩倉さんというどんでん返しのネタ。

単純に中野さんのメロメロになる演技が面白いんだけど、圧倒的他者であった岩倉さんが惚れてしまうという一見おかしな展開に完全には否定しきれない妙な納得感があるのが面白い。自分に矢印が向く快感というか。蛙亭のネタは僕たちが生きている世界の上手くいかなさを綺麗に掬い取っていく。

「僕っす!」

「一つだけなら質問していいよ」
電車内のへんな男を観察していた岩倉さんに向けられた一言に雷が落ちました。

「単なるヘンなやつ」から、客観的に自分を見つめた上でへんなやつでいるという怖さをのっける発想すごいな。
岩倉さんのキレ味ったらないです。

そして、へんなやつを演じる中野さんの魅力が底知れません。顔や発話のニュアンスで笑わせるのがうますぎる。

あと、中野さんがへんな役するときに必ず履いている靴、あれなんなんだろう。
いわゆるダンロップではなくて新幹線みたいなシュッとしたフォルムで、プレデターとか海外の想像力から生まれるモンスターみたいな土気色の配色が絶妙に気持ち悪い。あれが蛙亭のなかでのへんなやつのイデアなのか。
いっかい注目してみてください。気になるので。

「clear」

女の子のボディタッチにスイッチが入る気持ち悪い男の挙動を観察するコント。
と思いきや、キザめいた中野さんの「キスしていい?」にOK。

視点のヨリヒキによって物事の見え方は変わる。
それをこんなにも綺麗に描くのかとため息が出ました。

「あがり」

注文のネタが覚えられなくなった寿司屋の板長が最終的にトんでしまうコント。

最後のネタだけあって、中野さんのマイムがいちばん面白かった。

中野さんはあれでR-1グランプリにでたらいいと思います。
さっきも書いたけど、顔や発話のニュアンスで笑わせるのがうますぎる。

ネタは他にも、婚姻届を提出するときの「よろしく頼むね」がムリで別れるカップルのOPコント。

墓場でナンパしてくる徒歩3分にある喫茶店の実家に住んでいる男の「なんナン?」

山奥でYouTubeの編集をするおばあちゃんとピントが合わないテレビスタッフがかけあう「イマドキの若い人」

と漫才1コント7の大ボリュームな単独ライブでした。
やっぱり生で見る舞台はいいです。きらきらしている。

終幕での岩倉さんの「この恩は必ず返します。感謝」的なマイルドヤンキーが出る締めは相変わらずで、世界一ピュアな30歳をここにみる。

余談ですが、そういう面で1番好きな蛙亭の単独ポスターがこれです。むずむずする。最高だ


余談を挟みましたが、2年前からは考えられないくらいメジャーになった蛙亭。2021年の活躍も楽しみです。

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