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パンクロックと箱根駅伝  各話リンク

この小説は、作者の箱根駅伝走った経験を元にしながら、仕事終わりの夜更けに、缶コーヒーをすすりながら、レコードから流れてくる、バズコックスの音色に耳を澄ませて、甲本ヒロトや町田町蔵になりきって書いた、スポーツパンク小説であります。


★「パンクロックと箱根駅伝」

 父親の仕事の都合で、田無土(だむど)と呼ばれる公害騒動の名残が残る最悪な町に引っ越した牧田少年は、父親の仕事を理由に壮絶なイジメを受ける事となった。

そんな最悪の日々の中で、誰もこない校舎の便所で虐められてた一学期の終わり、便所のドアを蹴り破って、イカレタ救世主が牧田の前に現れた。そいつは学校中で煙たがられているクレイジー街田だった。電光石火の早業で不良たちを殴り倒す姿に牧田は感動する。いつしか街田を『先輩』と呼んで慕うようになり、パンクバンド『The アブラボウズ』を結成する。『The アブラボウズ』はデブで金持ちの井上、紅一点の星崎をメンバーに迎え、徐々に人気になっていく。高校卒業後。メンバー全員で上京して、下北沢を拠点に据え、バンドはいよいよ本格的に人気になっていく。

ところが、先輩が20歳になった日から、先輩は全く歌えなくなってしった。そしてメジャーデビューも見えてきたと思った矢先に活動を休止する事になる。牧田は先輩が歌えなくなった理由を探すが、どうしてもわからなかった。

それでも、徐々に先輩が復活し活動を再開したのだが、復活ライブの途中で先輩が再びえなくなってしまうアクシデントが起こる。観客からは酷いヤジが飛び交い、ライブのイベンターも激怒する。その時、街田は、ステージの上で歌えなくなった理由を静かに話し始める。

― 街田がパンクバンドを始めた理由は、母親を捨てた父親へ恨みからだった。しかし、彼が父親だと思い込んでいたのは、精神を病んだ母親が騙された色恋の詐欺師だった。本当の父親は、元箱根駅伝の選手で洪水の日に事故死していた。街田は20の誕生日にそれを知らされ、ショックから歌えなくなったのだ。

次第に絶叫に近くなった街田の独白を聞き、ライブハウスは静まりかえった。街田はバンドの解散を宣言して、逃げ出すようにライブ会場から去る。

しかし、牧田は諦めなかった。街田に魂を救われた借りを返すために、街田を追いかけたのだ。牧田がすっかり別人のようになった街田を見つけ、問い詰めると。街田は「父親に報いるため、たとえどんなに無理でも箱根駅伝を目指したい。」と告白する。牧田はそれに「どこまでもついていきます。」と笑顔で答える。

その瞬間から、パンクロックと箱根駅伝をめぐる冒険が始まったのだ!





うーん。ドッスン